2007年04月02日

youtubeで神扱いの「外山恒一さん政見放送」に公職選挙法抵触の恐れとか

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ザル法の典型でもある公職選挙法ですが、読売よりこういう報道あり。
動画投稿サイトに政見放送、選管「法に抵触の可能性」 読売新聞
 利用者が急増しているインターネットの動画投稿サイトに、東京都知事選(8日投開票)の立候補者の政見放送や街頭演説の映像が投稿され、いつでも自由に見られる状態になっている。

 候補者の映像などの公開は、公職選挙法で決められた方法に限るのが原則だが、動画投稿サイトでの政見放送“放映”は想定外で、明確な定めはない。都選挙管理委員会は「公選法に抵触する可能性もある」としながらも、映像を前に手をこまぬいているのが実情だ。

 動画投稿サイトは、もともと利用者が自分で撮影した映像などを公開するためのものだったが、テレビ番組などの録画映像が勝手に投稿されるケースも目立つ。米国の「YouTube(ユーチューブ)」が有名で、国内でも同様のサイトが運営され、急速に利用者が増えている。これらのサイトでは現在、複数の候補者の街頭演説や、支持者向けに作成された政策ビデオの映像などが視聴可能だ。

 中でも、過激な発言が話題を呼んだ候補者の政見放送は、ネット上でも注目度が高く、3月25日に初めて放映された直後から投稿が相次ぎ、BGMを入れたり、アニメと組み合わせたりするなどした映像も登場。利用者による再生は既に数十万回に上っている。


唯一ネ申の参考:
ニコニコ名作劇場 No.11 外山恒一の政見放送 [2007/03/25/テレビ朝日]

 公選法は、候補者に関する文書や図画・映像の扱いを細かく規制。政見放送についても、あらかじめ決められた方法や回数を守って流すよう、放送事業者に義務付けているが、ネット上に映像が流される事態は全く想定されていない。

 都選管は「候補者の映像がいつでも見られる状態になっているのは好ましくない」としているが、悩ましいのは投稿者の特定が難しく、目的がはっきりしない点。候補者本人や支持者が選挙運動目的で投稿したことが確認できなければ、明確な違反とは言いがたいといい、都選管は「警告などの対象になるかどうかは、最終的には警察の判断になる」と歯切れが悪い。

 あるサイト運営会社の担当者は「利用者から投稿された映像を共有するサービスなので、はっきり違法だという指摘がなければ、当社の一方的な判断で削除するのは難しい」と話しており、事実上、野放し状態になっている。

(2007年4月1日10時5分 読売新聞)

公職選挙法が如何に矛盾だらけなのか、論評の余地はありません。

例えば
(人気投票の公表の禁止)第138条の3 
何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。

毎日のようにテレビや新聞で世論調査結果が報道されています。

例えば
(気勢を張る行為の禁止)第140条 
何人も、選挙運動のため、自動車を連ね又は隊伍を組んで往来する等によつて気勢を張る行為をすることができない。

みんなの街では自動車を連ね又は隊伍を組んでスピーカーで「わーわー」言っていない訳ですね。

例えば
(連呼行為の禁止)第140条の2 
何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前8時から午後8時までの間に限り、次条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない。

なんで自動車はOKなの?一番煩いのに・・

そしてこれ↓
(文書図画の頒布)第142条 
衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書及び第1号から第2号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない。

(長いので以下略)

条文ではこの後更に但し書きが続きますが、いずれにせよ衆議院議員が一番チラシが撒ける謎。
常識で考えたらチラシの配布部数を決めるのはその選挙の種類ではなく当該選挙区の有権者の多寡だろ。普通。

蛇足ながらマニフェストは「(パンフレット又は書籍の頒布)第142条の2」にて国会議員(衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙)しか認められていない謎。

で、今回のテーマである「政見放送の無秩序」ってのは
(政見放送)第150条 
衆議院(小選挙区選出)議員の選挙においては、候補者届出政党は、政令で定めるところにより、選挙運動の期間中日本放送協会及び一般放送事業者のラジオ放送又はテレビジョン放送(放送法(昭和25年法律第132号)第2条第2号の3に規定する中波放送又は同条第2号の5に規定するテレビジョン放送をいう。以下同じ。)の放送設備により、公益のため、その政見(当該候補者届出政党が届け出た候補者の紹介を含む。以下この項において同じ。)を無料で放送することができる。

この条文の6号
6 前各項の放送の回数、日時その他放送に関し必要な事項は、総務大臣が日本放送協会及び一般放送事業者と協議の上、定める。この場合において、衆議院(比例代表選出)議員の選挙における衆議院名簿届出政党等又は参議院(比例代表選出)議員の選挙における参議院名簿届出政党等の放送に関しては、その利便の提供について、特別の考慮が加えられなければならない。
これとの抵触問題。まさにどうでもいい。

逆にどうでもよくないのがこの後に続く条文。
(政見放送における品位の保持)第150条の2 
公職の候補者、候補者届出政党、衆議院名簿届出政党等及び参議院名簿届出政党等は、その責任を自覚し、前条第1項又は第3項に規定する放送(以下「政見放送」という。)をするに当たつては、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも政見放送としての品位を損なう言動をしてはならない。

外山さんを裁くのならこの条文で充分だろwwwwwwww

そもそも「インターネット」を活用した選挙活動の禁止ってのは法律上明文化されていない訳だが、上の「(文書図画の頒布)第142条」並びに「(選挙運動放送の制限)第151条の5」
※第151条の5 何人も、この法律に規定する場合を除く外、放送設備(広告放送設備、共同聴取用放送設備その他の有線電気通信設備を含む。)を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。
に抵触するという判断なんだろう。
つまりは、選挙運動資金に左右されないクリーンwwな選挙。

