2013年03月26日
【映画評】シュガーマン 奇跡に愛された男

Coming from Reality

本年度オスカー長編ドキュメンタリー受賞作品。
去年、劇場で予告編見たときは「そんなヤツ知らんわ」と、アウトオブなんとかでしたが、各所で絶賛される評判の高さに背中押されて観に行きました。
(ご本人、仕事(土方)優先とのことで、オスカー授賞式ドタキャンしたんだって)

映画の出来については皆さまの賛辞に完全同意です。アパルトヘイトの検証とか興味津々。
ざっくり的には同じく映画となったランナウェイズあるいはアンヴィルの日本人気と同じパターンですね。
音楽ファンであれば誰しも思うのが「何で売れんかったん?」でして、実際のところがどうなのか分かりませんが、映画を見てのみ仕入れた情報に立脚した上で、先に結論ですが売る体制が出来ていない。
マネージメントの無能無策による才能あるアーティストの飼い殺し。
売れない理由その一はアルバム・ジャケット。
胡座かいて座った写真って酷すぎ。デビュー盤ならなおのこと金かけてジャケットに知恵絞るべきでは。
洋盤ジャケットのロケ地合成写真:Birth of Blues
アルバムジャケットに何の情報もないってのも、件の版権漏れの起因ですよね。
名前がダメなのでは。
ソロアーティスト名前の法則というのでしょうか、例えばフォーク・ロックなら「ジェームス・テイラー」「ジャクソン・ブラウン」「キャロル・キング」「ニール・ヤング」「ジョニ・ミッチェル」「ボブ・ディラン」「ドクター・ジョン」「ジョー・コッカー」など、共通するのが「アタマアクセントの一息&3拍」。然るに「ロドリゲス」。バンド名か何なのか分からん。
アルバムジャケットのクレジットも3つの名前を混合使用していたそうで、だったらミドルネーム使って「ディアス・ロドリー」だったらどうなのとか(完全思いつきです。真に受けないで下さい)
あと間違いないのが、プロモートがダメダメじゃないのかと。
1970年といえば音楽ムーブメント黎明期でして、もっというとクソみたいな音楽でもそれなりに売れていたバラ色の時代。当時流行りの映画OSTに突っ込むとか、全米各地のラジオ局に皿手渡しし、様々な野外コンサートに顔突っ込めば全米実売6枚(演出上の誇張というのは分かっていますが)なんてことはあり得ない。しかも劇中で、ライブ呼ばれたのに芋引いて逃げたというエピソードも紹介されていまして、マネージャーいなかったの?
いずれにせよ、当時の南アでは「アビーロード」と「明日に架ける橋」とロドリゲスさんのファーストが音楽LP三種の神器だったとのことで、日本で例えるなら(時期はちょっと違うけど)「氷の世界」とか「元気です」「コバルト・アワー」みたいな位置付けなんでしょうね。
確かに、アルバム「氷の世界」や「お伽草子」の歌手の素性が分からないままステージで拳銃自殺したという前提で20年後に本人が生き返って凱旋ライブやったらギャーゾンビ!で腰抜かすわな。
で、念の為に1970年のビルボードアルバム・チャート調べたけど、結果論的にロドリゲスさんデビューする年を間違えとる。不幸すぎ。人類音楽史上的にもかなり凶悪な年なのでは。
ビルボード Billboard 1970年 年間アルバムチャート
ARTIST ALBUM TITLE
1 SIMON & GARFUNKEL BRIDGE OVER TROUBLED WATER
2 LED ZEPPELIN LED ZEPPELIN II
3 CHICAGO CHICAGO
4 BEATLES ABBEY ROAD
5 SANTANA SANTANA
6 RARE EARTH GET READY
7 SOUNDTRACK EASY RIDER
8 SOUNDTRACK BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID
9 JOE COCKER JOE COCKER!
10 THREE DOG NIGHT THREE DOG NIGHT WAS CAPTURED LIVE AT THE FORUM
11 CROSBY,STILLS,NASH & YOUNG DEJA VU
12 CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL WILLIE AND THE POOR BOYS
13 BLOOD,SWEAT & TEARS BLOOD,SWEAT AND TEARS
14 ORIGINAL CAST HAIR
15 JAMES TAYLOR SWEET BABY JAMES
16 IRON BUTTERFLY IN-A-GADDA-DA-VIDA
17 GUESS WHO AMERICAN WOMAN
18 GRAND FUNK RAILROAD GRAND FUNK
19 CROSBY,STILLS & NASH CROSBY,STILLS AND NASH
20 B.J.THOMAS RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD
サントラよく売れていたんですね。イージーライダー、明日に向って撃て!、ヘアー、CSN&Yのデジャブは「小さな恋のメロディ」だったよね。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆
デジャ・ヴ | ||||
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元気です。 | ||||
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氷の世界 (紙ジャケット仕様) | ||||
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Cold Fact | ||||
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Coming from Reality | ||||
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Searching for Sugar Man | ||||
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シュガーマン 奇跡に愛された男 オリジナル・サウンドトラック | ||||
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コメント
一番上のジャケ写真は映画と関係ない邦楽(一瞬みうらじゅんに見えた)かと思いました。
こりゃ売れねえ。
こりゃ売れねえ。
Posted by PWpfdchme_spkLmtlyz8AJl4WtzLLY8pXR6v#d0368 at 2013年03月26日 00:40
始業前の誰もいないオフィスでTeach your childrenのクリップをオンにして大音量で聞いたら、泣けてきました。いい歌詞だったのだなあと相応の年になって初めて理解できる文芸作品のようなもの。有難うございました。
Posted by emiyashita at 2013年03月26日 07:53
1stの「Cold Fact」ってジャケットの方が百倍酷いよ。これじゃ売れるわけ無い。(エントリー下に貼付しています)
>いい歌詞だったのだなあと相応の年になって初めて理解できる文芸作品のようなもの。有難うございました。
どういたしまして^^
>いい歌詞だったのだなあと相応の年になって初めて理解できる文芸作品のようなもの。有難うございました。
どういたしまして^^
Posted by kingcurtis at 2013年03月26日 11:13