2010年09月01日

【書評】夕凪の街 桜の国

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夕凪の街桜の国
夕凪の街桜の国


唐突にftkstが上げていたので、久し振りに読み返した。



誰かに「死ねばいい」と思われたのに生き延びている、自分には生きる価値がないと思った人のお話(プラス被爆者差別)。

田中麗奈主演の映画にもなったそうで(当方未見)、原爆をテーマとした家族三世代の漫画。
巻末で作者曰く、シナリオは原爆文献で果てしなく繰り返された「民話」レベル。との事ですが、登場人物がイキイキとして余韻ありまくりです。
特に非常に短いながら「夕凪」パート。
全然説教臭くないので、原爆に関心がある人は是非一読下さいませ。
(登場人物と時代背景が多層なので、小学生にはちと難しいかも)

ふと想い出しました。
昔よく学校で歌わされた「嗚呼、許すまじ原爆を」って、原爆慰霊碑文の「過ち」と同じく鬼畜米英を許さないという暗喩かと思われますが、そういうのが典型的な罪を憎んで人を憎まずという事なのかなと。





我が国が平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思うのであれば、こういう漫画の各国語翻訳版作成して主要各国の児童へ配布したらいいのにね。
温室ガス削減宣言や韓国に公式謝罪するより、桁違いで国際社会へ貢献出来ると思うよ。

夕凪の街桜の国
夕凪の街桜の国こうの 史代

おすすめ平均

stars広島のある日本のあるこの世界を愛してますか?
この漫画の冒頭には、こんな一文が掲げられている。

「広島のある日本のあるこの世界を愛するすべての人へ」

この一文と、その後に続く「夕凪の街」という、わずか30ページの作品は、読む人に、半世紀以上前の広島に起きた出来事が未解決のままの世界に暮らしていることを否が応にも突きつける。戦争のことなんて考えもしない人でも、これを何も感じずに読むことはできないと思う。

1945年8月6日、全く普通の人が、突然大量に消えた。なおかつ、その日から、そこで生き残った人々は、いつ来るか分からない死におびえながら暮らさなくてはならなくなったのだ。知識として多くの日本人が知っているこのことを、この作品は「あの日」の10年後の広島の1人の女性を主人公に、淡々と、しかし痛切に描き出す。

OLとして働く普通の女性が、普通に暮らす中で心にしまいこみ続ける「あの日」の記憶と、明日への恐怖。ページをめくるたびに強く感情移入させられるのは、こうの史代の絵の力だと思う。昔風ののんびりした絵柄にだまされてはいけない。漫画でしかできないような心象風景の描写が随所に積み重ねられている。この人はある意味現代漫画の最先端と言いたくなるようなテクニカルな実験をコマにさらっと潜ませる名人だ(それはこの作品よりも「長い道」「この世界の片隅で」でより顕著かもしれないが)。

あまりに鮮烈なラストの描写の余韻はただただ忘れがたい。

で、それに続く「桜の国」は現代の東京で、被爆二世たちの暮らしを描いた作品。「夕凪の街」のインパクトに比べ、穏やかなトーンで描かれるこの作品も、しかし広島の問題が今も終わっていないことがしっかり示されている。それでもって、シリアスな中にも、こうの史代らしいユーモアも発揮されてて楽しく読める。

「広島のある日本のあるこの世界を愛するすべての人」が読むべき1冊。忘れられない読書体験になると思います。

stars核なき世界に向けて
この本を届けて欲しい。
この本をありとあらゆる国々へ。
特に核保有国の方々へ。

劣化ウラン弾保有国へ。
劣化ウラン弾は、火薬で爆発するから、
核兵器とは分類されていないが、
放射能汚染をもたらす通常兵器です。

その兵器を被爆国である日本も保有していることを
みなさん、知っていますか。

この本は、放射能汚染の恐ろしさを
それこそ小さな子どもでもわかるように伝えています。
国境を越えて、核の恐ろしさを伝えるには、最良の本かもしれない。

この本を各国語に翻訳して、
全世界の人々に核の恐ろしさを伝えて欲しい。

stars読むたびに、心ふるえる宝物
ずいぶん前に買った本ですが、今も本棚の目立つ所に置いてあります。
私生活で疲れた時など、なんとなく手に取っては端から端まで読み直してしまいます。
そして、またがんばろうという気持ちを思い起こさせてくれる――そんな漫画が、どれだけあるでしょうか?

