2017年10月04日
【映画評】劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編 (宝島社文庫)

前作のレビューはこちら
【映画評】劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜
「小川太一新監督が攻めている」という話を聞き及びハードル上げて臨みましたが、攻めてるっていう感じじゃなかったよ。しかしなんで六法が二冊あるの?うちは模範六法一冊のみ。
公開記念コメント
「劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜」の監督を務めました小川太一です。
いよいよ本日公開です!ドキドキです!
こうしてTVシリーズ1期の劇場版に続き、2期でも劇場版という形で公開できることは
決して当たり前なことではなく、応援してくださった沢山のファンの方々の想いと、
そしてそれに答えるべく邁進してきたこの作品に関わった沢山のスタッフ・キャストの
想いの「頂」にあるのだなと、今、改めて噛み締め感謝の気持ちでいっぱいです。
そんな作品に監督として携われたことを本当に光栄に感じております。
今回の劇場版では、総集編というフォーマットをとりつつも、一本の映画ということを意識し制作に臨みました。
そして、本日封を切られるものは、多くの人に楽しんでいただけるものになったと感じております。
沢山のスタッフ・キャストが一丸となったまごころが皆様に届きますように!と祈りを捧げつつ。
この場を借りて、公開できる喜びと感謝を改めてお伝えさせて頂きます。
本当にありがとうございます!
そしてそして、これが一つの終わりであり、新たなスタートです。
これから更に完全新作が2本も控え、まだまだ「響け!ユーフォニアム」見逃せません。
どうぞご期待下さい!
イントロダクション
あなたと一緒に響かせたい――。
高校生が吹奏楽に打ち込む姿を真摯に描いたTVアニメ『響け!ユーフォニアム』。そのTVシリーズ第2期を、本作で初めて監督をつとめる小川太一が「久美子とあすか」を軸に再構築。
あすかから久美子へ、受け継がれていく想いがある。
ストーリー
吹奏楽コンクール全国大会出場を控えた、私たち北宇治高校吹奏楽部。うだるような夏の暑さが去り、秋の涼しげな気配が近づいたころ。先輩が退部するかもしれない……。私たちを襲った衝撃は大きく、不安をそう簡単に拭うことができなかった。
美人でカリスマ性があって、ユーフォが上手くて、みんなから頼りにされている「特別」な先輩。でも、ふとした瞬間に見せる氷のように冷たい表情、他人を突き放すような瞳、誰にも本当の自分を見せない先輩。
「全国に出たい」誰よりもそう思っているのに、ただの高校生のくせに無理に大人ぶろうとする先輩。そんな先輩が私は苦手で……、もしかしたら嫌いだったかもしれない。
だけど私は――。
interview インタビュー | 『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』公式サイト
小川太一監督インタビュー <後編>
ーーここからは具体的な部分について伺えればと思います。
ーー「一本の映画」にしたいとおっしゃられていましたが、そのためにどういったことをされたのでしょうか?
そうですね。入れ込めなかったシーンの情報の補完のために新作カットを入れたり、分かれていたシーンをつなげて見たり、細かくは色々としているんですが、ひとつ大きな部分としては、時系列を入れ替えているところがあります。
久美子とあすかを掘り下げて描くと、具体的には関西大会以降のエピソードが中心になってきます。でも、その前の話数まででどうしても必要なシーンというのもあって。
そこを見せるために、TVシリーズでは関西大会前に合宿を行っているのですが、今回は関西大会の後に合宿に行く、という流れに変更しました。
ーーそれは、TVシリーズからご覧いただいた方にとってはとても驚かれるポイントですね。
そう思います。ただ、やはり大事なのは、ひとつの作品としての見やすさとシーンや流れの必然性なんです。そういう意味で、今回、合宿の描写はどうしても入れたかった。もちろん、練習風景を入れたいというのもありましたが……、一番肝心な、あすかがひとりで吹くあの演奏を久美子が初めて聞くシーン。ここははずせなかったんです。
そんな大胆なことをするのは凄く悩みましたが、関西大会の後に合宿を入れる流れがこの映画単体で見たときにしっくりくると思いましたし、なにより、ここは時系列を入れ替えてでも見せたい、見せるべきシーンだと思いました。それが理由としては一番だと思います。
ーーまさに「一本の映画」をつくるための覚悟ですね。
はい。こういった時系列の入れ替えは分かりやすい違いなので、TVシリーズをご覧いただいていた方々はすぐに気づかれると思うんです。そういう不安はもちろんありました。
けれども、むしろ今までのシリーズをご覧になってきた方にこそ、新鮮な気持ちで見ていただきたいと思っています。「ここがカットされている」「このシーンの意味が変わっている」というようなこともあると思いますが、そこはそれとして楽しんでいただきつつ、見たかったと思うお気に入りのシーンが入っていなかったとしたら、そのときはTVシリーズを見返して、それからまた劇場に来て、またTVシリーズを…というように何度も違いを楽しんでいただきたい(笑)。今回はいっそTVシリーズとは違った発見をしていただきたいですし、まっさらな気持ちで「一本の映画」を楽しんでいただきたいですね。
シリーズを知らない方には、この映画からこれまでのシリーズに興味をもっていただけるようなきっかけになれば嬉しいです。
ーー “TVシリーズと違う“ということは悪いことばかりではない、ということでしょうか。
というより、それこそが”再構築“の面白さではないでしょうか。たとえば、いくら合宿を入れたいといっても、時系列を入れ替えずにすむ方法だってあるとは思いますし、もちろんその方法も考えました。でも、あすかと久美子の話に集中しようとしたときに、それは本当に「映画として良い流れ」なのだろうか、とも感じたんです。
それに、関西大会前は、やはり、みぞれと希美のエピソードが大きな基軸となっています。TVシリーズは、このエピソードをやるためにシーンが構築されているので、そのまま合宿のシーンを入れ込むのは不自然に思えました。その場合、その他の大きな部分を変えないと1本のお話として繋げられないと思ったんです。
ならば、「久美子とあすか」を軸にしたときに一番見やすい形は何だろう、と考えて至ったのが、時系列の入れ替えでした。
同時に、あえて、みぞれと希美の関係を描くことも避けました。中途半端には描きたくない、それならば、この二人は今回は吹奏楽部の一部員として描ききろうと覚悟して構成しています。
個人的にも、TVシリーズのみぞれと希美のクライマックスは僕が絵コンテ・演出を担当させていただいたこともあり、尚更ないがしろにしたくなかったんです。あの二人のエピソードは、TV1〜4話の積み重ね・クライマックスがあってこそだし、「久美子とあすか」に絞ったエピソードの中では描き切れない。
だからこそ、「二期の総集編」ではなく、「新しい映画」としてご覧いただければ幸いです!(以下略)
【週末興行ランキング】「デジモンtri. 第5章」「響け!ユーフォニアム」が高稼働のスタート : ニュース - アニメハック
9月30日〜10月1日の国内映画ランキング(全国週末興行成績・興行通信社提供)が発表された。
(中略)14位発進の「劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ」も全国40スクリーンでの公開ながら、オープニング2日間で興収3300万円をあげ、高い稼動をみせている。
ぴあ映画初日満足度ランキング|映画情報のぴあ映画生活
✨新宿ピカデリー週末動員ランキングベスト3🎉
— 新宿ピカデリー (@shinpicca) 2017年10月2日
1位:「劇場版 響け!ユーフォニアム 〜届けたいメロディ〜」🎊
2位:「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
3位:「亜人」
「劇場版 響け!ユーフォニアム 〜届けたいメロディ〜」が1位を獲得しました✨
おめでとうございます👏
冒頭より延々と続く新作カットは凄くよかったですが、中盤以降がまんま総集編状態になったので最初に期待した分、若干失望。思うに、TVアニメからの転用分は仕方ないとしても、当該シーンの前なり後に30秒程度、新しく作画を継ぎ足せばそれだけでファン的には凄く充足感あります。
パンフレット情報によると京都駅ビルの「宝島」演奏パートは山田尚子先生担当との事ですが、フル演奏はいいけれど、バリサクソロ後の演奏描写がばっさりカットされ音のみってのは頂けない。山田ジャズハンドは演奏後でもよかったのでは?
