2023年05月15日
【映画評】TAR/ター

イントロダクション
『イン・ザ・ベッドルーム』『リトル・チルドレン』トッド・フィールド監督16年ぶりの待望の最新作!ベルリンフィル初の女性マエストロ<リディア・ター>、芸術と狂気がせめぎ合い、怪物が生まれる。その衝撃に世界平伏!
ケイト・ブランシェットが、自身の最高傑作を塗り替えた!4度目となるゴールデン・グローブ賞、ヴェネチア国際映画祭女優賞、全米・NY・LAの批評家協会賞と名誉ある賞を次々と制し、『ブルージャスミン』に続くアカデミー賞Rも最有力との声が日に日に高まっている。監督と脚本と製作は、これまで手掛けた長編映画『イン・ザ・ベッドルーム』と『リトル・チルドレン』の2作で、アカデミー賞R脚色賞にノミネートされたトッド・フィールド。16年ぶりとなる全世界熱望の最新作だ。フィールド監督が、その鋭敏な表現力によって、「唯一無二のアーティスト、ケイト・ブランシェットに向けて書いた」と語るのは、絶対的な権力を振りかざす天才的な指揮者リディア・ターの物語。音楽界の頂点に上りつめたターだったが、名声を守り続けるための重圧と、何者かに仕掛けられた陰謀によって、少しずつ心の闇が暴かれていく─。崇高なる芸術と人間の欲望と狂気が交錯し、誰も体感したことのない禁断の交響曲を奏でる、驚愕のサイコスリラー!
世界最高峰のオーケストラの一つであるドイツのベルリン・フィルで、女性として初めて首席指揮者に任命されたリディア・ター。彼女は並外れた才能とそれを上回る努力、類稀なるプロデュース力で、自身を輝けるブランドとして作り上げることに成功する。今や作曲家としても、圧倒的な地位を手にしたターだったが、マーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャー、そして新曲の創作に苦しんでいた。そんな時、かつてターが指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけられたターは、追いつめられていく─。
ターに扮するケイト・ブランシェットは、ドイツ語とアメリカ英語をマスターし、ピアノと指揮をプロフェッショナルから本格的に学び、すべての演奏シーンを自身で演じきった。ターのオーケストラのコンサートマスターで、ターの恋人でもあり、養女を一緒に育てているシャロンには、『Yella(原題)』でベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を受賞し、本作でインディペンデント・スピリット賞にノミネートされたニーナ・ホス。きれいごとの愛だけには収まらない二人の関係を、複雑な感情をたたえた強い瞳で体現した。ターのアシスタントで副指揮者を目指すフランチェスカには、『燃ゆる女の肖像』で一躍注目され、セザール賞にノミネートされたノエミ・メルラン。師弟関係にありながら、どちらも相手を信用できずにいる緊張感あふれる人間模様を表現した。ロシア人チェロ奏者オルガ役には、実際にチェロ奏者として活動し、本作が俳優デビューとなるソフィー・カウアー。多数の演奏家と俳優が参加したオーディションで見事に抜擢され、ターを振り回す自由奔放なオルガを瑞々しく演じた。投資銀行家でターの財団を支援するエリオットには、『キングスマン』の名優マーク・ストロング。
本物のクラシックの世界を描きたいと考えたフィールド監督のために、「指揮者は何を考えているか」の著書で知られ、レナード・バーンスタインと親交の深かった指揮者ジョン・マウチェリが脚本の監修を務めた。さらに、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地での撮影が実現。『ジョーカー』でアカデミー賞Rを受賞したヒドゥル・グドナドッティルが音楽を担当、クラシック音楽映画にジャズと民族音楽も忍ばせ、独自の世界観を構築した。五感を震わせる圧巻のラストが、あなたを待つ!目を凝らせ!