これは戦争漫画ではありません。昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、そこに住む人々の日常に潜む「あの日」の恐怖と、突然訪れる原爆症へのやるせなさを、明るくやわらかいタッチで、しかし如実に描いています。

私は広島とは縁もゆかりもない人間ですが、初めて読んだ時、この物語が訴えかけるものの重さに、心が揺さぶられたことを覚えています。
35ページまで読んだ後、胸の内に湧いたあの気持ち……なんと表現したらいいのか分かりませんが、たぶん私はずっと、あのいろんな想いの渦巻くやるせなさを忘れないでしょう。

この本は、私の宝物です。今後も折に触れて何度も読み反すことでしょう。そしてその度に、心に明かりを灯してくれることでしょう。
本当にたくさんの方に手に取って頂きたい一冊。この本が、みなさんの心に桜を咲かせてくれますように。

stars・・・
小学生の修学旅行は広島でした
その前後、最中に体験者の話や当時の写真を数多く見聞きしました
正直いうと、あまりの悲惨さに思い出したくない記憶でもあります
でも決して眼を逸らしてはならないことだと再認識させられました

また、生き残った人たちが生き残ったことに罪悪感を抱いていたことを今回初めて知り衝撃的でした

本作は非常に重いテーマを扱っていますが、「夕凪」「桜」といった情緒深い風景に包まれた暖かさも備えています
朗らかな性格で4.5頭身といったキャラ造形も救いとなっています
シリアスな題材を暖かさを含んだ視点で描ける著者の感性には脱帽です

stars説明不要
読んで損は絶対ない。
迷っているなら、ページを開くべき。
絵の好みもあるかもしれませんが、本当に優しい空気が流れています。
とてもせつなくて、自分を内省してしまいます。
新品購入してももったいなくないぞ〜!
子供が自然に手に取れるように、本棚の一番前が定位置です。家宝

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小説 夕凪の街桜の国
小説 夕凪の街桜の国国井 桂 こうの 史代 佐々部 清

おすすめ平均
stars「そして、確かにこのふたりを選んで生まれてこようと決めたのだ――」
stars忘れてはならないもの  
stars一人で読んでて良かったです

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コメント
この映画は耳にしたことがありますが、漫画は初めて知りました。
是非読ませていただきます。

丸木夫妻の「原爆の図」などを観るにつけ、核無き世界には情緒によってしかたどり着けないというような気持ちになりますが、果たして…
Posted by 男A at 2010年09月02日 00:05
いい作品ですよね。
下敷きになっている小説、大田洋子「夕凪の街と人と」も必読です。
舞台の原爆スラムは、今は緑地になっていて跡形も残っておりませぬが、仁義なき(広島)で、映像が残ってるよ。(梶芽衣子><)

被差別でいうと、被爆vs部落vs朝鮮人を描いた井上光春の小説「地の群れ」が強烈。

息子コメント=米の立ち位置だけれども、シャザイはいらないからあなたの足で広島、長崎に来てくだされ。
Posted by 名は無いでガンス at 2010年09月02日 02:02
原子力関連でトリウムネタをここにタレコミ
「今日の覚書、集めてみました」さんとこの
「オバマ大統領は一夜にして化石燃料を死滅させられるだろう」から適当に抜粋。
>ルビア博士によれば、この銀色の金属1トンで、ウラン200トン分、石炭350万トン分のエネルギーが生み出される
>詳しく研究し始めるとビックリする。何十万年もトリウムで文明を維持することが出来る。しかも事実上無料だ。ウラン・カルテルとやりとりすることもない
>トリウムは余りにも一般的過ぎて、鉱山労働者など希土類を採掘しようとすると出てくる邪魔な放射性副産物のように扱っている
>トリウム溶融塩炉は遥かに小さく、遥かに安価になるだろう。原子炉の加圧水がないのだから、巨大なドームも必要なくなる。コンパクトだ
>もっと良い方法は、皆のために、中国と手を組んでこれを行うことだ。
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/85ee87a6fed2fcdc7cdeef2414dcde08
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/669b25e3c62256cddab61bcc16fd5d26
Posted by 名は無いでガンス at 2010年09月02日 06:31
おばあちゃんのミシンが現代でも大切に置いてあったり、夕凪の街にでてきたあの人が禿げてたりと細かい描写が好き。でも、一番いいのは大声で平和を主張してない所かな。
『この世界の片隅に』のレビュー希望。
Posted by 名無しのガンス at 2010年09月02日 07:49
ちょっと気になってたのでアマで買うてきました。

