2022年04月25日

【映画評】英雄の証明

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本邦上映されるファルハディ監督作品は毎回必ず正座し鑑賞している生娘シャブ漬けファルハディ牛丼ファンです。

映画『英雄の証明』公式サイト

イントロダクション
2度の米アカデミー賞受賞監督アスガー・ファルハディ。社会に渦巻く歪んだ正義と不条理を、現代に生きる私たちに突きつけてくる極上のヒューマン・サスペンス。
 2011年の『別離』でベルリン国際映画祭にて3冠に輝き、2016年の『セールスマン』ではカンヌ国際映画祭の男優賞、脚本賞をダブル受賞。この2作品で米アカデミー賞外国語映画賞も制したアスガー・ファルハディ監督は、今や誰もが認める世界的な巨匠である。母国イランとヨーロッパを股にかけて活躍するファルハディ監督は、人間と社会の本質に鋭く切り込む傑作を世に送り出してきたが、緻密な脚本や演出力に裏打ちされたその作風は、このうえなく濃密なサスペンスの要素をはらんでいる。ごく穏やかな日常の中に生じた小さなひび割れのような出来事が、登場人物の人生を根底から揺るがす事態に発展していく様を、張り詰めた緊張感を持ちつつ情感豊かに描出。その比類なきストーリーテリングの妙技が世界中の観客を魅了してきた。

 ファルハディ監督の長編第9作『英雄の証明』は、数多くの古代遺跡が現存する南西部の古都シラーズを舞台に、借金苦にあえぐ男に突然舞い込んだ苦境打開のチャンスを描くサスペンスフルな物語。手にした金貨は、幸運な奇跡か、それとも神が与えた試練なのか。主人公の何気ない“選択”が思いもよらない社会現象を起こし、父親を信じる無垢な子供をも残酷に巻き込んだ大事件を招き寄せてしまう予測不可能なストーリー展開からひとときも目が離せない。
 第74回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、2021年度の米アカデミー賞国際長編映画賞・ショートリストにも選定されている本作は、まぎれもなくファルハディ監督の新たな代表作となるだろう。

ストーリー
大きな正義感と小さな嘘。「賞賛」と「疑惑」が交錯するソーシャルメディアの光と闇。汚された名誉、狂わされた人生の行方は−
 元看板職人のラヒムは借金を返せなかった罪で投獄されている服役囚だ。そんな彼の婚約者が、偶然にも17枚の金貨が入ったバッグを拾う。それは将来を誓い合った恋人たちにとって、まさしく神からの贈り物のように思えた。借金を返済さえすれば、その日にでも出所できるラヒムは、金貨を元手にして訴訟を取り下げてもらおうと奔走するも示談交渉は失敗。いつしか罪悪感を持ち始め、金貨を落とし主に返すことを決意する。するとそのささやかな善行は、メディアに報じられ大反響を呼び“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられていく。吃音症の幼い息子もそんな父の姿を誇らしく感じていた。借金返済のための寄付金が殺到し、出所後の就職先も斡旋されたラヒムは、未来への希望に胸をふくらませる。ところがSNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変し、周囲の狂騒に翻弄され、汚された名誉を挽回するためラヒムは悪意のない嘘をついてしまう……。

 “英雄”ラヒムをめぐって、彼の行いを褒め称える者、利用しようとする者、疑惑の眼差しを向ける者たちの思惑が絡み合う本作は、人間の倫理観を問うサスペンス劇である。ファルハディ監督はそうした普遍的なテーマを追求するにあたって、いまや世界中で絶大となったSNSやメディアの影響力に着目。英雄として持ち上げられ、一方で詐欺師と呼ばれるラヒムのとてつもなく振れ幅の大きな運命を通して、真実というものの曖昧さや、社会に潜む欲望とエゴを現代的な切り口であぶり出す。




ヒジャブあんなに地面へ引き摺って大丈夫?ドロドロでしょ?
ファルハディ監督作品は面倒くさい事で定評があるのは承知していますが、周囲の見栄の張り合いに主人公が翻弄される色々面倒臭い展開。善か悪か?なんてのは立ち位置によって変わるのは当然で、独楽のようにクルクル回る展開の妙はさすがファルハディ。とはいえやっぱり面倒くさい。

満足度(5点満点)
☆☆☆





Posted by kingcurtis 固定リンクComments(1)映画 
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コメント
邦題が、やったぜ。
Posted by COVID-114514 at 2022年04月28日 12:28
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