2025年05月29日

【映画評】デビルズ・バス

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悪魔崇拝の映画かと勝手に思っていたけど21世紀の現代にも綿々と連なる嫁姑問題だったでござる。鬱病=悪魔憑きみたいな。

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イントロダクション
狂っているのは、村か、私か。実際の裁判記録を元に描く宗教とタブーに支配された歴史の暗部
監督は、シッチェス・カタロニア国際映画祭ほか、世界各地の映画祭を席巻し、米アカデミー外国語映画賞にエントリーするオーストリア代表作品にも選出された『グッドナイト・マミー』で世界のホラー映画ファンを沸かせたヴェロニカ・フランツ&ゼヴリン・フィアラ。本作で描くのは、世界との不和を理由に、この世から消え去ってしまいたいと願う女性が、宗教上自死することも許されず、やがて驚くべき行動に出てしまうという、陰惨で衝撃的な物語だ。実際の裁判記録を元に、宗教とタブーに支配された歴史の暗部が今なお響く痛みとして現代に蘇った。容赦ないストーリーテリングと、美しくも残酷な映像表現が評価され、第74回ベルリン国際映画祭では銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞し、第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭でも最優秀作品賞を受賞するという快挙を達成している。

ストーリー
18世紀半ば オーストリア北部の小さな村。古くからの伝統が残るその村に嫁いだアグネスは、夫の育った世界とその住人達に馴染めず憂鬱な生活を送っていた。それだけでなく、彼らの無神経な言動や悍ましい儀式、何かの警告のように放置された腐乱死体など、日々異様な光景を目の当たりにして徐々に精神を蝕まれていくアグネス。極限状態に追い込まれ、現実と幻想の区別すらつかなくなった彼女を、やがて村人たちは狂人扱いするようになる。果たして、気が狂っているのはアグネスなのか、それとも村人たちなのか。やがてアグネスは、村から、この世界から自由になるために驚くべき行動にでる。




タイトル「デビルズ・バス」とは終盤に「鬱だし脳」な人を指すニュアンスのセリフで使われていました。宗教的理由から自殺できないのでこうなるのね。

食人族であるまいし最期のシーンは白目剥いた。何なの大挙押し寄せコインと引き換えにコップで飲むアレは?主人公愛用の指も血と同じニュアンス?冒頭の不穏なシーンが最後に輪廻される訳なんだね。妊娠を望まれるが旦那がホモな主人公と違い、冒頭シーンの御婦人は育児ノイローゼっぽかった。

本作も先日ポストした「【映画評】ガール・ウィズ・ニードル:Birth of Blues」同様、実話ベースとの事で、カラーかモノクロの違いなだけで手触り感はほぼ同質。迷信くさい謎ルールに縛られた中世ヨーロッパの女性受難作品。こういう大衆受けしない題材を小道具や衣装、所作まで丹念に作り上げてくれる熱量は本当にありがたい。封建時代の日本でも似たような大衆秘話が無数にあって、バジェット面は大変だと思いますが平成までと違い市場は世界に直結しているので、志ある映画人は是非日本版の「デビルズバス」を世に送り出して頂きたく。

エンドロール前に流れていた背景説明テロップの詳細テキストが手元にあるので転載。いわば嘱託自殺。
17-18世紀のヨーロッパでは自殺したい人々は処刑されるために殺人を犯した。告解の後 罪から清められ天国へ入ることを望み、自殺者を待つ永遠の地獄を避けた。大半は女性で犠牲者は主に子供だった。ドイツ語圏だけでも400例以上が記録されている。

満足度(5点満点)
☆☆☆
Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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