2022年09月09日
【映画評】デリシュ!

世界初のレストラン〜レストランの起源という触れ込みで鑑賞。
レストランというよりドライブインですね。根菜は人間の食い物じゃなく災いをもたらす悪魔の産物。
イントロダクション
美食の国、フランス。そのフランスで初めてレストランを作った男の爽快な人間ドラマ。フランス革命前夜。宮廷料理人であるマンスロンは、公爵主催の食事会で渾身の料理を振る舞う。しかし、自慢の創作料理が貴族たちの反感を買い公爵から解雇されるところから物語は始まる。貴族と庶民が同じ場所で食を共にすることが考えられなかった時代から、「レストラン」は、その誕生と共に貴族も庶民も共に食事を楽しむ場となった。フランス革命と共に訪れる「食の革命」。食欲がそそられる美しい映像は必見。監督は、フランスで長く脚本家のキャリアを積んだエリック・ベナール。今作が長編第7作、初の時代劇となる。主人公のマンスロンに『グッバイ・ゴダール!』(17)や『オフィサー・アンド・スパイ』(19)のグレゴリー・ガドゥボワ、『記憶の森』(01)でセザール賞主演女優を受賞したイザベル・カレがマンスロンと共に料理で公爵と対決する謎の女性ルイーズを演じる。先が見えない2022年秋、美味しくて華やかな映画が誕生した。
ストーリー
1789年、革命直前のフランス。誇り高い宮廷料理人のマンスロンは、自慢の創作料理「デリシュ」にジャガイモを使ったことが貴族たちの反感を買い、主人である傲慢な公爵に解任され、息子と共に実家に戻ることに。もう料理はしないと決めたが、ある日彼の側で料理を学びたいという女性ルイーズが訪ねてくる。はじめは不審がっていたマンスロンだったが、彼女の真っ直ぐな想いに触れるうちに料理への情熱を取り戻し、ついにふたりは世界で初めて一般人のために開かれたレストランを営むことになる。店はたちまち評判となり、公爵にその存在を知られてしまう…。
エリック・ベナール監督インタビュー
Q.この映画のアイデアはどこから来たのですか?
ジャンル映画を3作品、その他に自分の身内にオマージュを捧げた3作品を撮った後、私はフランスのアイデンティティを形作るものに焦点を当てたいと思いました。自分たちの国の神話とアイデンティティに絶えず取り組んでいるアメリカ人は、この分野のチャンピオンです。彼らは星条旗、開拓者精神、そして自立した男の神話を持っています。イギリスには孤高性と王族があります。フランス人のDNAに関するプロジェクトを構築する可能性について考えたかったのです。18世紀について読んでいるとレストランのコンセプトの発明に出くわしました。私はこの歴史的遺産の起源について疑問に思ったことはありませんでしたので、いくつかの調査をしましたが、すぐに手ごたえを感じました。美食という、座って食事をし、陽気な瞬間を共有すると同時に、啓蒙の時代と革命の要素を全て備えているものがそこにありました。
Q.皆はマンスロンが饗宴に加えたジャガイモとトリュフの重ね包み焼きである「デリシュ」を公然と嘲笑します。
18世紀において、料理人はひたすら料理を複製することが求められ、何も発明することができず、イニシアチブもありません。したがって、マンスロンが彼の創造物を提供したことは不服従の罪に当たりますが、彼はより深刻な犯罪、すなわち食用でないだけでなくハンセン病などの病気をもたらすと教会によって断定されていた地中からの作物を使用したという罪を犯したのです。ジャガイモやトリュフは悪魔の産物と考えられていました。当時貴族と聖職者は同様に天国の食べ物ということを未だに信じていました。空中にいるという要素が多ければ多いほど、神聖な存在になるのです。鳩なんかは完璧で、地面に近い牛はちょっと劣る…という具合に。ジャガイモは非常に栄養価が高いですが、フランスで認められるまではもう100年かかります。そして、農民にその価値を理解させるために畑に兵士を配備して守るよう王を説得したという農学者パルマンティエの尽力によって、ジャガイモはフランス人の習慣に定着したのです。
冒頭のスタイリッシュな調理描写に惹き込まれましたが、あとは淡々と普通のドラマ。ラブストーリー展開は本当邪魔。がっつり詳細な調理シーンを節目節目で挿入すればいいのに実に勿体ない。マヨネーズシーンみたいなやつね。調理に限らず素材集めや器とか塩や砂糖、香辛料とか氷とかお酒とか、当時の人々がゼロベースでどうやって作り上げていくのか興味津々だったのに〜
息を呑んだ調理シーン動画はこちら。
肝心の料理についてもスイーツの類以外はさほど美味しそうには見えませんでした。これの日本版是非見たいね。暢子が沖縄では初めてのレストランを..みたいなドラマは却下。
満足度(5点満点)
☆☆