2026年05月13日
【映画評】オールド・オーク
イントロダクション
市井の民を見つめ、彼らの生活と闘争を描き続けてきたイギリスの巨匠、ケン・ローチ監督。彼が自ら「最後の作品」と語っているのが第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『オールド・オーク』だ。
『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』に続く「イギリス北東部3部作」の最終章となる本作の舞台は、とある炭鉱の町で最後に残ったパブとして親しまれていた「オールド・オーク」。人々が集い、安らぎを見出す場所だったはずのパブは、シリア難民の受け入れにより、諍いの場に変貌してしまう。オーナーのTJはシリアから来た女性ヤラと出会い、友情を育む中で、困窮する町の人々とシリア難民のための食堂を開こうとするが…。
数々の名作を共に世に送り出してきた脚本家ポール・ラヴァティとのタッグによる、社会と人々への温かくもリアリズム溢れる眼差しが映し出すドラマは、深い感動を呼び、世界中で激賞されている。現実社会にも起こっている分断や争いと、違いを受け入れながら共存していくことへの希望についての考察を我々に促すだろう。
ストーリー
イギリス北東部、とある炭鉱の町で唯一のパブ、「オールド・オーク」。活気溢れる時代から30年の時を経て、今は厳しい状況に陥っているが、町に住む人々にとっては最後の砦となる止まり木のような存在だ。店主のTJ・バランタインは、試行錯誤しながらなんとかパブを維持しているが、町がシリア難民を受け入れ始めたことで、パブは居場所を争う諍いの場になってしまう。先行きを危ぶむTJだったが、カメラを持ったシリアの女性ヤラと出会い、思いがけない友情を育むことになる。果たして、彼らは、互いを理解する方法を見つけられるのだろうかー?
設定したロケーションがかつて炭鉱に依存していた村という排他的エリアなので、日本の延長目線で観ていました。お上の命令で異文化の異人が狭いコミュニティに続々来るってのは元から住んでいる人にとって違和感・不快感を持つのは当たり前。「郷に入っては郷に従え」という通り、そこから異人側からの同化努力、共通のテーマによる共同作業で距離感詰めて、みたいな流れが普通だと思われますが、理由もなく学校でイジメられたり、ニューキャッスルサポのホワイトプアーから絡まれたり、ネグレクトで介入したら怒られるとか、まあしんどいよな。
亡父の葬儀シーンなど多分にケン・ローチの理想が詰まった脚本だと感じましたが、リアリスティックで身も蓋もない突き放した様なオチも見たかった。映画観ている観客が家まで宿題を持って帰るような。
そういうお上の政治に振り回され他民族・異民族と衝突するクソみたいな地元民の状況は今の中国やロシアがネタ素材の宝庫なのでしょうけど現体制下での映画化は絶望的。海外亡命するか政権転覆しないと本当の姿が見えないのが隔靴掻痒。日本のクルド人問題もリベラル傾斜作品しか公開されていないし、双方目線のリアルな映画作ったところで大揉めに揉めそう。
満足度(5点満点)
☆☆☆
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