2020年06月16日

【映画評】ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

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楽しみにしていたのにコロナ禍で日本公開順延〜ようやく鑑賞出来ました。大満足。

映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』_

イントロダクション
本作で描かれるのは、世界中で愛され続ける大ベストセラー作家、ルイーザ・メイ・オルコットが自らの生き方を重ねて書き上げた、ジョー・マーチの物語。主人公ジョー役を演じるのは25歳という若さで既にアカデミー賞の常連と呼ばれる天才女優シアーシャ・ローナン。2016年の『ブルックリン』、2018年の『レディ・バード』に続き、本作で2年ぶり3回目のアカデミー賞<主演女優賞>ノミネートを果たした。ジョーのソウルメイトであり彼女に愛を告白するローリー役には『君の名前で僕を呼んで』で世界中から注目と賞賛を集め、今もっとも注目される実力派俳優ティモシー・シャラメ。さらに長女のメグ役は『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソン、三女のベス役はHBOの『シャープ・オブジェクツ』のエリザ・スカンレン、そして常に自問する頑固で有名な、家族の末っ子エイミー役には本作で初めてのアカデミー賞<助演女優賞>ノミネーションともなる期待の新星フローレンス・ピューが演じる。さらにベテランのローラ・ダーンがマーチ家の愛されてやまない愛情豊かな尊き母親を好演し、名女優のメリル・ストリープが四姉妹の裕福なマーチ叔母役で華を添える。「若草物語」がこれまでの自分を形作る上で大切な作品であったという若き才能グレタ・ガーウィグの手により、時代を超えて愛されるジョーの物語が、まるで現代に生きる女性たちを新しい世界へといざなうように、あざやかに描き上げられる。

ストーリー
ジョーはマーチ家の個性豊かな四姉妹の次女。情熱家で、自分を曲げられないため周りとぶつかりながら、小説家を目指して執筆に励む日々。控えめで美しい姉メグを慕い、姉には女優の才能があると信じるが、メグが望むのは幸せな結婚だ。また心優しい妹ベスを我が子のように溺愛するも、彼女が立ち向かうのは、病という大きな壁。そしてジョーとケンカの絶えない妹エイミーは、彼女の信じる形で、家族の幸せを追い求めていた。

共に夢を追い、輝かしい少女時代を過ごした4人。そして大人になるにつれ向き合う現実は、時に厳しく、それぞれの物語を生み出していく。小説家になることが全てだったジョーが、幼馴染のローリーのプロポーズを断ることで、孤独の意味を知ったように─。自分らしく生きることを願う4人の選択と決意が描く、4つの物語。

プロダクションノート
グレタ・ガーウィグの新たなアプローチ

監督と脚色を務めたグレタ・ガーウィグは、これまで何度も形を変えて語られてきたルイーザ・メイ・オルコットの「若草物語」を、個人的かつ情熱的で生き生きとしたアイディアと共に新たにスクリーンに蘇らせることを熱望していた。すべての読者が物語に対して自分なりの理解や意味合いを持てるように、オルコットが作り上げた壮大な叙事詩に対して彼女なりのアプローチを行った。もともと小説は上下巻に分かれて出版されており、上巻はすべてが上手くいきそうな四姉妹の少女時代、そして下巻では大人の厳しい現実が描かれている。ガーウィグは小説からは距離を置き、ジョーの決断の物語が過去と現在を行き来する新たな構成を取り入れた。大胆で自立した作家のジョー。世話好きで女優になりたいメグ。繊細で寛大な音楽家のベス。賢く野心的な画家のエイミー。大人になった彼女たちの抱える問題はそれぞれ違うけれど、いつまでも変わることのない姉妹関係が新たな構成で描かれる。四つの異なる夢を持った四姉妹の目に、それはどのように映るのか? その問いをオルコットの時代の視点を大胆に変えて、ガーウィグは視覚的にも魅力的な作品を作り上げた。

