2024年09月10日
【映画評】Chime
mixiチェックDVTという概念がよく理解できず、オンライン上映なのかね?と思っていたら地元のミニシアターで上映始まったので観に行きました。いま公式サイト見たら「サーバー障害で購入できません」とあるし、DVTって商業ベースで機能しているの?
Roadstead | DVT platform
「DVT」(Digital Video Trading / デジタル・ビデオ・トレーディング)とは、映像作品を「消費する一過性のコンテンツ」ではなく、「コレクションする価値ある資産」として扱う、Roadstead が提唱する映像流通の新しい枠組みです。映像を数量制限なく配信するプラットフォームと違い、オンライン上に存在する映像作品をDVDと同じように一意で固有のものとして扱い、ユーザーは作品を視聴して楽しむだけでなく、コレクションして、第三者とトレードしたり、交換したり、プレゼントすることができます。 出品される映像は全てにシリアルナンバーが付与されており、購入した方だけが観られるセキュリティが施された上でトレードが可能で、ユーザー同士のトレードの売上からもクリエイターに権利料が還元される仕組みになっています。これにより、ユーザーは単なる消費者ではなく、クリエイターの活動を経済面で直接的に支援するサポーターになることができるのです。 Roadstead は、このWeb3 的な概念を、世界初の映像流通の枠組み「DVT」として広めていくことで、クリエーターに正当な対価と持続的な創作活動の場を提供していきたいと考えています。
イントロダクション
第74回ベルリン国際映画祭でのワールド・プレミア上映では熱狂的に迎えられ全上映会を完売!
第48回香港国際映画祭では追加上映が実施される人気を博した黒沢清監督の最新作は摩訶不思議な恐怖に支配される映画『Chime』。黒沢監督と言えば、『スパイの妻』(20)でヴェネツィア国際映画祭・銀獅子賞受賞も記憶に新しいが、世界的に注目されるきっかけとなった『CURE/キュア』(97)をはじめ、『回路』(01)、『ドッペルゲンガー』(03)などオリジナルのサスペンス・ホラーを送り出してきた。『Chime』もその系譜に属する。
本作はRoadsteadオリジナル作品第一弾であり、「自由に作品を制作してほしい」というオーダーから作られた、ホラーでもサスペンスでもない、どのジャンルにも属さないながら極めて純度の高い“黒沢清”らしさ溢れる恐怖が描かれる。主演は、吉岡睦雄。名バイプレイヤーとして数多くの作品に出演してきた吉岡が、黒沢監督作の初主演を飾る。チャイムとは何なのか、どこから聞こえてくるのか、人を狂わせるサインなのか……。説明過多にならないことで恐怖のその先を想像させ、観る者は例えようのない恐怖に包み込まれる。
何が聞こえたのか、それはリアルなのかそれとも妄想なのか
料理教室で目撃する異様な恐怖に、誰もがあ然となり囚われる
ストーリー
料理教室の講師として働いている松岡卓司。ある日、レッスン中に生徒の1人、田代一郎が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と、不思議なことを言い出す。事務員の間でも、田代は少し変わっていると言われているが、松岡は気にすることなく接していた。 しかし別の日の教室で、田代が今度は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し、それを証明するために驚くべき行動に出る。田代の一件後のある日、松岡は若い女性の生徒・菱田明美を教えていた。淡々とレッスンを続ける松岡だったが、丸鶏が気持ち悪いと文句を言う明美に、彼は――。 松岡の身にいったい何が起きたのか。料理教室で、松岡の自宅で、ありふれた日常に異様な恐怖がうごめき始めたのだった…。
黒沢清 ステートメント
チャイムが鳴り、あなたはこれまでずっと続いていた何かが終わって次の何かが始まるその時が来たことを知る。心の中に不安と期待が同時に押し寄せるが、もう引き返すことはできない。あなたはそれを受け入れるしかないのだ。またチャイムが鳴り、あなたは戸口の外に誰かが立ったことを知る。その誰かがもたらすものが恐怖なのか祝福なのかは、ドアを開けてみるまでわからない。あなたはどうするか? 何もしないでいると絶え間なくチャイムは鳴り続けるだろう。この映画は以上のような私の妄想から生まれた。とりたてたジャンル性も娯楽性も作家性も持たない、たった45分のむき出しの映画だ。
私は、どこにでもいる平凡な中年男である主人公がチャイムによって突き動かされ常識と非常識のあいだを行き来する様を描いてみた。彼は終始不安だ。しかし確信もしている。この非常識こそが、彼をがんじがらめに縛り付けている現代社会のモラルや正義や良心の隙間からするりと抜け出すことのできる、一種の自由でもあるのだと。
端的に感想を申し上げると「生活音」の使い方が実に印象的。
作中で語られる通り料理とか山登りとか、その最中は両手両足視力聴覚全意識がそっちに集中するので気が滅入っている様な時は本当によさそう。
黒沢清は「トウキョウソナタ」「贖罪」みたいな作風は好きでしたが、最近は「【映画評】クリーピー 偽りの隣人:Birth of Blues」や「【映画評】ダゲレオタイプの女:Birth of Blues」「【映画評】スパイの妻:Birth of Blues」と肌に合わない意識高い系作品連発で辟易していましたが、本作は45分と短尺であるが故に無駄な話を切り刻んだのが功を奏したのかカミソリみたいな作風になっていて非常によい。とはいえ体感は120分あります。濃度が濃い。
世に「引き算効果」という言葉がある通り、無駄で饒舌で独り善がりな描写を切り詰めるとガラッと作風も変わるのかと思わず膝を打ちました。登場人物たちがくどくど詳細説明する必要はないんだよと。上で列記した作品群も45分に短縮したディレクターズ・カット版リリースすればまた印象も全然変わりそう。
満足度(5点満点)
☆☆☆
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