2021年11月02日
【映画評】リスペクト
mixiチェックイントロダクション
『ドリームガールズ』でアカデミー賞R受賞のジェニファー・ハドソンが贈る、音楽エンターテインメントの傑作が誕生!
今こそ、夢とパワーを与えてくれる映画をあなたへ――。
ローリング・ストーン誌が選ぶ「史上最も偉大な100人のシンガー」の第1位に選ばれた伝説的歌姫アレサ・フランクリンを、『ドリームガールズ』でアカデミー賞R助演女優賞を受賞、歌手としてもグラミー賞を制したジェニファー・ハドソンが演じ、圧巻の歌唱力と息をのむパフォーマンスで見る者を魅了する。
また本編を彩る名曲の数々も見逃せない。世に虐げられてきたアレサが姉妹たちと生み出す「リスペクト」、ミュージシャンたちとのセッションで曲を作り上げていく様が音楽ファンなら鳥肌モノの「貴方だけを愛して」、夫への別れを突きつける圧巻のステージで歌う「シンク」や、多くの女性の心をつかむ「ナチュラル・ウーマン」など、音楽が物語に更なる命を吹き込んでいく。
ストーリー
子供のころから圧倒的な歌唱力で天才と称され、ショービズ界の華として喝采を浴びるアレサ・フランクリン(ジェニファー・ハドソン)。しかし輝かしい活躍の裏では、尊敬する父(フォレスト・ウィテカー)や愛する夫(マーロン・ウェイアンズ)の束縛や裏切りに苦しんでいた。ぎりぎりまで追い詰められた彼女は、全てを捨て自分の力で生きていこうと決断する。やがてアレサの心の叫びを込めた歌声は世界を熱狂させ、彼女自身も自らへの“リスペクト”を取り戻す。
プロダクションノート
描きたかったのは、「世界一の歌声を持ちながら、その声が何かをまだ知らない女性の物語。」
アレサ・フランクリンのキャリアにおける最後の13年間、彼女と一緒に音楽に取り組んできた音楽プロデューサーのハーヴィー・メイソン・Jrは、本作プロデューサーのスコット・バーンスタインとアレサについての映画を企画し、「ただの伝記映画ではなく、一人の人間の一生よりも、もっと大切な何かを描きたい」と話し合った。メイソンとバーンスタインはアレサに電話をかけ、「約3時間、彼女の物語がどんなものになるかを話した。それが4年にわたる旅の始まりだった」と振り返る。
メイソンはどうしてもアレサの映画を作りたかった理由を、「彼女の声の裏側には、たくさんの歴史と物語がある。アレサのことを知れば知るほど、彼女の物語を人々に知ってもらうべきだと考えた。今のような時代にこそ、貴重で感動的な物語だ」と説明する。
監督を務めることになったリーズル・トミーは、「どうやってスターが生まれるのか、その旅路はどのようなものか、いつも興味を持っている。アレサが子供の頃から、天才的な音楽家だと言われていたことは知っていたけれど、デビューから数年、コロンビア・レコードから出したアルバムは、どれもヒットしていない。世界で最も素晴らしい歌声を持ちながら、その声が何であるかをまだ知らない女性の話を語りたいと思ったの」と振り返る。
製作陣の話し合いの結果、アレサの幼少期と、60〜70年代にフォーカスすることが決まった。アレサの姪であるサブリナ・ギャレット・オーウェンズは、「彼らが選んだのは本当に良い時期よ」と賛同する。「アレサは素晴らしい人生を送り、約50年も歌い続けた。彼女の物語を2時間で語るのが不可能なことは誰もがわかっている。だからこそ、ある特定の時代に焦点を当て、その瞬間を捉える必要がある。彼女が最高の状態にあった60年代と70年代は、彼女の人生の中で最もドラマティックで非常に重要な時期だと思う」
アレサ本人が抜擢したジェニファー・ハドソン
アレサ・フランクリン役は、アレサ本人からジェニファー・ハドソンにオファーされた。ジェニファーはアレサとの出会いについて、こう振り返る。「2004年4月に『アメリカン・アイドル』から7位で脱落した後、アレサがインディアナ州のメリービルでショーを行っていると知って、彼女の前座を務めたいと思ったの。アレサは歌手の前座を許さず、コメディアンと回っていることは周知の事実だったけれど、彼女は私の前座を認めてくれた。それは彼女と共有した多くの瞬間と同様に、夢のようなことだった」
その後、ジェニファーは『ドリームガールズ』で喝采を浴びたが、「私には夢があった。あんな大役の後に?と言う人もいたけれど、私はそれに勝るものはアレサ・フランクリンを演じることだけだと答えたの」と語る。「私がオスカーを受賞した直後、アレサは私に会いたがっていた。ニューヨークにいた時、15年以上も前のことね。私たちは本当に長い間、じっくりと私が彼女を演じることについて話したの。彼女は私がとても控えめだと言い、『あなたは恥ずかしがり屋なの?』と聞いてきた。『私の目の前の話し相手は、アレサ・フランクリンさんなんですよ!』と答えたのを覚えているわ。『ドリームガールズ』を観て、私が若き日のアレサを彷彿とさせると言う人がいた。今となっては、運命的なものだったのかもしれない」
アレサの姪のオーウェンズは、ジェニファーの起用を心から喜び、「アレサがジェニファーを選んだのは、自分と共通点があったからよ。二人とも教会で育ったから、声にゴスペルのサウンドがあり、広い声域を持っている」と指摘する。
トミー監督は、「アレサはジェニファーの才能をわかっていた。いつの時代にも通用する、素晴らしい歌声を持つ人物に演じてほしかったのだと思う。ジェニファーには並外れた感情表現力があり、彼女の目を見ながら話を聴いていると、アレサがなぜ彼女を選んだのかがわかる」と語る。
最初のヒット曲「貴方だけを愛して」のレコーディングを再現
音楽プロデューサーを務めた、ジェイソン・マイケル・ウェッブとスティーヴン・ブレイは、アレサが教会でゴスペルを始めてから音楽界の大物になるまでの旅路をキュレーションした。ブレイはソウルの女王のサウンドを生み出した過程を説明する。「1967〜68年にできるだけ近い状態を再現した。マイクやギター、ドラムなどは、彼らが使っていた物に近づけた。模倣でもなく、アレサらしさのない歌い方になって気が散ってしまうことがあってもならず、素晴らしいパフォーマンスでなければならなかった」
ウェッブは、「非凡な歌声とサウンドを探していたアレサにとって、『貴方だけを愛して』が大転換だった。だからこそ、私たちが当時のサウンドを発見し、レコード制作を再現したこの曲こそが、私たちが知るアレサの始まりだと思う」と解説する。
ジェニファーがこう付け加える。「アレサは『貴方だけを愛して』で、自分の声を見つけることができた。スタジオに入ってきた時、彼女はテッドの後ろにいた。けれど、そのシーンが終わる頃には、完全に空間一体を支配したの」
時代を忠実に再現した美術と、ソウルの女王への道のりを表現した衣装
プロダクションデザイナーのアイナ・メイヒューは、「50年代から70年代前半が舞台と知って、当時のデザインの転換点とスタイルを延々とリサーチしたの。アレサの幼少期の家を調べると、小さなモノクロ写真が1枚だけあったけれど、その家がどのような感じだったのかを読み取るのは困難だった。父親のオフィスの壁紙の質感はわかったので、それを再現するのは楽しかったわ。当時の雰囲気を感じてもらいつつも、色あせた感じにはしたくなかった。特に家具については、骨組は見つかったものの、多くのものは朽ち果てていた。そこで、当時使われていた素材を探してきて、すべて張り替えた」と説明する。
大胆でドラマティックなステージ衣装は、ソウルの女王のストーリーを語る上で重要だ。アレサのアルバムカバー、パフォーマンス、そして公の場で見せる姿は、流行を作り出していた。アレサの外見は時と共に進化し、アーティストや著名人としての彼女自身の成長と発展を反映しているだけでなく、時代の表れでもある。衣装デザイナーのクリント・ラモスは、「資料を読んで一人の女性としてアレサを理解してから、見つけられる限りの彼女の画像を探した。ジェニファーには、普段着からかなり親密な場で着る物、そして華麗なコンサートドレスまで、およそ85着の衣装を用意した。最も難しかったのは、人間国宝でもある芸能人と一人の人間としての彼女の姿のバランスをとることだった」と語る。
ジェニファーは、「なぜ彼女がこの衣装を着て女王になったのかがわかった。衣装から彼女の人となり、個性を知ることができた。クリントのデザインは、それ自体がひとつのキャラクターのようだった」と称賛する。
こんな時代だからこそ、全ての人々に“リスペクト”を――。
