2016年03月25日
【映画評】エスコバル 楽園の掟

俺たちに明日はない [Blu-ray]
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今となっては懐かしい「メデジンカルテル」を借用したフィクション映画。すっかりメキシコにお株を奪われていますね。ベニチオ・デル・トロが主演なので来月公開「ボーダーライン」の露払いみたいな作品です。
映画「俺たちに明日はない」でお馴染みのボニーとクライドが弾幕浴び殺された自動車を所有していたそうで、映画の中でも登場しますよ。
イントロダクション
国会議員として様々な慈善事業に携わり、民衆に愛されながらも、裏では政府を相手にテロ活動を行い、1000人もの殺人に関与した残忍非道な麻薬カルテルのボス、パブロ・エスコバル。南米のゴッドファーザーと称され、数々の逸 話を残し、伝説となった彼の人生は、現在、Netflixのドラマシリーズ「ナルコス」や、ハビエル・バルデム主演の『Escobar(原題)』など映像化が相次いでいる。
本作でエスコバルを演じるのは、麻薬捜査官を演じ『トラフィック』(00)でアカデミー賞助演男優賞を受賞したベニチオ・デル・トロ。役のために体重を増加させ、背筋が凍るような迫力の演技をみせている。また、組織の闇に直面する悲劇の青年ニックを『ハンガー・ゲーム』シリーズで女性を中心に人気を博す、ジョシュ・ハッチャーソンが好演。いまもなお世界を震撼させている麻薬戦争―そのトリガーを引いた男こそがエスコバルなのだ。 恐怖の楽園にようこそ!
ストーリー
兄と共にコロンビアを訪れたカナダ人サーファー、ニック(ジョシュ・ハッチャーソン)。青い海と白 い砂浜が広がるそこは、まさに理想郷のような世界だった。ある日、彼は美しいコロンビア人女性・マ リア(クラウディア・トレイザック)と出会い、激しい恋に落ちる。 マリアには敬愛する大切な叔父がいた。彼の名はパブロ・エスコバル(ベニチオ・デル・トロ)── 議員を務め、民衆からの支持も厚い富豪であるエスコバルは、コロンビア最大の麻薬カルテルのボスと いう裏の顔を持っていた。我が子のように可愛がる姪のマリアが連れてきた恋人を、エスコバルは暖か くファミリーに迎え入れる。楽園のようなエスコバルの“王国”。彼はその恐ろしさに少しずつ気づいて いくが、簡単には抜け出すことはできない。そうしてニックは、脱出不可能な巨大な悪のスパイラルに 巻き込まれていく。
麻薬王エスコバルとは?
パブロ=エミリオ・エスコバル=ガビリアは、1949年12月1日に生まれた。彼の父親は畜産業を営み、母親は教師だった。彼の幼少期は貧困と共にあった。彼と6人の兄弟は電気も水道も通っていない家で育った。10代で車や墓の窃盗を始め、二十歳の時にもっと多くの金を稼ぐために始めた密輸の仕事が、誘拐などのより深刻な犯罪へと手を染めるきっかけとなる。それが麻薬取引へと繋がっていく。「私は若かった」とエスコバルは振り返る。「私はただ生きたかった、そして野心にあふれていた。麻薬密輸については何も知らなかった。ある時、私はメデジンのディスコで若い米兵に出会った。彼は飛行機を持っていて、コカインを買いたがっていた。私はある決断をした。彼と取引を始めたんだ。リスクはあったが、とにかく儲けになった。そして、誰も殺す必要がなかった。これは私にとって実に重要なことだった」
パブロ・エスコバルが本格的にビジネスに着手するようになったのは、1975年のことだ。その翌年、彼はコカイン18キロの所有により逮捕されている。釈放されると、エスコバルは本腰を入れ始める。コカインをタイヤの中に隠し、ミュール(麻薬を密輸するために外国から運び屋として雇われる素人旅行者)の効果的な使用法を開拓していく。大金がどんどん入ってきた。彼は徐々に麻薬貿易の主導権を握るようになり、それまでの権力者たちを買収し、必要ならば抹殺することも厭わず、その世界で台頭していった。80年代の初め、メデジンのカルテルを完全掌握する。1982年、彼は国会議員補欠に選ばれるが、その他の議員の反対によって除籍され、敵対者へのテロを敢行する。
エスコバルは誰も恐れない──彼にまつわる神話はこうして形作られていった。1989年、大統領候補者3人の暗殺を実行。同年、世界7番目の富豪にまでのぼりつめる。彼のビジネスは1年で30億ドルを超す利益を生んだ。エスコバルは500以上もの家屋や病院、学校を建設した。そうして、彼の富に助けられた者たちはエスコバルを神と崇めるようになっていった。だが、他の人にとっては、彼は恐ろしい犯罪者だった。エスコバルが関与した殺人は1000を越え、エスコバルのネットワークはペルーからボリビアにまで達し、米国、ヨーロッパ、アジアの市場を席巻した。最盛期には、彼の組織は一日15トンに及ぶコカインを輸出していた。1991年、米国への引渡忌避を条件に、エスコバルはコロンビア政府に合意して個人用の豪華設備を備えた刑務所に収監された。この刑務所施設自体がエスコバルの寄付により建設されたもので、サッカー場やディスコが備えられており、エスコバルは刑務所内から今までどおり組織に指示を与え、外出しては買い物やパーティー、サッカー見物を楽しんだ。翌年、エスコバルは脱走し、暴力の新たな波が巻き起こる。“ロス・シカリオス”と呼ばれる彼の殺し屋は 3000人に達したと言われている。その年、6662人もの人がメデジンの路上で殺され、何百人もが失踪した。CIA、FBI の協力のもと犯人捜査に取り掛かり、2000人以上の警官や兵士が捜査に関わった。1993年の12月2日、エスコバルは特殊部隊により射殺され、数万人の人が葬儀に参列した。1995年、彼の組織は消滅した。2009年、エスコバルの息子、フアン=パブロ(のち、セバスティアン・マロキンに改名)が、父の犯した罪を償うためドキュメンタリー映画『わが父の大罪 麻薬王パブロ・エスコバル』を発表。今日でもエスコバルの墓は崇拝の場であり、多くの観光客が訪れている。
麻薬王エスコバルの仰天伝説
コロンビア大統領候補を殺害し、米軍と戦争したメデジン・カルテルですが、本作はフィクション映画なのでプロットは「ちょい悪オヤジ」程度にこじんまりしています。尼崎のチーム角田がスケールアップしたみたいな感じ。どうせフィクションなら、わたしが脚本家だったら麻薬王の娘をナンパした阿呆サーファーがエスコバルに取り入り、義父の権威を傘にやりたい放題やって、最後に天罰受けるみたいな作品に仕立てあげたかも。だって愛娘同様のお嬢さんフィアンセにあんなことしないでしょ?ファミリーを大切にする麻薬王が。
フィクションでなくノンフィクションを題材にすればもっとよかったのに、大人の事情があるのでしょうね。
ということでB級映画ながら期待以上に面白かったです。あくまでB級映画ですよ。
満足度(5点満点)
☆☆☆
メデジン・カルテルものならネットフィリックス・オリジナルの「ナルコス」がめちゃ面白いそうです。作中描写される凡人では理解不能な犯罪の数々が全て実話だそうで。
ネットで見られるエスコバルのドラマはこちらなど。エピソード全20話。日本語字幕です。
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