2010年01月21日
【映画評】カティンの森
mixiチェックカティンの森 (集英社文庫)
古今東西、戦記は勝利者の手で創られるという典型例。
戦後になっても真相解明は西側からも棄てられたという「カチンの森事件」です。
この映画、2007年に最初のエントリーを書きました。
やっと観れたよ。
映画のシナリオと登場人物はフィクションから借りていますが、ワイダ監督の父君が実際の被害者であるのと、構想から映画化まで50年の歳月を掛け、複数のシナリオを経て完成したそうです。
プロダクションノートより
事件の全容についてはこちらでお浚いされたし。
ざっくり説明するなら、朝日新聞が絶賛する「アジア的優しさのポル・ポト」「小沢一郎は日本の宝」「スターリンは優しいおじさん」三人衆でお馴染みのスターリンおじさんが、時の赤軍が占領したポーランド東部の軍人・民間人の殺害を命じ、戦時中は(事件を暴いた)ナチスのプロパガンダに、戦後は全てをナチスドイツの罪に被せたという事件。
みなさん!官僚主導の象徴である検察と闘おうではありませんか!
ネット漁っていたらNHKの特集がありました。
これは別のニュース番組。
予告編の動画貼付しようかと探しましたが、embedタグで貼付できる日本語sub付き動画はないみたいですね。
公式サイトの動画は豆粒みたいで、折角のブロードバンドなネット時代なのにこの辺のマーケティングが下手ですなぁ。
予告編については探した結果、ここが一番大きなサイズでした。
英語subなら映画全編がyoutubeで公開されていました。
これが一連のラストシーン。
youtubeの翻訳機能使えば字幕が(精度はあれですが)日本語変換できるので、興味がある人は頑張って見てみよう。
結局、映画評を書かずに終りましたが、最後に簡単に。
重く冷たい色調。
祖国を挟撃されたナチスドイツとソ連より夫や息子、兄や弟を殺された様々な女性がテーマです。10点満点中10点。
ああいう殺され方(トラックから降りたら目の前の穴に頭を打ち抜かれた多数の同僚が棄てられている風景が視野に入り、後ろ手に縛られる一連の流れ作業)が苦しまず楽でいいかもね。
その前のシーンの、血をバケツで流す地下室の流れ作業は嫌だなぁ。
プロダクションノートより
本作はワイダ監督自身の両親に捧げられている。
父ヤクプ・ワイダ(1900−1940)は1939年9月戦役でソ連捕虜となり、スタロビェルスク収容所に抑留され、ハリコフ近郊ピャチハトキで虐殺された。カティン犠牲者リストには「カロル・ワルダ中尉」の名があり、生年月日も父と一致していた。名が誤記されていたため、母アニェラ・ワイダ(1901−1950)は死去するまで、父が無事生還するとの希望を待ち続けた。
ワイダ監督は1957年、カンヌ映画祭で『地下水道』を上映するためにフランスを訪れた際、アンデルス将軍の序文つきの「カティン事件」資料集を読み、初めて事件の真相を知った。それから、映画完成までに半世紀を要した。
「東欧革命」(1989−90)で社会主義から資本主義に体制が変換するまで、ソ連の犯罪と虚偽を暴露する映画の製作は問題外だった。ワイダは1990年代半ばから、ライフワークとして「カティンの森虐殺事件」の映画化を切望した。それから、完成までに17年の歳月が必要だった。
ワイダ映画(そして、彼が代表する「ポーランド派」)の魅力は、すぐれた文学作品を創造的に映画化したことにある。カティンを素材とした文学作品が(本作中、収容所の場面でイェジが言及するズビグニェフ・ヘルベルト(1924−98)の詩「ボタン」を例外として)存在しないことが最大の障害として立ちふさがった。
