2015年11月30日

【映画評】恋人たち

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


 

恋人たち [Blu-ray]
恋人たち [Blu-ray]

今気が付いた。
「ゼンタイ」って楽しみに公開待っていたのに観ていない。福岡スルーだったんでしょうか?

映画『恋人たち』公式サイト   2015年11月14日(土)公開

イントロダクション
不条理に満ちたこの世界を、それでも慈しみ肯定する―――。稀代の才能・橋口亮輔が『ぐるりのこと。』以来7年ぶりに放つ長編監督作は、明日に未来を感じることすら困難な“今”を生きるすべての人に贈る、絶望と再生の物語。

理不尽なことがまかり通る世の中で、不器用に生きる恋人たち。心に傷を抱えながら、幸せを求めて彷徨いつづける彼らが見つけた、ささやかな希望の光

通り魔殺人事件によって妻を失い、橋梁点検の仕事をしながら裁判のため奔走する男、アツシ。そりが合わない姑、自分に関心をもたない夫との平凡な暮しに突如現れた男に心が揺れ動く主婦、瞳子。親友への想いを胸に秘める同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。不器用だがひたむきに日々を生きる3人の“恋人たち”が、もがき苦しみながらも、人と人とのつながりをとおして、ありふれた日常のかけがえのなさに気づく姿を、『ぐるりのこと。』『ハッシュ!』で知られる稀代の才能・橋口亮輔は、時折笑いをまじえながら繊細に丁寧に描きだす。どんなに絶望的な世界であっても肯定し、ささやかな希望を胸に再び歩き出す―― 滑稽で、哀しくも愛おしい彼らを見つめる橋口監督のまなざしは、どこまでもやさしく、そして、あたたかい。明日に未来を感じることすら困難な今、私たちすべての人に贈る、絶望と再生の人間ドラマの傑作が誕生した。

淀川長治が「人間のハラワタを掴んで描く」と評した映画監督・橋口亮輔、名作『ぐるりのこと。』以来7年ぶりの長編。この映画なしに2015年は語れない!

デビュー作『二十才の微熱』(92)を見た映画評論家の故・淀川長治氏は、橋口監督にこんなことを言ったという。「ヴィスコンティや溝口(健二)と一緒で、あなたは人間のハラワタを掴んで描く人だ」と。その言葉通り、橋口監督は、その作品において常にリアルで生々しい人間の感情を表出し、主人公(たち)の物語を描きながら、彼らの背後にある“日本の今”を映し出してきた。日本社会が大きく変質したバブル崩壊後の90年初頭から、人間の悪意が顕在化した9.11テロに至るまでの約10年を描いた前作『ぐるりのこと。』の後、震災などを経て「僕自身、信じていたものを失った。何を信じてモノ作りをしたら良いのだろう」という出口の見えないトンネルに入った橋口は、ある一つの答えにたどり着く。「そして人生は続く。それでも人は生きていく」と。そうして出来上がった7年ぶりの復活作『恋人たち』は、現代社会に生きる人びとの心にたまった澱を、彼ならではの繊細な演出で丁寧に掬いとり、その底にあるかすかな希望を浮かび上がらせた、類まれな人間ドラマとなった。社会の片隅で力づよく生きる“恋人たち”の姿は、観る者の心をわしづかみにし大きな共感を呼ぶにちがいない。

監督自ら発掘した新人と、日本映画界が誇る個性豊かな俳優陣。作家が本当につくりたいものをつくる――「本物の映画」がここにある。

メインとなる3人の“恋人たち”に扮するのは、監督自らがオーディションで選び彼らのキャラクターを活かしてアテ書きしたという、篠原篤、成嶋瞳子、池田良、いずれも無名の新人俳優。経験は浅いながらも、監督の期待に応え、劇中では「今、ここで生きている人」として存在し、演技以上にリアルな感情を溢れさせている。さらに新人の彼らを支えるべく、光石研、安藤玉恵、木野花、黒田大輔、山中聡、山中崇、内田慈、リリー・フランキーら、いずれも個性溢れる実力派が顔を揃え、物語をさらに豊かなものにしている。
本作は、才能ある監督が「今、撮りたい」と思う題材を、新人俳優を起用して自由につくるという、“作家主義”ד俳優発掘”を理念とした松竹ブロードキャスティングによるオリジナル映画製作プロジェクトから生まれた作品。映画監督を最大限尊重し、やりたいものを形にする、監督を中心に据えた映画づくりは、昨今の商業主義とは一線を画す、作家の個性を突き詰めた“本物の映画”と言えよう。

