2010年04月10日
【書評】ペリリュー・沖縄戦記
mixiチェック説教臭くもないし、ヒーロー不在。手に汗握るカタルシスもありません。
前半のブートキャンプ描写以降は、死体に集るハエとウジ虫、悪臭、腐敗する死体、豪雨、泥沼、絶え間なき破裂音、恐怖、不眠、敵兵に対する陵辱、彼我の死、日本兵に怯え発狂する兵士ばかりです。
特に印象に残るのが、数日降り続く豪雨とぬかるんだ泥に浸った「足」の描写。
靴の中で足がヌルヌルするが脱げない。(24時間敵襲警戒の最前線で靴は脱げない)
前半のペリリュー島での詳細な戦闘描写に比べ、後半の沖縄決戦については時間の観念がないかの如く延々ループしている気にさせるのが絶妙。
沖縄戦の既述については、脳漿のみを吹き飛ばされた日本軍将校の損傷部分をライフルの銃口で延々突く発狂した米兵、市街地でいっそ殺せと乞う重篤な女性店主を治療する為、主人公が衛生兵を呼びに行った隙に射殺した海兵隊員などは映像化難しいかも。
最後辺りは手榴弾をパッケージのまませっせと投擲する米軍補充兵の記述もあり(当然、拾った皇軍よりピンを抜かれて次々投げ返される)、あちらも一杯一杯だったんだなぁとか。
(沖縄戦末期の米軍補充兵死亡率既述もありました〜前線配属されても顔も名前も覚えられる暇もなく続々戦死)
詳しくは買って読んで頂くとして、沖縄は仕事で幾度となく訪問しましたが車で何度も移動した首里周辺の平地とか、まさに本書でいう完全膠着の激戦地だったんだなぁとか・・
米軍恥辱のペリリュー島戦線については沖縄戦と比べ語られる事も少ないですが、今回、敵国側より話題作が誕生したことから逆輸入で再注目されるのも良しとし、こういう凄惨な戦闘があったという事を後世の者が知るだけでも、両軍20歳前後の英霊の立派な供養になる気がします。
(うちは叔父が比島で戦死しています。グラマンの機銃掃射で貫通銃創の由)
幸か不幸か我々は先の大戦を最後に殺し合いの螺旋より降りた訳ですが、米帝は絶え間なく数多の若人を死の深淵へ送り出す作業を今も続いています。
この60余年後の両国の歩みについて、ペリリュー・沖縄で散花した両軍の兵士はどういう感想語るだろう?
最後に本書の結びの文章を転載して終了。
前半のブートキャンプ描写以降は、死体に集るハエとウジ虫、悪臭、腐敗する死体、豪雨、泥沼、絶え間なき破裂音、恐怖、不眠、敵兵に対する陵辱、彼我の死、日本兵に怯え発狂する兵士ばかりです。
特に印象に残るのが、数日降り続く豪雨とぬかるんだ泥に浸った「足」の描写。
靴の中で足がヌルヌルするが脱げない。(24時間敵襲警戒の最前線で靴は脱げない)
前半のペリリュー島での詳細な戦闘描写に比べ、後半の沖縄決戦については時間の観念がないかの如く延々ループしている気にさせるのが絶妙。
沖縄戦の既述については、脳漿のみを吹き飛ばされた日本軍将校の損傷部分をライフルの銃口で延々突く発狂した米兵、市街地でいっそ殺せと乞う重篤な女性店主を治療する為、主人公が衛生兵を呼びに行った隙に射殺した海兵隊員などは映像化難しいかも。
最後辺りは手榴弾をパッケージのまませっせと投擲する米軍補充兵の記述もあり(当然、拾った皇軍よりピンを抜かれて次々投げ返される)、あちらも一杯一杯だったんだなぁとか。
(沖縄戦末期の米軍補充兵死亡率既述もありました〜前線配属されても顔も名前も覚えられる暇もなく続々戦死)
詳しくは買って読んで頂くとして、沖縄は仕事で幾度となく訪問しましたが車で何度も移動した首里周辺の平地とか、まさに本書でいう完全膠着の激戦地だったんだなぁとか・・
米軍恥辱のペリリュー島戦線については沖縄戦と比べ語られる事も少ないですが、今回、敵国側より話題作が誕生したことから逆輸入で再注目されるのも良しとし、こういう凄惨な戦闘があったという事を後世の者が知るだけでも、両軍20歳前後の英霊の立派な供養になる気がします。
(うちは叔父が比島で戦死しています。グラマンの機銃掃射で貫通銃創の由)
幸か不幸か我々は先の大戦を最後に殺し合いの螺旋より降りた訳ですが、米帝は絶え間なく数多の若人を死の深淵へ送り出す作業を今も続いています。
この60余年後の両国の歩みについて、ペリリュー・沖縄で散花した両軍の兵士はどういう感想語るだろう?
