2015年06月30日
【映画評】きみはいい子
mixiチェックイントロダクション
まじめだが優柔不断で、問題に真っ正面から向き合えず肝心なところで一歩を踏み出すことができない新米の小学校教師・岡野。近所のママ友たちとの表面的な付き合いの陰で自分の娘に手をあげ、自身も親に暴力を振るわれていた過去をもつ雅美。他人と会話をかわすのは、登下校の途中で挨拶をしてくれる名前も知らない小学生のみ、最近感じはじめた認知症の兆しにおびえる独居老人・あきこ。とあるひと町に暮らし、さまざまな局面で交差しながら生きているおとなと子どもたち。悩みや問題を抱えて生きる彼らが、人と人とのつながりに光を見いだし、小さな一歩を踏み出すさまを、『そこのみにて光輝く』の呉美保監督が、真摯にそして丁寧に映し出す。
ディスコミュニケーションが叫ばれる現代社会に生きる私たちが直面している複雑な問題を盛り込みながらも、本作の根底を流れているのは「人が人を愛するとは」という、シンプルで普遍的なテーマだ。誰かに肯定してもらえること、手をさしのべてもらえること、痛みに気づいてもらえること、褒めてもらえること、抱きしめられることの、「しあわせ」。このしあわせは、他者とのかかわりなしには生まれない。主人公たちが新たな“気づき”を得て前に向かおうとする姿に、誰もがささやかな希望を抱き、深いいとおしさを感じずにはいられない。
2014年度の日本映画界を席巻した呉美保監督初の群像劇に、実力派俳優が集結。中脇初枝による第28回坪田譲治文学賞受賞作、待望の映画化!
監督第3作目となる『そこのみにて光輝く』(14)でモントリオール世界映画祭最優秀監督賞をはじめキネマ旬報ベストテン監督賞など昨年度の日本映画賞を総なめにした気鋭の映画監督・呉美保。デビュー作『酒井家のしあわせ』(06)以来、『オカンの嫁入り』(10)、『そこのみにて光輝く』と、一貫してひとつの家族を描いてきた呉監督が本作では、3人のおとなと彼らをとりまく子どもたちによる群像劇に初挑戦し、これまで以上に成熟した演出力で見る者を圧倒する。
原作は、おとなも子どもも共有できる優れた作品に贈られる文学賞「第28回坪田譲治文学賞」、2013年本屋大賞第4位に輝いた「きみはいい子」(著:中脇初枝〈ポプラ社刊〉)。脚本は、『そこのみにて光輝く』に続く呉美保作品参加となる高田亮。原作の空気感そのままに、「とある町で起こるひとつの物語」として、人と人とが響きあいながら生きていくさまを活き活きと紡ぎだした。
出演は、現在放映中のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で高杉晋作役を演じ、いま最も注目を集める俳優・高良健吾。『そして父になる』でわが子をとり違えられた母親の戸惑いと苦悩を繊細に表現した尾野真千子。さらに『そこのみにて光輝く』での演技が高く評価された池脇千鶴、高橋和也が揃って出演し、前作とは打って変わった役柄に挑戦。「フランダースの犬」などの名作アニメで親しまれたベテラン・喜多道枝が、その優しさあふれる声で作品にあたたかみを与えるほか、あきこと交流する児童の母親役を演技派・富田靖子が演じ、不安を抱えながら子育てする親の脆さと強さを圧倒的な説得力で体現している。NHK「ぼんくら」、『おおかみこどもの雨と雪』の加部亜門が、自閉症をもつ児童という難役を演じているのも見どころとなっている。
ストーリー
岡野(高良健吾)は、桜ヶ丘小学校4年2組を受けもつ新米教師。まじめだが優柔不断で、問題に真っ正面から向き合えない性格ゆえか、児童たちはなかなか岡野の言うことをきいてくれず、恋人との仲もあいまいだ。
雅美(尾野真千子)は、夫が海外に単身赴任中のため3歳の娘・あやねとふたり暮らし。ママ友らに見せる笑顔の陰で、雅美は自宅でたびたびあやねに手をあげ、自身も幼い頃親に暴力を振るわれていた過去をもっている。
あきこ(喜多道枝)は、小学校へと続く坂道の家にひとりで暮らす老人。買い物に行ったスーパーでお金を払わずに店を出たことを店員の櫻井(富田靖子)にとがめられ、認知症が始まったのかと不安な日々をすごしている。
とあるひとつの町で、それぞれに暮らす彼らはさまざまな局面で交差しながら、思いがけない「出会い」と「気づき」によって、新たな一歩を踏み出すことになる―。
児童虐待やモンペ、教師のサラリーマン化、低学年学級崩壊がテーマの群像映画。ドラマ「mother」で芦田プロ相手に鬼畜ママを演じたオノマチ再びという流れでして(そういやあのドラマのオノマチ彼氏はそこのみにて〜)、舞台は小樽。助演が池脇千鶴、高橋和也ということで傑作「そこのみにて光輝く」のパラレルワールド的雰囲気。お芝居とはいえ、スクリーン越しにムカつく事しばしばで(特に高良健吾)、つまりまんまと監督の術中にはまる良作。呉美保さんの感性と相性がいいのか?
自閉症スペクトラム障害児を演じた子役さんは健常者による演技だそうで、先週終わった「Dr倫太郎」での自閉症スペクトラム児童も健常者の子役さんだったそうです。黒川芽以も端役ながら印象深い。それと気になったのが教師サイドの低学年男児への「さん」付けルール。気持ち悪い。そこまで拘るなら男女共呼び捨てでいいんじゃないの?
以上、本作については細かいことは申しませんので「そこのみにて光輝く」が嵌った方は是非劇場へ。
【映画評】そこのみにて光輝く
満足度(5点満点)
☆☆☆☆
蛇足ながら、前席に小学校低学年女児らしき娘さんと母親の二人連れが座っていたのですが、尾野真千子の折檻シーンからずっと泣いていまして、以降の折檻シーンは母親にしがみついていました。途中で退席するかと思いきや最後まで観ていましたが、本作を娘に見せた母親の考えが知りたかったですね。
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コメント
ジオシティ−ズのHPの人とは別の人の話ですよね。
全く同じタイトルのページが有るんだよね(since2001)、ADHDの息子の話。
全く同じタイトルのページが有るんだよね(since2001)、ADHDの息子の話。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2015年06月30日 13:52