虐殺されたポーランド将校は、ドラマの主人公になりにくい、という理由から、別のストーリー展開が模索された。
2001年1月から2003年11月まで、小説家ヴウォジミェシュ・オドイェフスキ(1930− )の協力を仰いで、戦後のクラクフを舞台にロマン・マルティニ検察官(ソ連の指令で、ドイツをカティン事件の犯人として告発しようとして、逆にミンスクでソ連の犯罪証拠文書を発見。その後、1946年3月にクラクフの自宅で何者かにより殺害される)を主人公にする可能性が模索されたが、実現に至らなかった。当時の映画の仮タイトルは、『カティン----痕跡を求めて』だった(オドイェフスキの「原作」は、『敗れざる者たち、歩く者たち』(03)として刊行されている)。
その後、アンジェイ・ムラルチク(1930− )が映画用の短篇小説(未刊行)を執筆し、のちにそれをもとに長篇小説『死後』(07)を執筆した。映画封切り数か月前に出版されたこの「映画物語」の舞台は、1945−46年のクラクフと21世紀初頭のカティン、主要な登場人物は、「カティン事件」の被害者アンジェイ・フィリピンスキ家の人々(母ブシャ、妻アンナ、娘ヴェロニカ)とヤロスワフ(映画のイェジ)、イェジ〔ユル〕(映画のタデウシュ〔トゥル〕)である。アンジェイは回想にしか登場しない。
一方、アンジェイ・ワイダ、ヴワディスワフ・パシコフスキ、プシェムィスワフ・ノヴァコフスキの3名は、ムラルチク執筆の短篇小説のモチーフを基に、シナリオを執筆した。プロデューサーの証言によると、1990年代半ばから数えて30番目のヴァージョンにあたるという。
撮影開始時、映画の表題は「原作」と同じく『死後』だったが、公開の半年前の2007年4月に、『カティン』に変更された。当初、登場人物は一切姓を持たず、演じる俳優のプライベートの名前で登場するという、かつて『すべて売り物』で試みたことのある手法の採用が検討されていた。ワイダ監督自身が画面に登場する案もあったが、いずれも制作途中で放棄された。
監督自身、カティン犠牲者である父を息子として待ち続け、夫を待ち続ける母の苦悩も身近に目撃している。小説『死後』のような小規模な「家族映画」を作るのはむしろたやすかったかもしれない。しかし、シナリオ執筆者たちは「原作」を大きく改変して、多様な登場人物による歴史パノラマを作り上げた。
ワイダ監督は、ムラルチクの小説とシナリオの関係を次のように説明している。「原作をもとにしたシナリオは、製作の準備段階と撮影中に多くの変更を受けました。しかしこの小説あればこそ、わたしは撮影を開始することができると信じられるようになったのです」「シナリオを4 つの物語に分けることで、史実の中に発見された場面・情況・人物をより豊富に導入することが可能になりました。それによって、人物の運命のパノラマが拡大し、一家族の物語を超えた映画になりました。また、主題と直接関係のない要素を原作から排除して、全体の物語を時系列に沿って展開できるようにしました。このことが映画の受容を容易にしたはずです」
映画『カティンの森』公式サイト via kwout
事件の全容についてはこちらでお浚いされたし。
ざっくり説明するなら、朝日新聞が絶賛する「アジア的優しさのポル・ポト」「小沢一郎は日本の宝」「スターリンは優しいおじさん」三人衆でお馴染みのスターリンおじさんが、時の赤軍が占領したポーランド東部の軍人・民間人の殺害を命じ、戦時中は(事件を暴いた)ナチスのプロパガンダに、戦後は全てをナチスドイツの罪に被せたという事件。
みなさん!官僚主導の象徴である検察と闘おうではありませんか!
