2025年03月04日
【映画評】名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN

1960年代初頭、後世に大きな影響を与えたニューヨークの音楽シーンを舞台に、19歳だったミネソタ出身の一人の無名ミュージシャン、ボブ・ディラン(ティモシー・シャラメ)が、フォーク・シンガーとしてコンサートホールやチャートの寵児となり、彼の歌と神秘性が世界的なセンセーションを巻き起こしつつ、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでの画期的なエレクトリック・ロックンロール・パフォーマンスで頂点を極めるまでを描く。
キャスト
ティモシー・シャラメ, エドワード・ノートン, エル・ファニング, モニカ・バルバロ, ボイド・ホルブルック, ダン・フォグラー, ノーバート・レオ・バッツ, スクート・マクネイリー
監督
ジェームズ・マンゴールド
エル・ファニング可愛かった。世代的にアコギ時代のボブ・ディランのバイオグラフィは全然知らないので新鮮に楽しめました(リアルタイムで聴き始めたのはアルバム「ディザイヤー」)。ジョーン・バエズと付き合っていたんだ。映画最後のライブは伝説の中津川フォークジャンボリー吉田拓郎を彷彿(見たことないけど)。護憲派かと見紛うああいう原理主義的音楽ファンは本当苦手。一世を風靡する力量を備えた音楽家の必須要件ってのは常に変遷を辿っているのにね。
映画では一番の山場(修羅場)となった実際の1965ニューポートフォークフェスティバル「ライカローリンストン」演奏シーンはこちら。バックメンバーが凄い。アル・クーパー、マイク・ブルームフィールド、エルヴィン・ビショップ、サム・レイ。ザ・バンドはこの後からなのかな。
アンドレ・カンドレはエレキ版ボブ・ディラン風貌寄せなんだ。
ティモシー・シャラメは何年も前からスクリーン越しに拝見していますが、作風にフィットさせたカメレオン的演技はディカプリオ後継第一人者かもね。本物そっくりの佇まいも歌い方も凄くツボっていた。本作は起伏あるボブ・ディランの音楽人生でこの時代を切り抜き映画化したプロデューサーの大勝利。そういう意味じゃ先の「【映画評】Back to Black エイミーのすべて:Birth of Blues」は企画者が無能で本当に残念。近年連戦連勝の音楽自伝映画では唯一の黒星と言っても過言でなし。本当音楽映画で外れってないもんな。
という事でボブ・ディランは名前しか知らない連れも面白かったと大喜びしていたので若い人も劇場へ是非(前席には高校生3人組もいたよ)。
映画見ながら思ったのは存命中のボブ・ディラン映画がこれだけのクオリティで完成するのなら「キャロル・キング」は是非企画して欲しい。あと何度も書いたけど「オーティス・レディング」「デュアン・オールマン」自伝映画もお願い。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆☆