2014年03月15日
【映画評】ダラス・バイヤーズクラブ

ダラス・バイヤーズクラブ(マシュー・マコノヒー出演) [DVD]
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本年度オスカー、トリプルクラウン。
ダラスのカウボーイ野郎のマッチョな熱い話かとおもいきや、大都会岡山とTSUTAYAとティー・レックスさんの映画でした。
男の名前はロン。ロデオと酒と女の日々をおくり、ある日ロデオで賭けをするが、負けると金を払わず逃げ、その日暮らしのトレーラーハウスに戻った瞬間に、膝から崩れ落ちる。病院のベッドで目覚めると、医師が彼に告げた。HIVの陽性反応が出て、余命30日であることを。
有名俳優のロック・ハドソンがエイズであることが公表され、同性愛者しかかからない病気、そんな根拠のない噂が蔓延していた時代。同性愛者でもないのになぜ!?と納得できないロンは、図書館で新聞記事を閲覧し、情報を漁る。そして自分はエイズであるという真実がつきつけられる。
生きたい欲求にかられた彼は、自分を診察した女性医師イブを訪ね、AZTという未承認の薬を処方してくれるように頼むが、断られる。そこで彼はメキシコへ渡り、毒性の強いAZTではなく、アメリカでは未承認だが効果がみこめる薬を国内に持ち込み、患者たちにさばき始める。
彼に慈善の心などなかった。素行が悪く、ゲイ・コミュニティーに嫌悪感を持つロンが、販売ルートを広げるのは難しい。そこで彼は、美しいトランスジェンダーのレイヨンを仲間に引き入れる。日本をはじめ、世界中から仕入れた薬をさばくために考え出したシステムが「ダラス・バイヤーズクラブ」だった。会費を募り、必要な薬を無料で配る。名目的に薬の売買はない。
その彼らの前に立ちはだかったのが、AZTを推奨し始めた医師たちと製薬会社に政府。ロンは、弁護士を使い、 “個人の健康のために薬を飲む権利を侵害する”国の動きに対して徹底抗戦の構えをとる。彼を見殺しにしようとする世界に対する戦い。一人の男が、生きる権利のための戦いに挑んでいく。
一言でいうと「薬害」映画。大都会岡山は先般、会社更生法適用し倒産した林原。
作中の台詞「(北北西に進路を取れに出演していた)コックサッカー・ロック・ハドソン」が辛い。(ヒッチコック作品はケーリー・グラント)
圧倒的にインディーズ映画でして冒頭の「TSUTAYA」「大都会岡山のヒロシあるよニダ」など内容も粗々、予算も僅か500万ドルだったそうですが、「映画作品」として冷徹に比較するなら先般のオスカー作品賞は本作(またはグラビティ)こそ相応しいという内容。「国家権力に抗う」など偽善心くすぐるアカデミー賞選考会員に持ってこいだった筈ですが、何処も泣く子と差別には勝てないんですね。
アカデミー主演男優賞に輝いたマシュー・マコノヒーに優るとも劣らぬ助演男優賞のジャレッド・レトがアン・ハサウェイに怒られたでござるの巻。




で、「エイズ持ち同士のセックスパートナー」という生活の知恵を初めて知りました。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆☆
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