2007年11月06日

沖縄戦集団自決教科書検定問題 全社が日本軍の関与復活へ

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日頃、暴論書き殴っている割には閲覧者様の暖かい眼差しから、さほど荒れる事もなく淡々と進行している当ブログですが、このエントリーはかなり誤解を招くかもしれません。
元より書きたくてたまらないテーマなんですが、デリケートな問題だけに自分の知識の足らなさと語彙の少なさから、思考が指先経由で正確に記せない伝わらないかもという多少の不安を抱え、書くのに躊躇ってしまう重いテーマでもあります。

先に、読んで心証を害した人がいれば謝っときます。ごめんなさい。
と予防線を張りましたのでエントリー投下します。

日本軍強制、三省堂も復活へ=沖縄戦集団自決の教科書検定問題 時事ドットコム
2007/11/05-22:44
 沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、三省堂が検定後に削除した日本軍による自決強制を復活させる表現で、週内に文部科学省に訂正申請することが5日、分かった。同社の教科書執筆者が、都内で開かれた各社の執筆者らによる会合の席上で明らかにした。
 日本軍の強制を示す表現を削除して検定合格した5社のうち、東京書籍など4社は既に強制の表現を復活させて訂正申請している。


当り障りない話から始めますと、答えは1つしかない筈の歴史的事実が、右の声が大きいから訂正。左の声も大きいからまた訂正など、文科省に軸はいくつあるのですか?
いっそのこと、清濁飲み込んで韓国みたいに国定教科書を導入されては如何でしょう?

で、沖縄の新聞は連日連夜、この報道一色の模様です。
9日に大阪地裁で行われる慶良間事件証人尋問に焦点を合わせ、今週の月曜より特集を再スタートした沖縄タイムス「挑まれる沖縄戦」のバックナンバーはこちら。

●特集『挑まれる沖縄戦』シリーズPDF版(06年8月15日〜07年6月8日)
 「集団自決」訴訟、歴史教科書検定と、挑まれる沖縄戦の真実。その焦点と背景を立体的に検証する見開き特集企画。

(1)「集団自決」・虐殺特集/軍が民に死を強制(06年8月15日朝刊 PDF版399KB)
(2)「集団自決」裁判特集/住民犠牲の真実を破壊(06年10月15日朝刊 PDF版2721KB)
(3)住民虐殺 マレーから沖縄へ/日本軍の暴挙拡大(06年12月15日朝刊 PDF版651KB)
(4)教科書検定問題特集/繰り返される実相歪曲(07年4月29日朝刊 PDF版415KB)
(5)「集団自決」シンポジウム/「軍命削除の撤回を」(07年6月8日朝刊 PDF版1744KB)


争点が脱線しない為にも、今回の騒動を整理しましょう。

1)沖縄戦で集団自決を強要する「軍令」が多数あったと語られるが、裏が取れたのは慶良間諸島だけ→教科書記述
2)その渡嘉敷島については自決住民に対する恩給給付要件欠缺を憂いた吏員が軍令を騙ったと懺悔。座間味島集団自決と併せ濡れ衣と称される将校が出版差し止めなどを求めた名誉毀損裁判。当該書籍が集団自決論者の事実上バイブル。
原告:座間味島元守備隊長梅澤少佐 渡嘉敷島元守備隊長赤松大尉(故人)の兄
被告:大江健三郎・岩波書店
3)係争中で事実認定があやふやだよと、文科省が軍令記述を検定削除
4)当該裁判は旧軍復権狙いの政治的パフォーマンスであると軍令あった派が猛反発。沖縄主催者発表11万人決起集会〜文科省へ抗議
5)沖縄の人に配慮したいからもう一回再検定するよと文科省 ←いまここ
6)11月9日証人尋問
7)12月21日最終弁論
8)来春判決予定

で、私見ですが、再検定にて玉虫色的に「争いがある」って記述で決着させるのは駄目なんだろうか?
現時点ではそれが一番正確な表現なのでは?
もっと補足すると、両派の主張とか。
そういう曖昧な記述があったからといって、沖縄で流れた血が無駄になるとは思えないんですが。
逆に高校生は双方の意見を知り、それでは真実は何なのか?という高い思考を試される勉強になると思います。