電波媒体広告NGは分る。
金持っている候補者が有利だから。
だけどネットは貧乏人のゲリラ戦な訳だから、ネット告知NGは本来の趣旨と違うだろ。ってのが素の感想。

じゃ、なんでNGなのか。
地盤もカバンもないゲリラ候補にはそのまま死んでもらう方が宜しい既存政党の知恵なんだろw
ネットリテラシー範疇外にある高齢者と特殊団体だけに投票して欲しいのが本音か。

他にも政見放送なんぞリアルタイムで見る暇がない貧乏リーマンにも広くあまねく見て貰える様、総務省の通信白書が報じた普及率が80%を超え一般家庭ではほぼ完全に情報受像端末として定着した自宅のPCとか携帯電話を使うべく、選管が24時間ストリーミングすればいいのが常識なのに、やらないから動画配信サイトで見れるのにw、とか色々書きたい事もありますが、恐らく皆さんと思っている事は同じなので省略。

偉い人が同じ事言っています。
立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」 第44回 今どきナンセンスな公職選挙法 ネットは解禁でなく義務化せよ - ビジネススタイル - nikkei BPnet

そうそう。
選挙期間中に於けるブロゴスフィアでの過度な選挙エントリー自粛ムードなども理解不能。
ネットの特性が受動的なインバウンドである以上、泡沫有権者の直球感想を書きなぐるのは憲法で保障されたおいらの勝手という訳で。
別にクリックして見て貰う必要はありませんが、過去、こんな記事を書いています。
2005年総選挙 小選挙区:福岡2区 選挙公報へコメント 2005年09月07日
衆議院議員選挙 福岡エリア小選挙区予想 2005年09月09日

某さんの日記が問題となったのは、↓こういう事だから。
(虚偽事項の公表罪)第235条2 
当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事項をゆがめて公にした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。

「あいつの顔は胡散臭い!」は主観ですからOKでしょうけど、「○○の家系が○○の血で穢されちゃかなわん」は表現の自由の濫用に当り選挙妨害でNGだという事なのでしょう。
当たり前。


ネットによる選挙活動でリアルで逮捕された人はいない筈だから、外山さんがチャレンジすれば面白いのに。
って思った人は

(ネット逮捕の件は調べずに書いていますので、違ったらご指摘下さい)


Posted by kingcurtis 固定リンクComments(5)動画 | 政治
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コメント
第151条の5について、仮にインターネットが「その他の有線電気通信設備」に含まれると解釈しても、コンテンツのアップロード又はダウンロードが「放送」と言えるのかは疑問です。著作権法においてアップロードは「放送」でなく「送信可能化」ですから、「インターネットによる放送」というものは文言上あり得ません。法律によって文言の解釈は変わるので、公職選挙法に直ちに当てはめることはできませんが。あと第150条の2に対応する罰則は無いようです。但しNHKが政見放送から差別用語が使用された部分を削除した事例について判例がありました。
ttp://www18.ocn.ne.jp/~o41kikoe/saiban.html
外山氏のは最後の中指まで全部放送してくれたようですが(笑)。
Posted by mhlr(大阪市問題まとめサイト) at 2007年04月02日 20:39
>mhlrさん
どもども!いつもお世話になります。
補足ありがとうございます。

あと公職選挙法関連で曖昧模糊なのが(本文と関係ないので飛ばしていますが)、前々回の仙台@総選挙に於ける民主党鎌田女史代議士他が逮捕されたNTTソルコ事件。
それなら徹底して電話投票依頼を完全NGとすればいいのに創価学会の生命線なのか、そうはいかんざきw
Posted by kingcurtis at 2007年04月02日 21:11
そもそも公職選挙法第142条に規定する文書図画の頒布以外の伝達方法も違法とするならば、著作権法第40条第1項を規定した意義が無くなります。(加戸守行著「著作権法逐条講義五訂新版」p.284参照)
明文化されていない類推解釈と明文化されている条文。私は勿論後者を信じます。

>NTTソルコ事件
そんな事件があったのかと調べて驚きました。公選法は政権に恣意的に解釈され過ぎています。馴れ合いサイトの皆様とスカイプで電話、ねとらじにうpして法華に対抗しましょうか?(笑)
まあそこまでしなくとも、串以外でIP等の識別情報をバラさない方法もあります。ちなみに私のサイトが更新しないのは、リスクを冒すほど大阪市民の民度に期待できないからです(笑)。
Posted by mhlr(大阪市問題まとめサイト) at 2007年04月03日 22:19
著作権法第40条第1項抵触の学説は初見です。
選挙活動と政治活動の違いじゃないんでしょうか?
正直よく分かりません。ギブアップwww

仙台の事件ご存じなかったんですね。
一応、理屈としてはNTT労組に対する利益誘導だったのかな?

それ以降、ミンス選対本部は全国に通達出して、市議選レベルまで羹に懲りて膾を吹きまくっていますww

サイトの更新止めてるんですか?
確かに貴サイトはなめ猫♪さんと同じく政治特化ブログと看做されるかもしれませんので、相手に隙を見せないのが賢明かもしれませんね。

うちは総花ですので能天気に運営していますw
Posted by kingcurtis at 2007年04月03日 23:12
ご参考に。
http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/copyright/commentary/Act40.html
> 公職選挙法150条1項による政見放送も本条に含めてよい。

サイトは選挙が終わり次第更新します。
Posted by mhlr(大阪市問題まとめサイト) at 2007年04月04日 00:30
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