【映画評】父親たちの星条旗

　
子供と一緒に見に行きましたよ。父親たちの星条旗。

原作織り込み済でしたから、シナリオ上は特に目新しいものはありませんでしたが、クリントイーストウッドらしい淡々と抑制が効いた、且つ後から悶々とする良作でした。

お約束のドンパチシーンについては、スピルバーグが傍らで手伝っていましたのでライアン二等兵的な描写もありますが、やはり淡々としています。（淡々とオグリッシュに兵士が殺される）
戦争映画ではなく、戦争をテーマとしたヒューマンドラマですね。
戦争映画を期待していくと肩透かし食らうかも。

アメリカの群集のシーン（ＷＡＲＢＯＮＤ）については、邪気に満ちた無邪気さを感じますし、３人の兵士は１００万弗娘、軍の興行士官は１００万弗娘の家族を彷彿しました。
戦地よりある意味精神的肉体的悲惨な内地もあれば、敗者以上に悲惨な勝者もいると。
じゃ、戦争で言う勝者とか敗者っていう定義（もっと突っ込むと侵略戦争や自衛戦争の違い）は何なのかと。

ライアン二等兵比較論に戻りますが、彼の作品は登場人物のディテールを描く事が作品の妙でしたが、実話をベースとした本作品については登場人物はある意味、顔も名前も性格も必要ない、単なる「駒」観念に過ぎないかもしれない。
それが事実の重みだと思いますし、エンドロールで流れる演出なき従軍報道写真群と、実在の主要登場人物スナップの重苦しさに暫し沈黙状態を強いられます。
（原作にも同じ写真があります）

アメリカ人が見た本作の感想を聞きたいですね。

エンドロール終了後に｢硫黄島からの手紙｣のトレーラーが流れていました。
こちらは人物描写（＝観客自身の投影）が作品の核になる筈です。
日本人にとっては、次作は涙腺決壊の坩堝となるのかもしれません。

いずれにせよ次の時代を担う子供達へ、戦争の悲惨さや怖さ、祖国防衛の為に戦う勇気と崇高な魂、ショービズ気分の大衆、残された家族の慟哭を模擬体験して貰うには、この２作は直截的に効果があると思います。
無論、戦争を知らないおれらも一緒。

戦勝国であれ敗戦国であれ、戦争で命を落とした人々は敬意を受けるに余りある存在なのです。
by クリント・イーストウッド

日本語公式サイト　父親たちの星条旗 ｜ 硫黄島からの手紙


靖国は悪の権化だ。日帝は鬼畜だ。日本兵は基地外の人殺しマニア。なんていう単純二極論的思考停止状態が一番の害悪だと思いますね。
（こう書くと、またぞろ好戦主義者って地球市民からレッテル貼られるんだよなｗｗ）

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