こうして完成した映画では、アレサは「人として女性としての真の自由を求めて戦うファイター」としても描かれている。公民権運動の指導者として歴史に名を残すマーティン・ルーサー・キング・ジュニアと交流のあったアレサは、暗殺された彼の葬儀で哀悼の歌を捧げる。さらに、自らを危険にさらしてまでブラックパワーの活動家アンジェラ・デイヴィスを支持する鮮烈なシーンも挿入される。トミー監督は、「自分自身と次の世代のために戦うことの重要さを、今の時代だからこそ示したかった。これらのエピソードは不可欠だったの」と語る。
さらに、本作のタイトルにもなった楽曲「リスペクト」の影響力は音楽の世界だけにとどまらず、人種や男女平等を訴える人々に勇気を与える象徴的な応援歌となった。その他にも、アレサの歌や発言、行動は、現在のフェミニズムやLGBTQ、#MeToo運動の大きな礎の一つだと言える。
今、私たちの暮らしは、大きな転換期を迎えている。世界各国の政治と経済が激しく揺れ動き、そんな危機的状況にパンデミックが拍車をかけた。「自分のことは自分で守らなければならない時代」を生き抜く私たちに、アレサの歌と生き方が進むべき道を照らしてくれる。
「自分自身のアーティストであれ。そして自分のやっていることに常に自信を持て」──アレサ・フランクリン
生前に完成したらよかったのにね。
ジェニファー・ハドソンは鼻から上が広瀬すず、鼻から下が広瀬アリスそっくり。
70年前後の活動時期にフォーカス当てているのは大正義ですが、ぶっちゃけ映画作品としてのエンターテインメント性は乏しいです。所謂ファンムービー的な。ビヨンセ「ドリームガールズ」が10とすれば4程度。親子の葛藤とかDV旦那とかそんなに深堀りしなくていいのにね。それよりもオーティス・レディングとかレイ・チャールズ等ミュージシャン同士のエピソードが見たかったぞ。とはいえこの辺りに造詣深い音楽ファンなら必見の映画です。演奏シーンはホンモノ寄せでかっこいい。エンドロールで役名「king curtis」ありました。セリフで何度か「キング・カーティス」出たし、欧州公演ではサックス吹いていたね。
最後のパートはアメイジング・グレイス映画撮影シーン。改めて動画で確認したけど教会内部も衣装もホンモノと全く一緒の設定です。撮影失敗お蔵入りエピソードは割愛。あれが面白いのに。
どうせなら「ブルース・ブラザーズ」撮影シーンも再演して欲しかった。
あれのドキュメンタリーは目からウロコなまさに音楽の神映画でした。今ならアマプラたったの550円で観られるぞ。
訂正:ああ勘違い。レッキング・クルーじゃなくマッスル・ショールズでした〜
【映画評】黄金のメロディ マッスル・ショールズ
という事で評価はソウル・ミュージックファンとしては☆4、単なる映画好きの立場なら☆3です。アトランティックレーベル盤アレサを沢山の人に知ってほしい/聴いて欲しいですね。下に貼付したアフィのワンボックスで網羅できるよ。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆
コメント
BOBさん、写真にアレサと写っているスタジオ・ミュージシャン達はレッキング・クルーではありません。レッキング・クルーは当時ロサンゼルスのスタジオを拠点にしていたトップ・スタジオ・ミュージシャン達の総称です。
写真のミュージシャンたちは後にマッスルショールズ・リズム・セクションとも呼ばれたスワンパーズのメンバー。当時はこの写真一番右に居るリック・ホールのFAMEスタジオ専属のスタジオ・ミュージシャンでした。
映画『黄金のメロディ〜マッスル・ショールズ〜』がまさにこのチームを描いたドキュメンタリーで、リック・ホール、スワンパーズ他、アレサ・フランクリンも登場します。
写真のミュージシャンたちは後にマッスルショールズ・リズム・セクションとも呼ばれたスワンパーズのメンバー。当時はこの写真一番右に居るリック・ホールのFAMEスタジオ専属のスタジオ・ミュージシャンでした。
映画『黄金のメロディ〜マッスル・ショールズ〜』がまさにこのチームを描いたドキュメンタリーで、リック・ホール、スワンパーズ他、アレサ・フランクリンも登場します。
Posted by ななし at 2021年11月09日 13:09
あーすみませんすみません。完全に勘違いしていました。
マッスル・ショールズの映画も映画評書いていました(涙)
書いていてなんかおかしいと思ったんですよw
マッスル・ショールズの映画も映画評書いていました(涙)
書いていてなんかおかしいと思ったんですよw
Posted by bob at 2021年11月09日 14:38