ここから先が冒頭で保険掛けた駄文となります。
一応素面ですので、なんくるないさぁ。と、勇気を持ってw

件の集会報道では「歴史の真実を歪曲」「あの醜い戦争を美化しないで」「死者を冒涜するな」「歴史から学ぼう」というメッセージを目にしましたが、歴史の真実を定めるのは、おいらでもあなたでも沖縄タイムスでもなく歴史学者です。しかも近年の歴史ですので政府が本腰入れたら赤裸々な真実が出ると思いますよ。

それと「醜い戦争の美化」
凄まじく誤解を恐れながら書きますと「軍令による集団自決の強要」の方が、より陰惨である筈の戦争への美化描写だと思います。
だって、全てを鬼畜日帝の所為にすれば楽じゃないですか。
無抵抗な国民は軍に住居を奪われ食料を奪われ命も奪われた。その生き地獄を米軍が解放してくれた。全ては悪鬼な日本軍が悪いんだと。戦争を憎んで人を憎まず。
であれば学ぶべき歴史とは、軍を持たない。戦争をしない事です。

そうではなく、慶良間の集団自決の真髄とは、戦時下の閉塞的混乱に於ける史上稀な家族間による殺し合いだった。
いる筈もない敵と絶望と混乱と恐怖に怯えた一夜限りの悪夢。
その時、その場所にいれば、誰しも常軌を逸し同じ過ちを繰り返す。
それでは何故、愛する妻を・母を・妹を、父が・息子が・兄が殺したのか?
生きて虜囚の辱めを受けずなのか、現実逃避なのか、怒りの表現なのか、狂気の感染なのか。
医師である父が肥後の守で妻と娘の首を切断したとの記述も読みました。しかも感謝しながら死へと旅立つ妻子。
逃げ回る幼子を執拗に絶命させる年長者。
一夜明け、徹底的にこの手で殺した筈の家族を、生きていてくれ。と、一縷の望みを持って探す男達・・まるで魔法が解けたように。
終戦後、故郷に戻り、自分の家族は全滅したのに隣家は全員生きている不条理を理解出来ない復員兵。
そういう悲惨な状況が生じたのはどのような時系列的背景があったのか?
互いの心理状態はどうだったのか?
外的要因として何が進行していたのか?何が作用したのか?
時間は?場所は?人数は?

そしてどうすれば防げるのか、過ちを繰り返さない為にどうするべきかを学ぶ事こそが死者の尊厳を守り、翻ると、平和に暮らす人々をも一瞬で狂気に駆り立てる戦争とは、如何に醜いものなのか「歴史から学ぶ」べきではと思います。
結論は彼らの体験を糧にするならば、可能な限り戦争などするべきでないし、広域災害時のパニック時に同じ轍も踏まない。
(噂の域から外的要因が加わり情報が錯綜し虚言の流布が流れ集団ヒステリーというのはある種確立されたパターンです〜銀行の取り付け騒ぎ然り〜これが戦時下では命を殺める)
それを乱暴に「軍令」で終わらせる事こそ、声なき死者への冒涜だと思うんだが・・

脱走民や捕虜住民に対し赤松大尉らが下した陸軍刑法措置に関する軍法違反問題や錯乱将兵による住民虐殺については沖縄戦固有の問題ではなく、上記命題と比べると矮小な事由だと思いますので、別の方へ譲りますね。

沖縄県の人々は軍令などと逃げず篭らず、臆することなく勇気を以って深淵を覗き込んでみませんか?
今の憎悪と怒りが、先人を労わる気持ちや感謝や安らぎに代わるかもしれません。
そして沖縄の悲劇の経典たる「鉄の暴風」は、沖縄タイムスと占領軍の宣撫作戦だった事を忘れないように。
度重なる重版の過程で証拠は沖縄タイムスより隠滅されている事を忘れないように。
(当ブログは大東亜戦争時、沖縄戦を初めとする広域な各所で流された血と失われた全ての命の上に、現在の日本並びに極東アジアの繁栄が成り立っていると思っています)



