2023年02月22日
【映画評】ベネデッタ

監督メッセージ
ベネデッタの物語の独特な性質に惹かれたんだ。17世紀初めに修道女の同性愛についての裁判があったこと、裁判の記録や本書のセクシュアリティの描写がとても詳細なことにも感銘を受けた。そして、完全に男が支配するこの時代に、才能、幻視、狂言、嘘、創造性で登り詰め、本物の権力を手にした女性がいたという点だ。私の映画の多くは女性が中心にいる。つまり、ベネデッタは『氷の微笑』『ショーガール』『ブラックブック』『エル ELLE』のヒロインたちの親戚というわけさ。
イントロダクション
『エル ELLE』の次にヴァーホーベンが題材に選んだのは17世紀に実在した修道女の裁判記録。幼い頃からキリストのビジョンを見続け、聖痕や奇蹟を起こし民衆から崇められた一方、同性愛の罪で裁判にかけられたベネデッタ・カルリーニ。男性が支配する時代に権力を手にした彼女がおこした奇蹟は本物か、はたまた狂言か。彼女に翻弄される人々を描いた奇想天外セクシュアル・サスペンスが完成した。主演は『エル ELLE』にも出演しているヴィルジニー・エフィラ。更に世界的大女優シャーロット・ランプリングがベネデッタに疑惑の目を向ける修道院長を演じ「この映画に出演しない理由が見当たらない」と出演理由を述べている。
ストーリー
17世紀イタリア。幼い頃から聖母マリアと対話し奇蹟を起こす少女とされていたベネデッタは6歳で修道院に入る。純粋無垢なまま成人したベネデッタは、ある日修道院に逃げ込んできた若い女性を助ける。様々な心情が絡み合い2人は秘密の関係を深めるが、同時期にベネデッタが聖痕を受け、イエスに娶られたとみなされ新しい修道院長に就任したことで周囲に波紋が広がる。民衆には聖女と崇められ権力を手にしたベネデッタだったが、彼女に疑惑と嫉妬の目を向けた修道女の身に耐えがたい悲劇が起こる。そして、ペスト流行にベネデッタを糾弾する教皇大使の来訪が重なり、町全体に更なる混乱と騒動が降りかかろうとしていた…。
どちらかと言うと「羅生門」系。とはいえ意識低く「ほら、皆さんここですよ!ここ!」とネタをチラ見せしてくれるのでとっても明快。とっても嬉しい。
(同じタイミングで観たパク・チャヌク「別れる決心」は意識高すぎて疲れた)
ネットで吠えているフェミニストなら漏れなく激怒する内容ではありますが、その権威に満ちた男性社会を崩壊させる様は近年見た作品では非常に理想的なフェミニスト作品に映りました。
どっかのニュースで読んだけど
映画評論家)「こんなバカな話があるか」
監督)「実際あったからしかたねーだろ」
この会話思い出しながらわろた。
あと真面目な話をしますに、中世の「乳がん」をここまでリアルに描写した作品は記憶にない。古今東西、著名人の「ガン死」エピソードってあまり耳に入らないけど実際は主要な部位のガンは当時もあったと思いますし、無論原因が分からなければそれは「不信仰」だの「悪魔」だの「祟り」だので解決させたのでしょうね。
何れにせよシャーロット・ランプリング姐さん、演技よく頑張った。ググったら御年77だって。バーホーベン監督(84歳)共々、いつまでもお元気でね!
という事で往年のポール・バーホーベンファンは劇場へ行くべし!行くべし!
満足度(5点満点)
☆☆☆