最後に本書の結びの文章を転載して終了。
「住むに値する良い国ならば、その国を守るために戦う価値がある」
特権は責任を伴う、ということだ。
ペリリュー・沖縄戦記 (講談社学術文庫) | |
伊藤 真 おすすめ平均 とにかく読んでおけ 誰もが読むべき本 日本人としてどう受け止めるべきか、、、 克明な戦場の記述に圧倒される 戦争がかっこいいと思っている人に勧めます Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ペリリュー島玉砕戦―南海の小島70日の血戦 (光人社NF文庫) | |
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James H. Hallas おすすめ平均 太平洋戦争における貴重な記録 沖縄戦へのあらたな視点 目をみはる、精強な日本軍の奮闘!! 凄まじい歩兵戦闘の記録 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コメント
映像表現の優劣は別にして
かの文化圏の方々の感情移入の仕方に疑問を持つオイラがいる。
なぜいつも一人称なのか。サウスパークですらそうだ。
そこに文明としての未成熟さと強さを見ずにはいられない。
さて、ペリリュー。
WW2中、屈指の大激戦であったにもかかわらず、これほど知られていない戦場もあるまい。
その理由と、それを前提とした意図的な列島の現状を考える。
まぁ、かの国は一般レベルで世界中で大恥さらしているのでわざわざ対抗する必要もないがw
技術、戦力、補給あらゆる面で優越した軍の苦闘については、その理由を示唆する形で伝えられるべきだと思う。
thePacificはそれに値するのか否か・・・
そういうオイラも字幕つきを待ってるんだけどねw
かの文化圏の方々の感情移入の仕方に疑問を持つオイラがいる。
なぜいつも一人称なのか。サウスパークですらそうだ。
そこに文明としての未成熟さと強さを見ずにはいられない。
さて、ペリリュー。
WW2中、屈指の大激戦であったにもかかわらず、これほど知られていない戦場もあるまい。
その理由と、それを前提とした意図的な列島の現状を考える。
まぁ、かの国は一般レベルで世界中で大恥さらしているのでわざわざ対抗する必要もないがw
技術、戦力、補給あらゆる面で優越した軍の苦闘については、その理由を示唆する形で伝えられるべきだと思う。
thePacificはそれに値するのか否か・・・
そういうオイラも字幕つきを待ってるんだけどねw
Posted by 名もなき友愛市民 at 2010年04月10日 04:13
http://web.archive.org/web/20080503024225/http://www.peace-museum.pref.okinawa.jp/htmls/senbotsu/SN01EXPL100.htm
北海道と福岡はよく戦ったんだな。
秋田をはじめ東北は少ない。
山梨も少ないね、、。
北海道と福岡はよく戦ったんだな。
秋田をはじめ東北は少ない。
山梨も少ないね、、。
Posted by 名もなき友愛市民 at 2010年04月10日 10:11
> そういうオイラも字幕つきを待ってるんだけどねw
正直うらやましい。小鯖で?
正直うらやましい。小鯖で?
Posted by kingcurtis at 2010年04月10日 13:47
終戦までゲリラ戦は続いたんだよね。
失敗したけれど、逆上陸作戦なんかも
あったりして。
あと、現地人に被害を出させないために、
上陸前に避難させているのもカッコイイ
んだよな。
失敗したけれど、逆上陸作戦なんかも
あったりして。
あと、現地人に被害を出させないために、
上陸前に避難させているのもカッコイイ
んだよな。
Posted by 名もなき友愛市民(漁師) at 2010年04月10日 15:55
ビルマでは、英国軍との戦闘の初めと終わりに
「ただいまから撃ち方を開始する」
「ただいまから負傷兵救護の為撃ち方を停止する」
ということが在ったそうな。
大陸でもインパール作戦からの帰還兵は
とても少なかったそうな。
虎にも食われたそうな。
現地人と結婚した兵士も多数いたそうな。
「ただいまから撃ち方を開始する」
「ただいまから負傷兵救護の為撃ち方を停止する」
ということが在ったそうな。
大陸でもインパール作戦からの帰還兵は
とても少なかったそうな。
虎にも食われたそうな。
現地人と結婚した兵士も多数いたそうな。
Posted by 名もなき友愛市民 at 2010年04月10日 21:09