2022年04月11日
【映画評】ハッチング ー孵化ー
mixiチェックイントロダクション
2022年サンダンス映画祭(ミッドナイト部門)でプレミア上映されるや、その美しくも不穏な世界観で世界を驚愕させ、フランスで開催されるジャンル映画に特化した国際映画祭、ジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭でもグランプリを受賞した『ハッチング―孵化―』。少女が孵化させた卵が、絵に描いたような幸せな家族のおぞましい真の姿をさらしていく―。
主人公の少女ティンヤを演じるのは1200人のオーディションから選ばれたシーリ・ソラリンナ。母親を喜ばせるために自分を抑制する、この年代特有の儚さを見事に演じきっている。母親役はフィンランドで多くの作品に出演するソフィア・ヘイッキラ。理想の家族像を作り上げ、娘を所有物として扱う自己中心的な母親を演じている。
メガホンをとるのは多くの短編作品を世界の映画祭に出品して高い評価を受け、今回が長編デビュー作となる新鋭女性監督ハンナ・ベルイホルム。北欧の明るさの中に潜む恐怖を見事に切り取ってみせている。
『ぼくのエリ 200歳の少女』『ボーダー 二つの世界』に次ぐ、北欧発の新たな傑作ホラー、日本解禁。
ストーリー
北欧フィンランド。
12歳の少女ティンヤは、完璧で幸せな自身の家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすために全てを我慢し自分を抑え、新体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。家族に秘密にしながら、その卵を自分のベッドで温めるティンヤ。
やがて卵は大きくなりはじめ、遂には孵化する。卵から生まれた‘それ’は、幸福な家族の仮面を剥ぎ取っていく・・・。
イントロダクションにある(『ぼくのエリ 200歳の少女』『ボーダー 二つの世界』に次ぐ)ですが、そういうシリアス系とは一線を画しています。北欧系なら「獣は月夜に夢を見る」とか「テルマ」みたいなそっち系。
何が出るかな?の映画かと思っていましたが生まれた後からが本番。よくこんなストーリー考えるなぁ。一歩間違うとガタガタな三流ホラーに陥りそうですがそこは歴史ある北欧ホラー、絶妙な味付けで最後まで飽きさせない。というか何でこんなオチなんだよwww
家の中で少女二人が暴れ回るシーンは一瞬「籠の中の乙女」を彷彿しましたが、そういやヨルゴス・ランティモス監督、各賞総なめにした「女王陛下のお気に入り」以降、かれこれ4〜5年活動が停止しておりますが、ああいう格調高い作品作りなどとっとと止めて、本作のようなマジキチ路線に舞い戻って頂きたい所存であります。
満足度(5点満点)
☆☆☆