(ずばーん!) pic.twitter.com/wPQnUt4PmJ
— ささき (@ssk_nero) 2017年10月2日
期待された演奏シーンについては別に悪くはないのですが、一期→一作目劇場版や、二期5話で受けたサプライズや舞い上がる高揚感までは覚えませんでした。
次回作「リズと青い鳥」との棲み分けから、徹底した「よりぬきあすかエピソード」は分かるのですが、久美子目線でのあすかとお姉ちゃんをオーバーラップする演出意図なのでしょうけど、敢えてお姉ちゃんパートを挿入したのであれば何故、全国大会帰路のシーンを割愛したの?全体構成上不要という判断であれば「お姉ちゃんが来ているんです」とか、整列時に駆け出すシーンとか全部カットして、名古屋にお姉ちゃんは来ていない設定にすればいいのに。名古屋カットされた葵ちゃんみたいにね。キービジュアルの水管橋での夏服とか、時系列シャッフルなど細かいところは気にしませんが、お姉ちゃんと久美子の邂逅シーンカットは流れ的になんか不自然。
あと、ネタバレすまんけど全国大会「三日月の舞」演奏シーンのベース作画が関西大会分流用ってのはTVアニメ観ている人間は当然分かるのですが、そこ凄く違和感ある。関西大会は自分らでも信じされないほど上出来、全国はグダグダで麗奈謝罪という刷り込み済なので。企図するところはTVアニメ版なんか忘れちゃえ。映画は設定が全然違う並列世界なんだよ。でしょうけど、ここはオリジナル通り関西大会→フル演奏、全国大会→麗奈落ち込みのみの方が個人的には腑に落ちた。劇場版のみ観た人は当然気にしないでしょうけど、悲しくなるほど客席ガラガラだったので(博多)、結果的には「新規客でも楽しんで貰えるよう一本の映画として作り直す」より、ファンムービーに徹する方が興行的にも合理的なような。
【劇場版 響けユーフォニアム 届けたいメロディ】小川太一監督「TVアニメのダイジェスト版でなく予備知識なしでも楽しめる一本の映画として心掛けた」
勿論この辺(一見でも理解できる平易明瞭な内容・ファンムービーに徹する)は経営判断ですし、経営サイドは然るべき裏付けがあって方向性を決めているのでしょうけど、安済知佳コメントの「久美子との熱い友情もなく、瀧先生への熱い想いもない高坂麗奈を演じられ新鮮だった」って世界がリセットされ想い出もすべて消え再構築。墓参り云々のプチ炎上はあったけど、石原版ユーフォ世界を否定されているようで悲しい。尺の都合で割愛は分かるけど、全てなかったことにするのはねぇ。
そうそう。TVアニメもそうだったけど、劇場版一期も二期も関西大会で有力他校が演奏ミスするシーンは採用されなかったんだ。久美子が腹黒過ぎ?清濁併せ呑むユーフォシリーズらしく、非常に印象的なシークエンスではあったけど。
あと劇場への苦言です。前作は施設老朽化しているものの、実物大パネル掲示やユーフォ専用グッズ売り場など作品愛に満ちた「中洲大洋映画劇場」での上映でしたが、本作が上映された「Tジョイ博多」はポスター一枚の掲出すらなく(聲の形の時は大規模デコレーション&ミニ原画展までやっていたのに)、ロビーに並べている映画リーフレットすらなし。同館での上映アニメ作品はイベントスペースに作品デコレーションするのが常なのですが、なんでハブられているの?SNSで流れていた上映終了後の「リズと青い鳥」ショートフィルムもなかったよ?
全国縦断の舞台挨拶も無視されているし、客入りはガラガラなのにグッズは初日で(パンフと原画集以外)売り切れているし、なんかユーフォがお邪魔虫みたいな感じで悲しかったです。昔は中洲に松竹直営館もあったのですが、今は東宝系がアリバイ工作的に3スクリーン合計400名ちょいと、東映系(Tジョイ博多)しかありません。映画人口の9割が東京大阪なので仕方ないけどね。
ということで悪口じゃなく愛の告白でした。
最後に撮影したフォトセッション(上映前にスマホ撮影許可あり)。
来場記念品は二人でいって二種類無事ゲット。

満足度(5点満点)
☆☆☆
ということで、体感的には劇場版一作目より興行収入落ちそうな感じ。40館上映です。
興収的に気になるのが京アニが満を持して大規模公開(多分)する「リズと青い鳥」
【京アニ】山田尚子監督最新作「リズと青い鳥」2018年4月21日公開
題材並びに山田監督の実績からすると作品クオリティは誰が観ても大満足間違いなしだとしても、興収的には聲の形(120館)の三分の一程度(6〜7億円?)あれば御の字?ユーフォファンは勝手に来場するので一般ファンをどう取り込むのかが興味津々。アイキャッチやキービジュアルが大切になりそう。
追記:はてなID:osyamannbeさんより「全国大会の演奏がgdgdだったというソースある描写が原作にもアニメ本編にも無かった」と、はてブ経由でご意見寄せられていますが、TVアニメではBパート冒頭の芝生の上のメランコリック麗奈並びに原作本&TVアニメでの表彰後麗奈謝罪で「やってしまったのか」と判断した次第。真相は闇の中。
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コメント
初日に新宿で観たけどほぼ満席。
ご贔屓の高坂麗奈が活躍しなくて残念でした。
ご贔屓の高坂麗奈が活躍しなくて残念でした。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年10月04日 11:59