2016年09月19日

【映画評】聲の形

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小説 映画 聲の形(上) (KCデラックス ラノベ文庫)

オープニングはぶったまげました。これなんだ?ストーンズじゃなくて。。キース・ムーンやんけ!aikoしか頭に入っていなかったのでまったく想定外。山田嬢はそういう方面の音楽好きならおじさんがゆっくり教えてあげるのに。ひょっとして洋題「shape of the voice」もヤードバーズ「shape of things」のオマージュではと勘繰りたくなる。

そういや「けいおん」で取り上げられたジェフ・ベックという人が来年来日するそうなので、チケット先行予約申し込みました。

映画『聲の形』公式サイト

イントロダクション
伝えたい“こえ”がある。
聞きたい“こえ”がある。
「週刊少年マガジン」に連載され、数々の賞に輝いた、大今良時の漫画「聲の形」。
このベストセラーコミックが、日本アカデミー賞 優秀賞を獲得した『映画 けいおん!』(11年)など、多くの作品を輩出し続けている京都アニメーションにより新たにアニメーション映画として生まれ変わります。
監督はTVアニメ「けいおん!」で初監督を務め、『たまこラブストーリー』(14年)にて文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門新人賞を獲得した、京都アニメーションに所属する山田尚子。
脚本には「ガールズ&パンツァー」など大ヒットシリーズを手掛ける吉田玲子を迎え、『映画 けいおん!』『たまこラブストーリー』以来のコラボレーションが実現。
キャラクターデザインを務めるのは、「氷菓」(12年)、TVシリーズ「Free!」(13年、14年)、『映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-』(15年)を手掛けた京都アニメーション所属の、西屋太志。
痛みから温かさが生まれ、心に刺さる感動を、美麗な映像と共にお届けします。

ストーリー
“退屈すること”を何よりも嫌う少年、石田将也。ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。彼女が来たことを期に、少年は退屈から解放された日々を手に入れた。しかし、硝子とのある出来事がきっかけで将也は周囲から孤立してしまう。やがて五年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長したふたり。“ある出来事”以来、固く心を閉ざしていた将也は硝子の元を訪れる。これはひとりの少年が、少女を、周りの人たちを、そして自分を受け入れようとする物語――。

コメント
大今良時(原作者)
アニメでしか表現できない事が沢山あると思います。どうなるんだろう?今からわくわくしています。漫画では自分の家族や友人などの身近な人や、全く身近で無い人をお話にしましたが、アニメでは皆さんが自分のお話だと思えるような作品になると思います。より多くの方にとって、より身近な「聲の形」になりますように。想像出来るもっと外側の驚きを、山田監督なら表現してくれると思います。期待しています。

山田尚子(監督)
はじめまして。監督の山田です。他人について知りたいと思うこと、知ろうとすること。その思いの伝え方は人それぞれで、たくさんのかたちがあるように思います。あしたにつづく希望の兆しをこの作品で将也たちと一緒に探っていきたいと思っています。






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初日参戦しました。君縄と同じく最前列の一番端まで客が埋まっている100%満席状態。かなり異常。映画館の入り口には「君の名は、聲の形は各回満席」と手書きポップがありましたよ。とはいえ「君の名は」は劇場大箱、本作は中箱なんですけどね。同時公開のジブリ最新作「赤亀」は大箱抑えてゼロ観客〜一桁客状態だそうで、エロゲだ萌豚だと散々バカにしてきた新海と京アニに食われた赤い貴族の殿様商売ジブリざまあみろと素直に言いたい。赤亀セールスに奔走したパヤオ、電通、博報堂、ディズニー。ざまあみろと小一時間申し上げたい。