金銭と芸術、愛と個人の満足、理想と現実、家族への思いやりと自分の気持ち。こうした葛藤は、現代的なものに思えるが、これらはオルコットが掲げたものだ。ガーウィグは『レディ・バード』を製作する前から、プロデューサーのエイミー・パスカルに「若草物語」の脚色は自分がするべきだと主張していた。「私は全身全霊をかけてぶつかった」と、ガーウィグは言う。「私はこの原作が本当に伝えたいことは何か、はっきりとわかっていた。アーティストとしての女性、そして女性と経済力。オルコットの文章にはその全てが詰まっている。でも、この物語が持つその側面はまだ映画として探求されたことがなかった。私にとって、この作品は今まで作ったどの映画よりも自伝的なものだと感じている」
ガーウィグは、子供の頃から「若草物語」を何度も読み、自分の理想とする女性になれないと葛藤するジョーに強烈な一体感を感じていた。物語の登場人物というよりも、彼女にとってジョーはカリスマだった。「『若草物語』は、物心ついた時から常に自分を形成する一部だった。ずっとジョーが大好きだった。彼女になりたかったし、自分が彼女だったらいいと思っていた」

ガーウィグは、オルコットの精神に忠実に従いつつも直線的に時間を進めるのではなく、マーチ家の忘れがたい出来事や思い出を映画的に再構成した。これにより観客は、過去を振り返る大人たちや、ジョーの作品の源となった四姉妹を新たな視点で受け入れることができる。 「読むたびに毎回、何か違うものを感じられた。」と、ガーウィグは回想する。「子供の頃はあたたかい居心地の良さを感じたけど、大人になるにつれて新しい発見があった。脚本を書いている時、姉妹達の大人になってからの人生が胸に刺さるのは、成長した自分たちが青春時代を誇りに思うにはどうすればいいのか模索しているからだとわかって、心から安心できた」

ガーウィグは、オルコットの実際の人生を反映させ、自分の脚色をよりしっかりとしたモダンな声にするために、オルコットの手紙や書物を読み、詳しいリサーチも行った。ガーウィグは、オルコットの経済的な成功にも敬意を払いたかった。戦争や不平等なことばかりだったオルコットの時代に、新しい考え方や自由な思想、変化のためのエネルギーが生み出されたことも強調したかった。そのような環境の中、オルコットは社会的な制約を破り、まるでその時代のJ.K.ローリングのように著作権を管理し、結婚でも相続でもない形で世界に認められるという自分だけの道を築いた。その道は現代にも続いているとガーウィグは考えている。「例えば、テイラー・スウィフトが自分で楽曲を所有できるようにと、自分の過去のカタログをもう一度レコーディングしたりね」と。

ガーウィグは、オルコットは明らかにお金と自由の不足をマーチ姉妹の人生の避けられない要素として描いており、同時にオルコットは、四姉妹と献身的な母親が協力して掛け替えのない家庭を作り上げていることを称賛していると、分析している。「面白い分析を読んだことがあるの。幼少時代のことが書かれた本の中で、『若草物語」は逃走について書かれていない数少ない本の一冊。勇敢であることは書かれているけれど、それは家庭内でのヒーローの旅路なの」と、ガーウィグは話す。

こうしたガーウィグによる原作へのアプローチが、素晴らしい人々を引き寄せ、その新たな若草物語をスクリーンへ導いた。プロデューサーのエイミー・パスカル、デニーズ・ディ・ノヴィ、そしてロビン・スゥイコード。シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、エリザ・スカンレン、フローレンス・ピュー、ローラ・ダーンとメリル・ストリープといった俳優陣は、それぞれの原作との体験以上に、このガーウィグに惹きつけられ『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が実現した。








今では飛ぶ鳥を落とす勢いの脚本/監督のグレタ・ガーウィグですが、個人的には「フランシス・ハ」マグカップ持っているほどの大ファンでして期待通りの内容でした。今年鑑賞した映画ではトップ級。
シアーシャ・ローナンは言わずもがな、ローラ・ダーンとフローレンス・ピューが非常に良い。特にフローレンス嬢。本作と「【映画評】ミッドサマー」連続で撮影に臨んだらしいけど、まんま、まんまやん。なにかのジョークか?


ということで人権忖度ブームにかき消されアカデミー賞衣装デザイン賞しか受賞出来なかった本作。色々オスカーの闇が深い。

満足度(5点満点)
☆☆☆☆





Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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