2023年12月27日
【映画評】PERFECT DAYS

イントロダクション
ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースと日本を代表する俳優 役所広司の美しきセッション。フィクションの存在をドキュメントのように追う。ドキュメントとフィクションを極めたヴェンダースにしか到達できない映画が生まれた。カンヌ国際映画祭では、ヴェンダースの最高傑作との呼び声も高く世界80ヵ国の配給が決定。
こんなふうに生きていけたなら
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。
同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。
ストーリー
思いがけない出来事が、まるで風のように男の日々を揺らした。そしてそれは光と影の踊りを生んだ。東京渋谷の公衆トイレの清掃員、平山は押上の古いアパートで一人暮らしている。その日々はきわめて規則正しく、同じことの繰り返しのなかに身を置いているように見えた。ルーティンは孤独を遠ざけるものかもしれない。けれど男のそれはどこか違ってみえた。夜が明ける前に近所の老女が掃除する竹ぼうきの音が響く。それが聞こえると男はすっと目をあける。少しのあいだ天井をみつめる。おもむろに起きあがると薄い布団を畳み、歯を磨き、髭を整え、清掃のユニフォームに身をつつむ。車のキーと小銭とガラケーをいつものようにポケットにしまい部屋をでる。
ドアをあけて空をみる。スカイツリーをみているのか。光を見ているのかはわからない。缶コーヒーを買うと手作りの掃除道具をぎっしり積んだ青い軽にのって仕事へむかう。いつもの角でカセットテープを押し込む。カーステレオから流れてくるのはThe Animals のThe House of Rising Sun。いくつもの風変わりなトイレを掃除してまわる。その日はひょっとすると声をひとつも出していないかもしれない。掃除を終えると夕方にはあのアパートに戻る。自転車に乗り換えて銭湯へゆき、いつもの地下の居酒屋でいつものメニューを頼み、そして寝落ちするまで本を読む。そしてまた竹ぼうきの音で目をさます。男の人生は木のようだった。いつも同じ場所にいて動かない。
同僚のタカシのいい加減さをどうして憎めないのか。いつものホームレスの男が気になる。清掃のあいまに見つける木漏れ日が好きだ。フィルムを現像してくれるこの店はいつまであるだろうか。銭湯で出会う老人が愛おしい。古本屋の女性の的確な書評を聞くのも悪くない。日曜だけ通う居酒屋のママの呟きが気になる。今日はあいにくの雨だ。それでも予定は変えない。そんな彼の日々に思いがけない出来事が起きる。そしてそれは彼の今を小さく揺らした。
昔からよくある「山なしオチなし何もなし」系映画。日々のルーチンワークが環境用BGMのように実に心地よい。とはいえパティ・スミスやルー・リード、ヴァン・モリソン。音楽の趣味は個人的に全然合わず。金延幸子は名前は知っているけど曲はひとつも知らない。とはいえ石川さゆり「朝日のあたる家」はよかったよ。監督さん日本人以上に日本に詳しい。顔を知っている俳優がピンポイント出演して面白い。
あと高額なミュージックテープ市場にびっくり。LP時代から商品そのものは流通していましたが、あんなのピンチローラーに絡まって巻き込こんだらお仕舞いやん。カセットテープは断固として拒否します。
主人公の人となりは説明されませんでしたが、セリフから勘案するに元はお金持ちの跡継ぎで、父親から勘当され世捨て人になったのだろうと思いました。描写はなかったけど性欲処理はどうしていたのだろう?石川さゆりに懸想して自慰でもしているのだろうか。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆
コメント
音はモノラル・画面サイズも16mmフイルムより小さい1:1ですね。
三浦友和が元妻の石川さゆりを押し付け懇願する所は声出して笑いそうになりました。カセットテープ小ネタ集も懐かしく笑えた。カセットカーステは保守大変で夏場テープ巻付き易いですね。今のSpotify等配信の方が安価で沢山の音楽楽しめますね。ガラケーにカセットにフイルムカメラの愛用は70才の私にも違和感あります。
作品としては時間過ぎるのも忘れるくらい楽しい映画です。
三浦友和が元妻の石川さゆりを押し付け懇願する所は声出して笑いそうになりました。カセットテープ小ネタ集も懐かしく笑えた。カセットカーステは保守大変で夏場テープ巻付き易いですね。今のSpotify等配信の方が安価で沢山の音楽楽しめますね。ガラケーにカセットにフイルムカメラの愛用は70才の私にも違和感あります。
作品としては時間過ぎるのも忘れるくらい楽しい映画です。
Posted by マーゴットロビー大好き at 2023年12月31日 15:26