ストーリー
東京の都心部に張り巡らされた高速道路の下。アツシ(篠原篤)が橋梁のコンクリートに耳をぴたりとつけ、ハンマーでノックしている。機械よりも正確な聴力を持つ彼の仕事は、ノック音の響きで破損場所を探し当てる橋梁点検。健康保険料も支払えないほどに貧しい生活を送る彼には、数年前に愛する妻を通り魔殺人事件で失ったという、つらく重い過去がある。

郊外に住む瞳子(成嶋瞳子)は自分に関心をもたない夫と、そりが合わない姑と3人で暮らしている。同じ弁当屋に勤めるパート仲間と共に皇族の追っかけをすることと、小説や漫画を描いたりすることだけが楽しみだ。ある日パート先にやってくる取引先の男とひょんなことから親しくなり、瞳子の平凡な毎日は刺激に満ちたものとなる。

企業を対象にした弁護士事務所に務める四ノ宮(池田良)は、エリートである自分が他者より優れていることに疑いをもたない完璧主義者。高級マンションで一緒に暮らす同性の恋人への態度も、常に威圧的だ。そんな彼には学生時代から秘かに想いを寄せている男友だちがいるが、ささいな出来事がきっかけで誤解を招いてしまう。
それぞれの“恋人たち”は、失ってはじめて「当たり前の日々」のかけがえのなさに気づいていく―― 。

監督インタビュー

『恋人たち』はどういった着想から生まれた作品ですか?
最初は『サンライズ・サンセット』(12)、『ゼンタイ』(13)に続くワークショップ3部作のつもりで、ワークショップのエチュードをもとに膨らませていこうと思ったんです。でも、あまり上手くいかなくて、きちんと自分に引き寄せた物語を100%オリジナルで作らないといけないな、と。一方、ワークショップで出会ったアマチュアに近い俳優たちが、それぞれの限界を超えるようなものでなければ、彼らの未来に繋がるものになりません。その辺のさじ加減が難しくて、台本を書くのに8カ月も掛かってしまいました。プロの役者さんを含めて、みんなアテ書きです。書き上げたら、初めて本物のセリフが書けたような気がして、これまでで一番いい脚本になったと思います。

3組の「恋人たち」の物語という設定はどこから出てきましたか?
『恋人たち』というタイトルは最初に決めていたものです。3人の人生を描くだけでなく、その周辺にいろいろな恋人たちの姿を織り込みながら、背景にいまの日本の空気が見えてくればいいなと思いました。

主人公のキャラクターなど、扮した俳優たち自身から取り入れた部分もありますか?
はい、彼らの個性を理解したうえで書いています。篠原篤くんは人柄がよくて、九州男児らしく頑固で、ちょっと見栄っ張り。じゃあ、どうすれば彼を生かせるかというところから、不器用で、何をやってもすべて挫かれていくという役柄ができあがりました。成嶋瞳子さんは、彼女のエチュードをワークショップで見ていて、ポッと出る何気ない言葉がリアルで面白かったんです。だから、生っぽい、生活感のある女をやらせたらはまるなって。弁護士役の池田良くんを含め、個性がわかっていたので、上手く回る役柄を考えました。クランクイン前も、前々日まで4日間リハーサルをして、時間を掛けて取り組んだつもりです。新人だからといって、ある水準で妥協した作品にはなっていないと思います。

メジャー映画ではすくい取れないものを描きたい。そんな意図があったそうですね。
いまは言い掛かりが通る時代なので、映画もテレビも自主規制が厳しくなっています。この風潮が進んでいくと、社会には目を向けられなくなって、本当に小さな話しか生まれません。それは日本の空気の問題ですよね。例えば、この作品で四ノ宮が聡に拒絶されるようになるのは、「いじめってマスコミが作ってるんでしょ?」などと言う聡の妻、悦子の差別意識が発端です。言い掛かりを付けられた側が、何の罪科もないのに痛い目に遭うという状況が、いまの日本ではざらにあります。そんな日本のねじれた感じが描ければいいなと思いました。