さて本作の印象ですが「劇場版ユーフォ」とまったく同じです。ユーフォ=12話絞って120分。聲の形=7巻絞って120分。どちらも総集編でなく一本の作品としてよく纏まっていました。一緒に観た原作未読の連れの感想は「君の名はより面白かった」だそうで、総じて原作厨より原作未読客の方が評価が高いようです。定期的に笑えるシーンが挿入されるエンタメ名作「君の名は」と違い、ほぼ眉間にシワ状態が2時間以上続くので相当カロリーは消費します。そういう意味ではちょっと人に勧めにくい作品かもしれませんね。デートムービー向きではありません。

本作は色々思い入れがあるので可能な限り絞って書きますが、原作ファン的にはほっと一安心。個人的にはその場の勢いと看板に乗っかっただけだった「劇場版けいおん」は微妙ながら、「たまこラブストーリー」を作り上げた山田嬢なら間違いないと信じていました。原作7巻を120分に絞る苦労は大変だったと思いますが、意に反しアニオリぶっ込んでくる余裕もご愛嬌。その勢いで先着プレゼントの「硝子母外伝」並びに硝子母子を捨てた悪鬼実父一家のエピソードも入れたら、ネグレクトまで取り込んで作品の深みが広がったのにね。

どうしても「障害者差別」にフォーカスが当たり過ぎの本作ですが、作品全体を貫いているのは絶望的「コミュニケーション」問題。本作OP風に喩えると「コミュニケーション・ブレイクダウン」でして、尺の都合で原作より吟味し抽出されたのが硝子母→硝子姉妹、植野→石田、これら2つのコミュニケーション崩壞エピソードと見えました。原作者が繰り返し述べていた「硝子〜石田の恋愛はないが、植野〜石田の恋愛はあり」を山田嬢はどう咀嚼したんだろう?

とはいえ本作が非難され続ける要因の一つ「イジメられた側の課題」から監督は逃げず対峙していました。本作の面白さはこういう点なんですよね。善とか悪とか、被害者とか加害者とかだんだんどうでもよくなる。そういうハンドリングを観客に委ねる心理描写の描き方は典型的なフランス映画みたい。

上で書いた尺に合わせた取捨選択についてですが、冗長な「映画製作シーン」カットは当然ですが、それに付随して小学校担任のゲス描写までスポイルされていたのは残念。小学校時の硝子イジメ暴走を加速させた真犯人は担任で、ある意味主人公も被害者なのですが、その辺がすっぽり抜けているので原作未読の人は受け取る印象が違うかも。石田くんは小学校の手話授業に興味を示していた位なのに。それと高校卒業後の進路と成人式描写がカットされたのも残念。病院のシーンも快癒までの描写は結構あっさりしていました。(原作では意識不明状態が長かったので)

劇伴も凝っていて非常によかったのですが、唯一、葬儀のシーンで流れていた曲は不快でした。そういうリードを誘うのが狙いなのでしょうがちょっとやり過ぎ。更にエンディングのaikoは全然ダメ。観客の大半はRADWIMPSを観たばかりなので余計そのギャップを感じます。映画がaikoに合わせるのではなく、お前が絵に合わせろよと。しかしOPはよかったよ。逆でもよかったんじゃない?



ということで、原作見ても映画観ても硝子ちゃんには同学年の友達はひとりもいない模様なので、私が硝子母ならどんな手使ってでも植野を排除して石田と結婚させます。2人共おなじ職業になるしね。そんな感じで、観客一人一人が感情移入できる登場人物が違ってくる作品なのでは?



書き忘れ。早見沙織は神懸かり的演技でした。

満足度(5点満点)
☆☆☆☆☆

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(3)映画 
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コメント
赤亀頭を唾棄する行、久々に全力投球で直球を抛るキンカルさんを見たwww
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2016年09月19日 13:07
The Whoですか。
アニメは全然みないおじさんもなんか嬉しいぞ。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2016年09月19日 14:33
aikoは合ってなかったね。葬儀シーンと再会シーンのBGMはちょっと自己主張強すぎる感じがしました。ゲス大人シーン(先生と硝子父家族)削除は、少年少女の物語に絞りたいという山田監督のポリシーだったのかな。総じて良かった。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2016年09月20日 02:56
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