2017年04月05日

【映画評】将軍様、あなたのために映画を撮ります

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将軍様、あなたのために映画を撮ります [DVD]
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BBC制作、金正日直接下知による申相玉・崔銀姫拉致事件ドキュメンタリー

『将軍様、あなたのために映画を撮ります』公式サイト

イントロダクション
北朝鮮に拉致され、どのようにして静観できたのか―――
孤独な独裁者が愛したもの、それは映画だった―――

当時の関係者や家族、そして拉致被害者自身の証言を交え、拉致の真実とその過程を明らかにする

1978年、韓国の国民的女優、崔銀姫(チェ・ウニ)が旅行先の香港から忽然と姿を消した。不審に思った崔銀姫の元夫で映画監督の申相玉(シン・サンオク)は彼女の行方を追うが、彼自身も行方が分からなくなってしまう。残された手がかりと捜査の結果、二人が北朝鮮に拉致された疑いが深まるも、消息不明のまま、捜査は暗礁に乗り上げる。北朝鮮に拉致された二人は5年あまりもの間、別々の場所で、お互いの生存を知ることもなく、拉致関係者や軍人らの監視の下で自由のない暮らしを送っていた。申相玉は数回に渡り、脱出を図るも失敗。刑務所に収容されていた。ある日、金正日の仲介によって、二人は再開を果たす。そして、金正日からある指示を命じられるのだった。崔銀姫自身やその子供たち、当時事件を調査した香港の捜査官や米国務省関係者、元CIA職員、脱北詩人らの膨大な量のインタビューを通じて、拉致から86年の亡命までの顛末が暴かれる。また、故・金正日総書記が拉致に言及する肉声が、初めて公開され、海外の映画祭で大きな反響を呼んだ。亡命から30年経った今だからこそ、明かされる数々の真実は、闇に隠された北朝鮮という近くて遠い国の片鱗を知る術となることだろう。

映画を愛した独裁者と、映画作りに取り憑かれた映画監督、そして彼らに運命を翻弄された一人の女優

映画マニアとして知られている金正日。平壌の中心部には「国家映画文献庫」を所蔵し、およそ2万本のフィルムやビデオテープを所有していたといわれている。日本や欧米の映画などを多数鑑賞し、『ゴジラ』や『男はつらいよ』シリーズのファンだったとも伝えられている。一方で、金正日は映画を芸術や娯楽ではなく、政治的な道具として、父・金日成と金一家の偶像化や政策に利用してきた。国民から“将軍様”と崇め建てられてきたが、金自身はそれが虚構であると理解し、ひとりで孤独を反芻していたのかもしれない。そんな金正日にとって申相玉監督は、映画について一緒に語り合える唯一の存在で貴重な人物だったことだろう。子供たちと引き離され、悲しみに暮れる崔銀姫とは対照的に、申監督は金正日から与えられる潤沢な資金と、自由に撮影できる環境の下、やがて映画製作に熱中してゆくのだった。申監督らが映画撮影を行ったのは3年程度だが、17本もの作品を制作している。日本人スタッフも多数参加した北朝鮮初の怪獣映画『プルガサリ伝説の怪獣』(85)は日本でも公開され、話題を集めた。他にも崔銀姫が監督した『帰らざる密使』(84)はチェコ国際映画際特別監督賞を受賞するなど、二人が制作した作品は海外の映画祭に出品され、高い評価を受けた。

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存命の当事者より得た貴重なインタビューで構成していますので歴史的価値は否定しませんが、内容が荒っぽすぎて訳が分からん。何年も前に読んだ「闇からの谺 ※絶版」が未だ脳裏に焼き付いていまして、本作の情報量を数値化すると当該書籍の10%程度ではないか?という落差感。例えばクライマックスのウィーンでの逃亡劇にせよ、カーチェイスに同席していた共同通信記者(故 榎彰論説委員長)は、本作では存在せず。
本件に興味があるなら映画観て中途半端な知識仕入れるより本読んだほうがいいと思われます。

満足度(5点満点)
☆☆

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コメント
ある晴れたプルガサリ
市場へ続く道 荷馬車がゴトゴト 子牛を乗せて行く
Posted by 名無し at 2017年04月08日 03:09
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