2017年03月07日
【映画評】エリザのために
mixiチェックイントロダクション
ルーマニアン・ニューウェーブ*をリードするクリスティアン・ムンジウは、監督と脚本を手掛けた2007年の長編第二作『4ヶ月、3週と2日』でチャウシェスク独裁政権末期1987年のルーマニアを舞台に、妊娠したルームメイトの違法な中絶を助けしようと駆け回る主人公の1日を描き、初めて第60回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選ばれ、その衝撃的で緊張感に満ちた映像で、ルーマニアに初の最高賞パルムドールをもたらした。世界中に名を知られることになり次の作品が期待されるなか、5年後、2012年・第65回カンヌ映画祭において、『汚れなき祈り』で、女優賞&脚本賞のW受賞を得る。2016年・第69回カンヌ映画祭において、卒業試験に娘を合格させるため、違法なコネとツテを使い奔走する親の姿を描いた『エリザのために』(監督・脚本・製作)で、見事、監督賞を受賞する。徹底したリアリズムと緻密な脚本、秩序ある構成は、ムンジウの映画を他とは一線を画す存在へと引き上げている。
*ルーマニアン・ニューウェーブ…ムンジウを初め、第63回ベルリン映画祭 金熊賞(最高賞)受賞『私の、息子』の カリン・ペーター・ネッツアー監督など、ルーマニアでは近年世界の映画祭で評価を受ける監督・作品が次々と輩出されている。
ストーリー
医師ロメオには、イギリス留学を控える娘エリザがいる。彼には愛人がおり、家庭は決してうまくいっているとは言えない。ある朝、ロメオは車で娘を学校へ送っていくが、校内に入る手前で降ろし、彼女は徒歩で登校することに。しかし白昼人通りもあるなかで、エリザは暴漢に襲われてしまう。大事には至らなかったが、娘の動揺は大きく、留学を決める翌日の卒業試験に影響を及ぼしそうだ。これまで優秀な成績を収めてきたエリザは、何もなければ合格点を取り、ケンブリッジ大学で奨学生になれるはずだった。ロメオは娘の留学をかなえるべく、警察署長、副市長、試験官とツテとコネを駆使し、ある条件と交換に試験に合格させてくれるよう奔走する。しかしそれは決して正しいとは言えない行動で、ついに検察官が彼の元へやってくる…。
父母は民主化後にルーマニアへ戻り娘を出産したそうですが曰く「この国へ戻ってくるべきではなかった」と。夫婦、親子、愛人、相隣関係、職場、友人、あらゆる環境がグチャグチャでして、せめて娘だけは幸せになって欲しいと苦労に苦労を重ねた結果、事態は最悪の展開へ・・という流れ。まさにしばき隊、香山リカ、シールズが叫び続ける「ヘル日本」状態。
前作「【映画評】汚れなき祈り」は宗教的差異から肌触り感がイマイチ伝わりませんでしたが、こちらは普遍的な家族愛がテーマなので刺さりまくりでした。似たようなプロットのメキシコ映画「【映画評】父の秘密」とはまた違った父娘愛でして、大きな流れとしてはイントロダクションにも記されている同じルーマニア人監督の「私の、息子」系統。
エンディングでの娘さんの笑顔演出を忖度しますに、収まるべき鞘にみな収まり、終わりよければ全てよしなハッピーエンディングになって欲しいと願いたくなる良作でした。どういう国なの?ルーマニア。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆
つい先程閣議決定されるなど我が国での「強姦罪」範囲適用見直し議論が盛んですが、本作のように殴られ蹴られ汚い指でまんこ掻き回されたけど結局勃起しなかった。という未遂犯の量刑が軽いのはダメだろ。そんなの単なる結果論に過ぎないよ。生理だったからケツの穴に入れたので強姦じゃないって理屈と一緒。
なんでも反対民進党がまた反対するでしょうけど。
性犯罪に厳しく対処へ 刑法の改正案を閣議決定 | NHKニュース
3月7日 10時01分
政府は、性犯罪に厳しく対処すべきだという指摘などを踏まえ、7日の閣議で、強姦罪の名称を変更して罰則を厳しくすることや、被害者の告訴がなくても起訴できるようにすることなどを盛り込んだ刑法の改正案を決定しました。
政府は7日の閣議で、性犯罪に厳しく対処すべきだという指摘などを踏まえ、明治40年の刑法制定から110年にわたって大幅な見直しが行われていなかった刑法の性犯罪の分野を見直す改正案を決定しました。
それによりますと、強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変更するとともに、男性が性的な被害を受ける場合もあるとして、被害者を女性に限っている現在の規定を見直し、性別にかかわらず被害者になりうるとしています。
また、罰則を厳しくし、今の強姦罪の法定刑の下限を懲役3年から5年に、強姦傷害と強姦致死については懲役5年から6年に、いずれも引き上げます。
さらに、強姦罪や強制わいせつ罪などで被害者の告訴を必要としている規定を削除して、告訴がなくても起訴できるようにすることも盛り込まれていて、被害者の心理的な負担を減らし、国の責任で犯罪を追及することになります。
このほか、18歳未満の人を監督・保護する立場の者が、その影響力に乗じてわいせつな行為をした場合、暴行や脅迫が無くても強制わいせつ罪と同様に処罰できる「監護者わいせつ罪」などを新たに設けます。
政府は、この刑法改正案の早期成立を目指すとしています。
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コメント
私の働く地では、基本的に一対一のレイプはションベン刑(殴ってやったとかは傷害罪が付くので別件)です。刑務所の空きも少ないし。道路の草刈りとか街路樹の手入れさせられるくらい。だからと言って刑務所建設もままならない。「出来ると収監されるから」という理由なのか、非常に激しい反対運動がある。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月07日 12:28