2024年06月10日
【映画評】あんのこと
mixiチェック前評判が異常にいいので公開初日に若干警戒しながらハードル上げて臨みましたが、易々と乗り越えていった怪作。「碁盤切り」といいキノフィルムズ連作の快進撃。人の業を映像化したジャンルに囚われないノンポリティカル作品で観客に息を呑ませるキノフィルムズはそろそろ日本のA24を自称してもいい。
イントロダクション
21歳の主人公・杏は、幼い頃から母親に暴力を振るわれ、十代半ばから売春を強いられて、過酷な人生を送ってきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅という変わった刑事と出会う。
大人を信用したことのない杏だが、なんの見返りも求めず就職を支援し、ありのままを受け入れてくれる多々羅に、次第に心を開いていく。
週刊誌記者の桐野は、「多々羅が薬物更生者の自助グループを私物化し、参加者の女性に関係を強いている」というリークを得て、慎重に取材を進めていた。ちょうどその頃、新型コロナウイルスが出現。杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、あっという間に失われてしまう。行く手を閉ざされ、孤立して苦しむ杏。そんなある朝、身を寄せていたシェルターの隣人から思いがけない頼みごとをされる──。
2020年の日本で現実に起きた事件をモチーフに、『SRサイタマノラッパー』シリーズや『AI崩壊』の入江悠監督が映像化。19年のデビュー以来、数多の映画賞に輝き、TBS「不適切にもほどがある!」での熱演が話題となった最注目俳優・河合優実が、底辺から抜け出そうともがく主人公・杏を演じる。また、杏に更正の道を開こうとするベテラン刑事に佐藤二朗。2人を取材するジャーナリストに稲垣吾郎と、実力派が脇を固めた。さらに制作陣には、第75回カンヌ国際映画祭で「カメラドール特別表彰」を受賞した話題作『PLAN 75』(早川千絵監督)のスタッフたちが集結。本作は杏という女性を通し、この社会の歪みを容赦なく突きつける。同時に、単なる社会派ドラマの枠を超えて、生きようとする彼女の意志、その目がたしかに見た美しい瞬間も描き出す。そして静かに、観客に訴えかける。杏はたしかに、あなたの傍にいたのだと。
端的に言うと居場所を求めるも奪われ続ける物語。「ブルーインパルス」シーン深い。
河合優実は皆さんと同じく「ジュンコ(不適切にもほどがある)」で覚えたクチですが、初めて知りましたが「由宇子の天秤」女子高生役だったの?あと「PLAN 75」コールセンター職員?
今月末公開「ルックバック」主役声優も彼女との事で、喩えるなら令和版山口百恵?久々の天才若手女優の誕生です。
肝心の作品内容ですが、柳楽くん「誰も知らない」の21世紀版。上でご紹介した瀧内公美さん「由宇子の天秤」テイストもあり、その系統の作品がフェイバリットな方ならオススメ。佐藤二朗相変わらずウザいけどそのウザさが作品に波紋を呼んでいますし、稲垣メンバーも流れに邪魔をしていない。実話ベースでは新聞記事→週刊誌記事の順。子供のエピソードは創作の由。
クライマックスはまあホッとしたというか、デジタルフィルムの中に永遠閉ざされた彼女は本作に何を思う。
最近の事なのにもうコロナ禍の生活を忘れ始めている自分にも気付きました。年間ベスト級作品。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆☆
【関連記事】
コロナが奪った25歳の中学生活 路上で倒れていたハナ:朝日新聞デジタル
「捕まえるだけが仕事じゃない」薬物依存者に寄り添う元刑事の揺るぎない信念 - 弁護士ドットコム
【満席となりました】10/10(木)17時〜高円寺にて、第4回ヒューコメ勉強会を開催! | 非行歴・犯罪歴のある方の採用・教育支援|(株)ヒューマン・コメディ
経験者の言葉 | ミルトスの会
母からの暴力・覚醒剤…コロナ禍に自死した25歳女性の壮絶人生 | FRIDAYデジタル
相談女性の下着姿を撮影で逮捕「正義感溢れる元警部」の黒い疑惑 | FRIDAYデジタル
女性を「下着1枚」にしてスマホ撮影 組対5課の元刑事逮捕「警視庁内で2人きりの相談中に…」 | 文春オンライン
《元警視庁警部に懲役2年の実刑判決》「裸の写真でも撮ってみるか」「服の中に手を…」被害女性が涙ながらに明かした“警視庁内密室陵虐”とは | 文春オンライン
コメント
河合優実さんは「サマーフィルムにのって」のビート板役で知りました。
Posted by ななし at 2024年06月11日 14:33
「サマーフィルムにのって」まだ観てないのですよ。WOWOWで録画済ですが
Posted by bob at 2024年06月12日 07:57