2024年05月21日
【映画評】ミッシング
mixiチェック石原さとみ待望の新作なので関心ある反面、やあやあ我こそは正義マンのスターサンズなので一抹の不安はありましたが、諸悪の根源だった河村光庸先生(本作企画)が亡くなった後のスターサンズに生じた変化に多少興味もあり、前作「空白」がイマイチだった吉田監督も捲土重来期しているのではと期待し鑑賞。
イントロダクション
限りなく哀しくて、愛しくて、優しい物語。娘が失踪し、出口のない暗闇に突き落とされた家族。どうにもできない現実との間でもがき苦しみながらも、その中で光を見つけていく——。
失踪した娘を懸命に探し続けるが、夫婦間の温度差や、マスコミの報道、SNSでの誹謗中傷により、いつしか「心」を失くしていく母親・沙織里を演じたのは石原さとみ。「母となった今だからこそ、この役と向き合えた」と語り、これまでのイメージを一新させる新境地に体当たりで挑んだ。さらに、沙織里たち家族の取材を続けるテレビ局の記者・砂田に中村倫也、沙織里の夫・豊に青木崇高、娘の最後の目撃者となった沙織里の弟・圭吾に森優作、ほか豪華実力派キャスト陣が集結!
常に観客に衝撃を与え、想像力を刺激する作品を発表し続ける“人間描写の鬼”𠮷田恵輔が、「自身のキャリアの中で最も覚悟のいる作品」と語る本作は、雑音溢れる世の中をリアルに、そして繊細に描き、そこに生きるわたしたちの心を激しく揺らす。
ストーリー
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。そんな中、娘の失踪時に沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。その先にある、光に—
前作「そして、バトンは渡された」好印象が残っている石原さとみさん。すっぴん且つ唇ガサガサで失禁シーンなど発狂演技も厭わず引き続きアイドル女優脱却路線に振っていまして、綺麗版安藤サクラ?みたいになるのかな。日本映画界的には頼もしい存在になりそう。
これはどうしようもないのですが、テーマ的に上位互換作品としてアンジェリーナ・ジョリー「チェンジリング」が脳裏にあるため、どうしても比較しながら観ているきらいがありました。本作も「チェンジリング」同様、実話よりリサーチされているのではと思われ、SNSでの誹謗中傷描写など正直今の「日常」ではあります。
他方、吉田恵輔作品としては、荒っぽく喩えると前作「空白」の女版という側面もありますが、「戦術古田新太」に全振りした挙げ句、中盤から期せず失笑路線となった「空白」で反省したのかどうなのか、本作は演者のバランス感が凄くよかったです。古田新太気味の石原さとみを軸に弟くんと旦那、それと窓際テレビマンの関係性が絶妙。特に最後のシーンの青木崇高さんの涙はずるい。あれで全部持っていったな。
最後にスターサンズですが、河村光庸先生が亡くなって毒気が抜けたのか、スクリーンを覆っていた「お前ら愚民を俺達が善導してやる」的な瘴気が浄化された感じ。イデオロギー染みたゲージツ作品作りは東風にでも任せて、これからはもう少し普通の映画ファンを普通に喜ばせる本作のような作品を作ってくださいね。本当頼みますよ。
という事で久々に「チェンジリング」でも観てみよう。
満足度(5点満点)
☆☆☆