>漫画の各国語翻訳版作成して主要各国の児童へ配布したらいいのにね。

「はだしのゲン」はボランティアで取り組んでいた方がいらっしゃいましたね。大変な時間と労力を費やしてでも伝えたい気持ちの強さがなしえたのでしょう。

個人的には、借りて読んだゲンはいろいろ強烈すぎて、夜トイレに行けずおねしょしてしまった子供時代のトラウマ漫画です…。
Posted by 名は無いでガンス at 2010年09月02日 08:26
この前もんじゅで起きた事故が大きく報道されないところが今のこの国の体制の異常なところ。

これを追求しない反核団体の矛盾性がまた証明された。

サヨクちゃん達はそのマイノリティな脳みそで何時まで理屈をこね続けるつもりかな?

てか、なんとか姐さんもそうだけど、なんか大変そうだね。
Posted by 名は無いでガンス at 2010年09月02日 14:17
「情趣」は意味なし。韓国では映画『ムクゲの花が咲きました』で、この本の言葉通り「やった!!これで日本人をまた殺せた」と大喝采しているし。原爆酒で大はしゃぎも。
数十年前の「徹子の部屋」での渡米した被爆者の話。ケロイドの凄まじい写真を現地の子供に見せたら大爆笑。顔が面白すぎだって。記念館では原爆の形をしたチョコアイスも販売中。校章がきのこ雲の高校もある。
日本人、ナイーブ過ぎ。甘い。淡々と科学的データを示した方が良い。
よってこの本は完全に国内向け。

そんな事より、被爆者二世検診の交通費ぐらい全額出した方が、何ぼかまし。大腸がん検査も、眼底検査も、どんどん検査項目が有料化されている。
Posted by 名は無いでガンス at 2010年09月02日 18:50
但し唯一批判されるとするなら(といっても作品テーマと関係はまあ・・薄い?)三国人に関して甘い感じが(自分が求めているのはあの辺の共産党だったりを含めたその辺の空気を未来永劫蟲毒の壷に封じ込めた作品なので
それでもその辺の横暴を文を用いないで描写しているのは凄いですね。
小林よしのり氏と一緒に居るから男系とか女系とかであの方面の路線のおつるさんみたいになっている部分がが微妙に気に掛かるにせよ本当の意味で「反戦」している方なので尊敬しています。
Posted by 五月雨祭 at 2010年09月02日 21:17
>被爆者二世検診の交通費ぐらい全額出した方が、何ぼかまし。

まあ明確に原爆症と認定される者に限られますけどね。
被爆2世といっても広島長崎に行けばそこらじゅうに
いますから。ほとんどが五体満足な状態です。
そうしておかないと、また悪知恵つけた乞食が
群がってくるわけで。

>大腸がん検査も、眼底検査も、どんどん検査項目が有料化されている。

どなたか以前言ってたけど大腸がんはキムチ食い続けてる
土人の風土病みたいなもんだがね。
肝炎に拘り、新しい家と高級車2台をせしめた乞食も
いるみたいだが(笑)。
というか原爆症とは関係ない話だね。

大体原爆症の遺伝性に関しての研究を妨害し続けてるのが
悪知恵つけた物乞いの乞食思想のクズ連中なわけだが。
なぜか都合が悪いみたいだね、なぜか。
Posted by 名は無いでガンス at 2010年09月03日 01:38
↑どうしてあなたはそんなに劣悪なんだ?現実世界でもそうなのか?
Posted by 男A at 2010年09月03日 09:20
この本、アマゾン経由で20冊売れとります。
別に売るつもりはなかったのだが・・
ご購入頂いた皆々様、ありがとうございます。
Posted by kingcurtis at 2010年09月03日 12:40
ありゃ?いつのまにかそんなおまいが釣られ久間ーッw
なんか都合の悪い話しちゃったかしら?ww
ついでに、小児ポリオワクチンの件でも連中は市民団体を名乗って妨害をしてる訳だが。

と、オヤジが原爆手帳持ってる被爆二世が書いておきますよ。
Posted by 柳腰な地球市民さん at 2011年02月15日 05:29
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