2023年10月30日
【映画評】キリエのうた

岩井俊二観に行ったのは「リップヴァンウィンクル」が多分最後。「ラストレター」は観た記憶があるようなないような。翻り本作、アイナ・ジ・エンド知らないし広瀬すずは変な九州弁テレビドラマで印象最悪だったので本作は端から観に行く気はなかったのですが、「スワロウテイル好きならオススメ」という懐かしい作品名を聞き及び、それならと騙されたつもりで鑑賞したら大当たりでした。広瀬すずはテレビドラマ出演作を真面目に吟味するべき。「なつぞら」以降、3流作品女優の印象が強すぎる。
イントロダクション
13年間の出逢いと別れ。キリエの歌がつなぐ4人の物語。
『スワロウテイル』(96)『リリイ・シュシュのすべて』(01)――。時代を震わせてきた監督:岩井俊二×音楽:小林武史による新作映画が、遂に誕生した。
ふたりの心を射止めたのは、伝説的グループ「BiSH」を経て、現在はソロとして活動するアイナ・ジ・エンド。歌うことでしか“声”が出せない路上ミュージシャン・キリエ役で映画初主演を果たし、本作のために6曲を制作。スクリーン越しに圧巻の歌声を響かせる。
アイナと共に“運命の4人”を演じたのは、次代を担う面々。姿を消したフィアンセを捜し続ける青年・夏彦役に、松村北斗(SixTONES)。過去にとらわれた青年の複雑な心情表現を細やかな演技で魅せる。傷ついた人々に寄り添う教師・フミ役は、黒木華。清らかな慈愛を体現し、物語に奥行きを与える。過去を捨て、名前を捨て、キリエのマネージャーを買って出る謎めいた女性・イッコ役には、広瀬すず。今回は従来のイメージを覆す役どころに挑み、新境地を拓いた。
石巻、大阪、帯広、東京――。岩井監督のゆかりある地を舞台に紡がれる、出逢いと別れを繰り返す4人の壮大な旅路。儚い命と彷徨う心、そこに寄り添う音楽。 “あなた”がここにいるから――。13年に及ぶ魂の救済を見つめたこの物語は、スクリーンを越えて“貴方”の心と共振し、かけがえのない質量を遺す。
冒頭でご機嫌な陽水が2曲流れますが、安藤裕子と大塚愛でした。
それが企図されたものかどうかは存じませんが確かにスワロウテイルの令和版印象濃い。広瀬すずが三上博史役なのでそうなるかと思ったらそうなった。岩井俊二作品はそれなりに鑑賞していますが還暦迎え円熟味を増した印象。3時間超の尺なのに無駄なカットが全然ないわ。アイナ・ジ・エンドの声もいいし、90年代は時代の寵児だった小林武史も今はどういう創作活動されているのか存じませんが劇伴もよかった。今年観た映画では今のところ一番心地よい作品。尚鑑賞後に自宅で久々にスワロウテイル(Netflix)鑑賞しましたが本作の方が格段に面白かった。思い出補正ですね。
これで今年の☆5つ作品はリマスター版タイタニック、バビロンに続き3作品目となりました。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆☆