2024年02月05日
【映画評】コット、はじまりの夏
イントロダクション
第72回ベルリン国際映画祭でグランプリ受賞(国際ジェネレーション部門 Kplus)、第95回アカデミー賞Rでアイルランド語映画初の国際長編映画賞ノミネートをはじめ、世界の映画賞で42受賞、60超ノミネートの快挙を果たした『コット、はじまりの夏』。1981年、夏のアイルランドを舞台に、9歳の少女コットの成長とはじまりを描いた本作は、アイルランド語映画としては歴代最高の興行収入を記録したほか、海外最大の映画評論サイトRotten Tomatoesでは97%フレッシュ(※2023.11.9時点)という高い評価を記録し、多くの映画人や映画ファンを魅了。さらに『わたしは最悪。』、『燃ゆる女の肖像』、『パラサイト 半地下の家族』など若く作家性の強い才能をいくつも世に送り出して来た、今最も注目の新進気鋭のスタジオ、NEONが北米配給権を獲得し、世界中に深い感動を与えている。
『シングストリート 未来へのうた』、『ベルファスト』、『ONCE ダブリンの街角で』 アイルランドが生んだ2人の才能
監督を務めるのは、これが長編映画デビューとなるコルム・バレード。これまでドキュメンタリー作品を中心に子どもの視点や家族の絆を誠実に映し出し、数々の賞を受賞してきた。本作でもその手腕を十分に発揮しており、大家族に生まれ学校でも家族の中でも孤独に過ごすコットが、キンセラ夫婦との生活の中で初めて触れた深い愛情、自己を解放し成長していく姿を静かながらも丁寧に描き切っている。少女の心情に寄り添うことで、希望で満たされると同時に私たちの胸を強く打つ感動の物語として誕生したこのデビュー作は、IFTA賞(アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞)では10ノミネート7部門受賞に輝いたほか、監督自身も各国で14の賞を受賞、33ノミネートの快挙を果たした。
観る人の心をつかんで離さない、圧倒的透明感と存在感 史上最年少の12歳で主演女優賞に輝いた キャサリン・クリンチに世界が絶賛!
主人公で9歳の少女・コットを演じるのは、観る人の心をつかんで離さない存在感と、圧倒的透明感を持つキャサリン・クリンチ。主人公コットが抱えてきた諦観と、生きる喜びにあふれていくさまを、本作が映画デビューとは思えない繊細な演技で見事に表現しきっている。
さらにすべてのカットが完璧に計算された緑豊かな田舎の美しさ、木々の間からのぞく陽の光のあたたかさ。主人公コットを優しく包み込むような、それらすべての映像美が彼女の心象風景を絶妙に表現しており、スクリーンから一瞬も目を離すことのできない、切なくも愛おしい時間を私たちに体験させてくれる。
ストーリー
1981年、アイルランドの田舎町。
大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごすことに。寡黙なコットを優しく迎え入れるアイリンに髪を梳かしてもらったり、口下手で不器用ながら妻・アイリンを気遣うショーンと子牛の世話を手伝ったり、2人の温かな愛情をたっぷりと受け、一つひとつの生活を丁寧に過ごしていくうち、はじめは戸惑っていたコットの心境にも変化が訪れる。緑豊かな農場での暮らしに、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分の居場所を見出すコット。いつしか本当の家族のようにかけがえのない時間を3人で重ねていく―。
前評判通りの良作でした。この手のネグレクト気味で不安定な子供を描いた名作は「メイジーの瞳」「ぼくらの家路」「ブランカとギター弾き 」等が思い浮かびますが、同じレベルで評価出来ます。
ラストシーン、血相変えたお父さんが走ってきたところで画面暗転エンドロールが始まりましたが、二度とおばさん夫婦に逢うことはなさそうな感じ。
満足度(5点満点)
☆☆☆









