2023年11月10日

【映画評】月

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自称日本版A24、実態は日本版人民網であられる思想工作部隊スターサンズ配給なので躊躇しておりましたが、ヒューマンドラマを起点に「望月衣塑子さんが日本を救う」「アベ政治を許さない」「福島汚染水排出はやめろ」等に着地させるお約束のリベラル仕草は一切ないとのことで公開終了間際に恐る恐る鑑賞。

絶賛公開中!-映画「月」オフィシャルサイト

イントロダクション
実際の障害者殺傷事件を題材に、2017年に発表された辺見庸の小説「月」。本作は、『新聞記者』、『空白』を手掛けてきたスターサンズの故・河村光庸プロデューサーが最も挑戦したかった原作だった。それを映画化するということは、この社会において、禁忌タブーとされる領域の奥深くへと大胆に踏み込むことだった・・・。オファーを受けた石井監督は、「撮らなければならない映画だと覚悟を決めた」という。その信念のもと、原作を独自に再構成し、渾身の力と生々しい血肉の通った破格の表現としてスクリーンに叩きつける。そして宮沢りえ、オダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみといった第一級の俳優陣たちもまた、ただならぬ覚悟で参加した。本作は日本を代表する精鋭映画人たちによる、最も尖鋭的な総力をあげた戦いだといっても過言ではない。もはや社会派だとか、ヒューマンドラマだとか、有り体の言葉では片づけられない。なぜならこの作品が描いている本質は、社会が、そして個人が問題に対して“見て見ぬふり”をしてきた現実をつまびらかにしているからだ。本作が世に放たれるーそれはすなわち、「映画」という刃が自分たちに向くということだ。覚悟しなければならない。そう、もう逃げられないことはわかっているからー。

ストーリー
深い森の奥にある重度障害者施設。ここで新しく働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は“書けなくなった”元・有名作家だ。彼女を「師匠」と呼ぶ夫の昌平(オダギリジョー)と、ふたりで慎ましい暮らしを営んでいる。洋子は他の職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにするが、それを訴えても聞き入れてはもらえない。そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんだった。彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく――。

監督・脚本:石井裕也
この話をもらった時、震えました。怖かったですが、すぐに逃げられないと悟りました。撮らなければいけない映画だと覚悟を決めました。多くの人が目を背けようとする問題を扱っています。ですが、これは簡単に無視していい問題ではなく、他人事ではないどころか、むしろ私たちにとってとても大切な問題です。この映画を一緒に作ったのは、人の命や尊厳に真正面から向き合う覚悟を決めた最高の俳優とスタッフたちです。人の目が届かないところにある闇を描いたからこそ、誰も観たことがない類の映画になりました。異様な熱気に満ちています。宮沢りえさんがとにかく凄まじいです。

プロデューサー:長井龍
目の前の問題に蓋をするという行為が、この物語で描かれる環境に限らず、社会の至る所に潜んでいるのではないか、という問いが映画『月』には含まれています。
障害福祉に従事されている方にも本作をご覧頂き「この映画を通して、障害者の置かれている世界を知ってもらいたい」という言葉も預かりました。本作を届けていく必要性を改めて噛み締めています。そして、映画製作を通して、この数年で障害福祉の環境が変わろうとしている現実も目の当たりにしました。そのこともまた、社会の持つ可能性のひとつだと信じています。




論評も差し控えざるを得ないほどテーマが高尚過ぎるので何とも形容詞難い作品でしたが、2時間強に亘る尺であれフィルムを足したり引いたりする事は憚られるほどタイトな構成。

ジルベール二階堂ふみオダギリジョーも圧倒的好演なれど、宮沢りえもうちょっと色気欲しかった。そういう演技指導なのでしょうけど映画のトーンを増幅するギスギスした存在感。

ジルベールは本日公開「正欲」も主演張っているし、いつの間にかキャラ被りな綾野剛を凌駕してしまった印象。オカマから殺人鬼まで幅広い演技と安定感ある佇まい。

【映画評】愛にイナズマ」みたいな空回り系もいいけれど、石井裕也監督は「やまゆり園事件」を起点に著名猟奇事件の映画化に切り込んでみては如何でしょう?

あとスターサンズは突然こういう普通の映画配給されると映画ファン的に混乱するので、メインストリームの「アベの血筋は穢れている系」「日本は謝罪と賠償しろ系」作品群と切り離し、こういう普通の映画用の別チャンネル作って頂ければ幸甚。但しリベラルが推進しているポリコレ表現規制がこのまま進むと本作のような映画も制作不能になりそうですね。自縄自縛状態のリベラル映画界どうするのだろう?

満足度(5点満点)
☆☆☆




Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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