ストーリー
リディア・ター(ケイト・ブランシェット)に、叶わぬ夢などなかった。アメリカの5大オーケストラで指揮者を務めた後、ベルリン・フィルの首席指揮者に就任、7年を経た今も変わらず活躍する一方、作曲者としての才能も発揮し、エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞のすべてを制した。師バーンスタインと同じくマーラーを愛し、ベルリン・フィルで唯一録音を果たせていない交響曲第5番を、遂に来月ライブ録音し発売する予定だ。加えて、自伝の出版も控えている。また、投資銀行家でアマチュアオーケストラの指揮者としても活動するエリオット・カプラン(マーク・ストロング)の支援を得て、若手女性指揮者に教育と公演のチャンスを与える団体「アコーディオン財団」も設立し、ジュリアード音楽院でも講義を持つことになった。そんな超多忙なターを公私共に支えているのは、オーケストラのコンサートマスターでヴァイオリン奏者のシャロン(ニーナ・ホス)だ。彼女はターの恋人で、養女のペトラを一緒に育てるパートナーでもある。さらに、ターの副指揮者を目指す、アシスタントのフランチェスカ(ノエミ・メルラン)も、厳格かつ緻密なターの要求に応えていた。誰もが自分に従う王国に君臨するターだが、このところ新曲の生みの苦しみに頭を痛めている。仕事部屋に独りでこもり思索に没頭していたターは、どこかの部屋からかそれとも幻聴なのか妙な音が聞こえるようになる。同時に交響曲第5番のリハーサルも始まるが、ターが要求する水準はこれまでより遥かに高く、彼女の思う演奏にはなかなか辿り着かないことにも焦っていた。
そんな中、財団のプログラムでターが指導した、クリスタという若手指揮者が自殺したのだ。ターは巻き込まれることを恐れて、それらのメールをすぐさま削除する。夜中、規則正しいリズムの音で目覚めるター。何事かと探すと、書斎のメトロノームがつけっぱなしになっていた。ペトラかと疑うが、彼女は勝手に入ったりしないという。リハーサルは相変わらずうまくいかず、クビにしようとした副指揮者のセバスチャンからは、フランチェスカと関係があって彼女をひいきにしているのだと非難される。そのフランチェスカもターの命令に背いて、クリスタからの抗議のメールを削除していなかった。
様々な重圧から追い込まれていくターの唯一の喜びは、新人チェロリストのオルガ(ソフィー・カウアー)の存在だった。その輝く才能と何事にも物怖じしない奔放さに惹かれたのだ。ターはコンサートのもう1曲を、オリガが得意だというエルガーのチェロ協奏曲に決定し、ソロ奏者はオーディションで選ぶと発表する。第一奏者は傷つき、シャロンは嫉妬にかられ、他の楽団員たちにも驚きと反発が広がっていく。ようやく演奏が完成に近づいた時、ターは財団からクリスタの自殺に関して、弁護士に連絡するようにと指示される。財団にターへの告発状が届いたというのだ。思いがけない陰謀が動き始め、ターの心の闇は少しずつ広がっていく─。
ニーナ・ホス久々にスクリーンで拝見しましたが、おばちゃんになったなあ。
最初はシリアス系のドラマかと思っていましたが途中で気付いた。これブラック・コメディ映画やん。要は諸々の軋轢でアタマがクルクルパーになったターさんが見る幻視や幻聴を真面目に描写しているから観客がミスリードに誘い込まれる(またはクリスタの怨念がサブテーマのハリウッド版呪怨)。キャラ付け的には「ブルージャスミン」と一緒。最後のシーンも特に意味など考えず、落ちぶれた末、大阪の指揮者さえ嫌がるフィリピンのアニメ/ゲーム劇伴指揮者に落ち着いたんだね。って感じでは。(偶然ですがトム&ジェリー等のアニメフィルム連動九州交響楽団コンサート観に行く予定です)
という事でチェロの姉ちゃん筆頭に各キャストのキャラ立っているし、気高い気違いやらせたら右に出る者はいないケイト・ブランシェット好き的にも期待通りの160分狂気の絶品。音圧が凄いので是非映画館で!
満足度(5点満点)
☆☆☆☆
コメント
ファイルアーカイブを作成するUNIXコマンドの映画かと思ったら違ってた
Posted by POSIX at 2023年05月15日 20:30
サウンドトラックが独グラモフォンから出ているから一瞬実在の指揮者かと思った笑
ターのモデルと思しき女性指揮者がこの作品に否定的な見解を出していたからフェミさんには刺さる内容なんだろう。
ターのモデルと思しき女性指揮者がこの作品に否定的な見解を出していたからフェミさんには刺さる内容なんだろう。
Posted by hb at 2023年05月19日 13:58