岡野詩子: カチンの森事件真相解明の現状と各国の立場
http://www.e.okayama-u.ac.jp/~taguchi/kansai/okano04.htm
ソ連情報局は再び説明を行った。
「ドイツ・ファシストの殺人者たちは、何万人という罪なき人々の血で染まった手をしている。占領した国々の人々を組織的に抹殺し、子供、女性、老人に対しても情け容赦がない。ポーランドだけでも数十万人を殺害している。彼らの卑しい嘘や中傷に騙される者はいないだろう。このむごさ極まりない捏造の中にゲシュタポのやり方を容易に見出すことができる。実際には、1941年、スモレンスクの西にはポーランド人捕虜がいたのである。ソ連軍がスモレンスクから撤退すると、捕虜は多くのソ連市民と共に、ドイツ・ファシストの餌食になったのであった。ドイツ軍にすぐに殺害された者もいれば、特別な機会のために生かされた者もいた。ドイツ・ファシストらは無防備の何千人という人々を射殺し、その死体にはゲシュタポの文書館にあった偽の文書を持たせ、ソ連の大地に埋葬した。埋葬場所としてグニョーズドヴォの古墳が使われたが、その存在についてドイツ・ファシストは何も語っていない」
ソ連は、カチンの森一帯をナチス・ドイツ軍から奪還するやいなや、自己の犯罪をナチス・ドイツの仕業に摩り替える一大キャンペーンを展開した。
ドイツは独自に調査を続けた。ドイツ当局は独立の国際委員会、ポーランド赤十字、ドイツ法医学委員会の3つの組織で現場を調査した。この調査で、将校たちは1940年3月から4月の間に殺害されたと報告した。この間のカチンの森一帯はソ連の占領地域であった。
カチンの森事件の全容は、それ以後語られることはなかった。ソ連はずっと黙秘をし、ドイツの犯行であると主張し続けた。関係諸国にとっても、それは暗黙の了解であった。
ネット漁っていたらNHKの特集がありました。
これは別のニュース番組。
予告編の動画貼付しようかと探しましたが、embedタグで貼付できる日本語sub付き動画はないみたいですね。
公式サイトの動画は豆粒みたいで、折角のブロードバンドなネット時代なのにこの辺のマーケティングが下手ですなぁ。
予告編については探した結果、ここが一番大きなサイズでした。
カティンの森 - goo 映画 via kwout
英語subなら映画全編がyoutubeで公開されていました。
これが一連のラストシーン。
youtubeの翻訳機能使えば字幕が(精度はあれですが)日本語変換できるので、興味がある人は頑張って見てみよう。
結局、映画評を書かずに終りましたが、最後に簡単に。
重く冷たい色調。
祖国を挟撃されたナチスドイツとソ連より夫や息子、兄や弟を殺された様々な女性がテーマです。10点満点中10点。
ああいう殺され方(トラックから降りたら目の前の穴に頭を打ち抜かれた多数の同僚が棄てられている風景が視野に入り、後ろ手に縛られる一連の流れ作業)が苦しまず楽でいいかもね。
その前のシーンの、血をバケツで流す地下室の流れ作業は嫌だなぁ。
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コメント
>戦時中は(事件を暴いた)ナチスのプロパガンダに、戦後は全てをナチスドイツの罪に被せたという事件。
大躍進政策や文化大革命で殺しまくったのを南京の大虐殺アル
って言い張ってるのと同じですね。
大躍進政策や文化大革命で殺しまくったのを南京の大虐殺アル
って言い張ってるのと同じですね。
Posted by カヲナシ at 2010年01月21日 04:48
そもそも、ユダヤ人がドイツで迫害されたのは、
ユダヤ教が共産党との結びつきが強かったから
現在のイスラエルが、アメリカからの支持を得
ているのも、アメリカの中の共産主義者がアメリカ
では活動できない分後押しをしている。
海外では、完全にイスラエルがパレスチナ人を
迫害している・・・と言う形の報道が多いが、
日本では、パレスチナ人をテロリストとして
報道している場合が多いように思う。
それと、ガザ地区ですが、あそこエジプト
なんで、イスラエルはエジプト攻撃している
んですけれど・・・日本じゃ報道しないね。
ユダヤ教が共産党との結びつきが強かったから
現在のイスラエルが、アメリカからの支持を得
ているのも、アメリカの中の共産主義者がアメリカ
では活動できない分後押しをしている。
海外では、完全にイスラエルがパレスチナ人を
迫害している・・・と言う形の報道が多いが、
日本では、パレスチナ人をテロリストとして
報道している場合が多いように思う。
それと、ガザ地区ですが、あそこエジプト
なんで、イスラエルはエジプト攻撃している
んですけれど・・・日本じゃ報道しないね。
Posted by 名もなき友愛市民(漁師) at 2010年01月21日 09:48
> 大躍進政策や文化大革命で殺しまくったのを南京の大虐殺アル
> って言い張ってるのと同じですね。
今風にいうなら、ジミンガーでしょう。
ソヴィエト=民主党
スターリン=小沢一郎
> って言い張ってるのと同じですね。
今風にいうなら、ジミンガーでしょう。
ソヴィエト=民主党
スターリン=小沢一郎
Posted by kingcurtis at 2010年01月21日 13:10