2020年06月17日

【映画評】ビッグ・リトル・ファーム

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ズブの素人が軍資金集め広大な荒れ地を買い大規模農場/農園を作る経過を描いたドキュメンタリー映画。

映画『ビッグ・リトル・ファーム』オフィシャルサイト

イントロダクション
息を呑むほど美しい“究極の農場”が出来るまで――大自然と共に壮大な農場を作る8年間の夫婦の奮闘を追った奇跡のドキュメンタリー。

殺処分寸前で保護した愛犬のトッド。その鳴き声が原因で大都会ロサンゼルスのアパートを追い出されたジョンとモリー。料理家の妻は、本当に体にいい食べ物を育てるため、夫婦で郊外へと移り住むことを決心する。しかし、そこに広がっていたのは200エーカー(東京ドーム約17個分)もの荒れ果てた農地だった―。
時に、大自然の厳しさに翻弄されながらも、そのメッセージに耳を傾け、命のサイクルを学び、愛しい動物や植物たちと未来への希望に満ちた究極に美しい農場を創りあげていく―。自然を愛する夫婦が夢を追う8年間の奮闘を描いた感動の軌跡。

監督インタビュー
Q:農業を始めることと、さらにその経験を長編ドキュメンタリー映画にすることはまったく別物です。本作を製作したいと思ったきっかけは何ですか?
農場を始めて数年間は、土地を耕し、土壌を作りなおして自然と共存するという私たちの計画がうまくいくのか不安でした。だから他の誰かが鵜呑みにして、このような生態系との連携が可能だと誤解してしまってはいけないと考えていました。しかし5年が経った頃に、ある変化が起こりました。野生生物や様々な昆虫が帰ってきて、悩みの種だった害虫の侵入を減らすのを助けてくれたのです。私がインスピレーションを得たのは、通常雑草とされる植物など、私たちが問題視していたものが、実は土に還ることで果樹の重要な栄養素になっていたことに気づき始めた時でした。農場は私たちが始めたことを受けて、複雑な免疫システムを自ら再構築していたのです。常に記録は残していましたが、本気で映画化しようと考えたのはその年以降でした。映画を製作しようと決めた日のことは今でも覚えています。私は果樹園を歩いていて、ほんの数日前までアブラムシに覆われていた木の横を通りかかりました。アブラムシは植物の汁を吸い、それを枯らしてしまいます。しかしその木にアブラムシはもういませんでした。代わりに、何百匹ものテントウムシ、つまりアブラムシの天敵が集まっていました。私たちが農場をテントウムシにとって暮らしやすい環境に整えていたので、戻ってきてくれたのです。それから次々に同様のことが起こったので、この物語を映画化できると思いました。

Q:あらかじめ展開が決まっているのではなく、撮影と共にリアルタイムで内容が作られていった作品だと思います。その中であなたが経験した最も驚いたことや予期せぬ出来事は何でしたか?
非常に多くの野生生物が帰ってきて、農場のニーズとうまくかみ合って溶け込んでいく様子を観察できたことです。とても刺激的な経験でした。

Q:作品を観て分かるのは、農家になるなら、すべてを注意深く観察し、その密接な結び付きに目を向けて理解することが必要不可欠だということです。この教訓は、あなたが学んだ最も大きな教訓の1つかと思いますが、農業以外の暮らし全般でも役立ったでしょうか?
アルベルト・アインシュタインは、妻を亡くした友人への手紙で「自然を深く観察しなさい。そうすれば、すべてのものをもっと理解できるでしょう」と書きました。人間という存在の背後に広がる謎、私たちが自然の複雑さから感じる無限の可能性は、私たちの生き方だけではなく、あらゆる障害の乗り越え方を教えてくれる例えになっています。つまり、自然の階層システムを理解すれば、それで十分なのです。そこまでは、正しいか間違っているかではなく、因果関係という強力な法則ですべてが決まります。その結果が私たちに絶えず跳ね返ってきているのではないでしょうか。だからこそ私たちはどのように適応し、どの程度の管理が可能なのかを理解しなければいけない状況に身を置くようにしています。

Q:現在、世界中の農家たちが気候変動に対処しています。気候変動による変化は今や目に見える形で現実となっていますが、ご自身では日常的にどのように対処していますか?
私たちは、パッチワークの1パーツとして、例を示せればと思っています。私たちの農地再生の手法がいいインパクトを与えて、他の農家たちが同じようにすれば、畑はキルトのように広がっていくでしょう。当然ながら私たちを含めて1つの農場だけでは、気候危機を乗り越えることはできません。それぞれが生態系のために役割を果たすことが、問題解決のための道だと思います。もちろん、すべてが農業の責任ではないはずなので、私たちが解決できるのはあくまで一部です。ただ、農業は大きな影響を与えています。特に土壌の劣化や、作物の出来を妨げると恐れて“雑草”やその他の草を殺すリン酸系薬剤を使用することは大きな問題です。これらの植物を通して土壌は大気から炭素を取り込み、養分を生み出して微生物を育み、生と死の循環を行っているからです。

Q:これから観る人に望むことは何ですか?
若い世代の人にもこの映画を観てほしいです。楽しい場面ばかりではありませんが、若者へのメッセージも込めて作りました。観客の皆さんに、自然との共生が無限の可能性を与えてくれるということが伝わればと願っています。こうした自然の能力は、数十億年に及ぶ進化の過程で完璧に磨き上げられてきました。そして、どんな時も私たちのために機能しています。それに気づけなかったのは、私たちが他のことに気を取られすぎていたからかもしれません。また、本作が農業の1つのやり方を推奨したり、これが唯一の道だと押し付けたりするものだと受け取られるのは不本意です。むしろ、自然は私たちに多くの答えを教えてくれるということを信じてもらえるきっかけになればと心から願っています。その答えは一度には出てこないでしょう。土壌の劣化や砂漠化に関しては、長い時間をかけてここまで進行したことなので、抜け出すのもきっと時間がかかるはずです。すべての問題を解決するには、世代を超えて取り組む必要があります。しかし、子供たちが地球の持つ自然の免疫システムを脅さない道を進んでいけるように、今の世代がその基盤として正常に機能する土壌を残さなければなりません。困るのは地球ではないのです。ただ、人間にとって地球が住みやすい場所ではなくなるに過ぎません。もし地球が人間を問題だと見なせばなおさらです。だからこそ、私たちは地球の免疫システムでどちら側の役割を担うのかということを決める必要があります。この質問に対する私たちの答えが、きっと重要になるでしょう。




環境が整ったらミツバチが勝手に集まるんだ!この手の作品にありがちな政治臭さや宗教臭さ、説教臭さが一切ないのが好感。色々編集しているだろうとは思われますが、それでも下手なドラマより徒手空拳なトライアンドエラーの繰り返しと結果オーライな絶妙自然バランスが面白い。カタツムリを食べる鴨とか。アブラムシを食べるてんとう虫とか。とはいえ動植物の疫病とか発生する可能性もあるわけだし、農学部で全般学ばないとこれ絶対ムリだろとは思った。そうそう。描写は確かなかったと思うけど雌豚二度目の懐妊は誰と種付けしたんだろう?

という訳で辛気臭い環境ドキュメンタリーの中では久々に身を乗り出すほど面白い作品でした。

満足度(5点満点)
☆☆☆



Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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