『ぐるりのこと。』(08)も、「日本はなぜこうなってしまったのか?」という橋口監督の目線が反映されていましたが、その時と比べて日本はさらに変わったと思いますか?
変わりましたよね。震災があって、原発事故があって。でも、それだけでなく、僕自身が変わりました。『ぐるりのこと。』の後、いろいろなことがあって、それまで信じていたものをすべて失いました。じゃあ、何を信じてもの作りをすればいいのかというところから、この映画も始まっています。日本も変わったし、僕自身も変わったんじゃないでしょうか。

すべて失った人間がその後の人生をどう生きていくか。登場人物も、橋口監督も、それを模索しているように思えます。
僕自身が体験したことはまったく別のことですが、そのまま描いても人には伝わらないので、その悲しみと同等のものは何かと考えました。それで奥さんを通り魔に殺された男の悲しみなら伝わるかな、と。妻を失ってから数年経って、歯を食いしばってがんばっているけど、どうにもならなくて「ごめんね」って泣いているような、その思いの中でどうやって生きていけるのか。アツシだけでなく、この映画の中では誰の問題も解決しません。でも、人間は生きていかざるを得ないんですよね。映画を作るうえで、僕は閉じた映画では駄目だと思っています。どんな悲しみや苦しみを描いても、人生を否定したくないし、自分自身を否定したくない。生きているこの世界を肯定したい。だから、最後には外に向かって開かれていく、ささやかな希望をちりばめたつもりです。人の気持ちの積み重ねが、人を明日へ繋いでいくんじゃないかなって。

ささやかでも、観る人にとって救いとなるような作品になったんじゃないでしょうか?
そうなってくれたらうれしいと思います。数年前、木下惠介監督の『二十四の瞳』の予告編を新たに作る仕事をして、改めて木下作品を観返したんです。その時、木下作品にも似たところがあったんだな、と。戦後、日本人がみな貧しく、厳しい現実を生きる中、木下作品には自分たちと同じような悲しみや苦しみ、ささいな喜びが描かれていて、当時の人々は我がことのように泣いたと思うんです。自分と同じ思いがこの映画の中に描かれていると思えたら、それだけで救いになるんですね。考えてみれば、『二十才の微熱』(92)を作った時もそういった部分があった気がします。当時はまだバブルの勢いが残っていた頃で、ノリこそすべて、暗いことはダサいことだという風潮がありました。でも、その中でやり場のない思いを抱えた人たちに対して、みんなと違っていていいんだよという思いを『二十才の微熱』で描いたんです。そういう意味では、今回の作品も同じなのかもしれません。

聞き手:門間雄介




以下、3つのパートに分け短評

・橋梁工事屋
独白長過ぎ
「ふえるワカメって増えるんですよ?」
国保担当職員面白い
シャブ買って「カルキ」オチ。ある意味優しい売人
リリー・フランキーの博多弁久しぶりに聞いた
ロケットで皇居を襲撃地球市民来た!
なんで民事訴訟出来んの?

large_img2

・弁当屋
肉屋描写が全然ありませんでしたが何の意図?
座り小便する必然性があったのか存じませんが、女優さん熱演凄い
昭和の団地妻シリーズってこんな感じだったの?
あまちゃんの栗原ちゃん久々に見た
あまちゃんのメガネ会計ババア久々に見た
マウスで苦労してシャブ打ち面白い
コンドーム自販機ってまだあるんだ

large_img3

・ホモ
鬼嫁キモい
セクシャル・マイノリティ差別は許さないというリベラルな顔をしつつ、ショタホモは警戒されます
内田慈さん相変わらずお美しい

large_img4


みたいな感じで、日常系、じわじわ系の快作ですね。どのエピソードも脇役が凄くいい。

満足度(5点満点)
☆☆☆

恋人たち [Blu-ray]恋人たち [Blu-ray]

松竹 2016-09-07
売り上げランキング : 22418

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ぐるりのこと。 [DVD]ぐるりのこと。 [DVD]

VAP,INC(VAP)(D) 2009-02-25
売り上げランキング : 5538

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ハッシュ! [DVD]ハッシュ! [DVD]

Happinet(SB)(D) 2004-07-10
売り上げランキング : 11953

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ゼンタイ [DVD]ゼンタイ [DVD]

バンダイビジュアル 2014-05-28
売り上げランキング : 11835

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
Edit







  ※ コメント認証制です。URL記述不可。久保田直己さんの名誉を毀損したり誹謗中傷する書き込みは固くお断りします。
※ 全角換算400文字超を入力するとコメント飛びます。要分割投稿。