最後に、曽野さんを宣教活動家とか競艇とか笹川の隠し子とかポッポの腹違いとか統一教会とか方々で揶揄されるのはどうでもいいし事実であれどうであれ一向に構わないのですが、本書まで貶すのはどうかなと思います。
これは筆者のコントロールが効かない編集だと思われますので、ギャンブル嫌いな方でも大丈夫ですよ。
本テーマに関する書籍が少ないので選択肢が足らないのは否めませんが。
沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実―日本軍の住民自決命令はなかった! (ワックBUNKO)沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実―日本軍の住民自決命令はなかった! (ワックBUNKO)
曽野 綾子


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母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言
宮城 晴美


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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(6)大東亜戦争 
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この記事へトラバ
「教科書検定と歴史認識」に関するブロガーの意見で、みんなの参考になりそうなブログ記事を集めています。自薦による投稿も受け付けているので、オリジナルな意見のブログ記事があったら、どしどし投稿してください。
ブログ意見集: 教科書検定と歴史認識 by Good↑or Bad↓【ブログ意見集(投稿募集中)by Good↑or Bad↓】at 2007年11月09日 15:05




コメント
残念ながら、客観的な検証はできないように思います。慰安婦問題と同じで、結論は初めから決まっている。
一言で言えば命令はあった、軍が悪い。だから賠償をしろ、未来永劫謝罪せよとなるだけで。それで話は終わり。
そこには歴史から学ぶとか、死者への冒涜という話は全くない。9条を守れとか、アジアから孤立するなという主張にはつながると思いますが・・。
Posted by サヨクの主張 at 2007年11月06日 22:04
空気読まずにコメントさせて頂きますが、
「沖縄における戦禍なんぞ、活動家や大手メディアが取り上げてくれるだけ有難いだろうが」
などと、元北海道民の僕は思うんだが(キッパリ)。

(勿論沖縄県民の中にも、違和感を感じている方がおられるのは存じておりますよ)
Posted by 熊蔵 at 2007年11月06日 23:29
各社に「公開質問状」を送ってくださいませ。
「証拠提示よろしく」という内容で。

ググールランク4の力を見せ付けてやりましょう。
Posted by んんー at 2007年11月06日 23:41
>サヨクの主張さん
従軍慰安婦問題と違い沖縄の件は、内地と沖縄の分断を画策している赤い集団が跋扈していると思っています。
その先にあるのは中華圏を塞いでいる栓の開放でしょうか。

>熊蔵さん
真岡郵便局・・・・
沖縄の集会に参加した人の何割が知っているでしょうか。。
100%でないと許せない気持ちは、少しあります。
日本の反戦家は露助を敬うのが基本ルールですので、9人の乙女の悲劇など事実上存在しなかった事になっています。
沖縄に続く第二の本土決戦(正確には日本領土進攻ですが)は実は白日夢なのです。

>んんーさん
>>ググールランク4の力を見せ付けてやりましょう。
そうやってからかうww
Posted by kingcurtis at 2007年11月07日 00:15
>日本の反戦家は露助を敬うのが基本ルールですので、9人の乙女の悲劇など事実上存在しなかった事になっています

麻山事件も知らない人が多いのではないでしょうか。
私も知らなかったですが、何年か前図書館で偶然読んだ本で知りました。周りの人に聞いたのですが誰も知りません。
Posted by まりこ at 2007年11月07日 18:12
ソ連絡みは麻山事件(その先にある中国残留孤児問題)も含めマスコミも反戦家もスルーですね。
シベリヤ抑留については関係者数が甚大ですので流石に誤魔化せないみたいですが、シベリア帰還者対し国家が為した酷い仕打ちも、これまた事実上スルーです。

あっしも大東亜戦争については皆さんが知っているレベルと同等の知識しか持ち合わせていませんが、慶良間の世論反響に対する熊蔵さん、まりこさんのカウンターだけ捉えても、自称反戦家と称される輩が如何に偏面的で恣意的で政治的なのか、愚民を操るのは如何に容易いのか、その一端が窺えますね。
Posted by kingcurtis at 2007年11月07日 23:36
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