2020年06月15日

【映画評】ルース・エドガー

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数日前にオープンした「キノシネマ天神(ミニシアター3スクリーン)」で鑑賞しました。地下鉄赤坂駅から歩いていきましたが中洲川端駅からユナイテッド・シネマ・キャナルまでより若干近い感じ(帰りは自宅まで歩いて帰りました)。場所は警固のユニック本社跡地。あの辺歩くの久し振りですがヴィレヴァン無くなっていたんだ。横のパチンコ屋も無くなっている。警固の天ぷらだるまはそのままで安心。

商業施設(カイタックスクエア)自体は間口が狭く青山付近の裏路地にあるような感じの作り。敷地内にチャリも原付きも大型バイクも停められます。キノシネマ館内はオシャレモード。配給会社直営だけに恐らく映写設備も凄くいいんだろうね。座席はリクライニング仕様です。傘立てがないのが難点。

思い起こせば福岡のミニシアターは東京テアトル系列のシネリーブル博多駅、親不孝にあったテアトル天神、そういや百道にもありましたねTNCパヴェリア。みんな潰れた。構造的産業斜陽化を背景に無くなる一方だったミニシアターですが新規出店というのも珍しい。しかも配給会社直営なので潰れる心配も少ないし、東名阪での上映開始から数ヶ月〜半年遅れが常態化しているミニシアター系作品も同時公開というのが嬉しい。長い付き合いになりそうです。よろしくね。


ロビーはこんな感じ。
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便所はポパイとオリーブ。

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映画『ルース・エドガー』公式サイト

イントロダクション
 バージニア州アーリントンの高校生ルース・エドガーは文武両道に秀で、スピーチやユーモアのセンスにも長けた17歳の少年だ。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服し、さまざまなルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われている彼は、自由の国アメリカで希望を象徴する存在へと成長した。そんなルースがある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立し、彼の順風満帆の日常が大きく揺らぎ出す。ルースが危険な過激思想に染まっていて、同級生への性的暴行事件にも関わったのではないかというウィルソンの衝撃的な“告発”は、ルースの養父母である白人夫婦エイミーとピーターの胸にも疑念を生じさせていく。はたしてルースは何者なのか。本当に“完璧な優等生”なのか、それとも世間を欺く“恐ろしい怪物”なのだろうか……。

2019年のサンダンス映画祭でプレミア上映されるや批評家の絶賛を博し、全米の賞レースで20を超える賞のノミネートを達成。その年の最も優れた独立系作品を選定するインディペンデント・スピリット賞でも監督賞、主演男優賞、助演女優賞の主要3部門に名を連ねた『ルース・エドガー』は、深刻な矛盾をはらんだアメリカ社会の現状をリアルにえぐり出し、謎のベールに覆われた人間という存在の本質に鋭く切り込んだヒューマン・ドラマである。模範的な若者として学校や地域の誰からも愛され、称賛される少年の“知られざる真実”をめぐって展開するサスペンスフルなストーリーは、観る者の好奇心をかき立てるにとどまらず、私たちの内なる潜在意識を揺さぶり、先入観を根底から覆していく。

 『ルース・エドガー』の最もユニークな特徴は、全編出ずっぱりの主人公ルースが真意不明のミステリアスな存在であることだ。成績優秀なスポーツマンで、誰とでも分け隔てなく接するオープンな人柄の持ち主。アフリカ系の移民であり、白人の養父母の愛に育まれてトラウマを克服したルースは、若きバラク・オバマの再来とも称され、まさに現代のアメリカン・ドリームそのものだ。
しかしJ・C・リーの戯曲「Luce」の映画化である本作は、観る者に強烈な問題提起を突きつけてくる。ルースの“完璧な優等生”というイメージは、彼に期待する両親や校長らが一方的に押しつけたものではないのか。それとは真逆の“恐ろしい怪物”という見方も、極端に偏った思い込みなのではないか。人種、容姿、性別、階級、学歴、思想、信仰……いったい人間の“価値”とは、何によって決定されるのか。アメリカという国の歴史や政治をも取り込み、その理想と現実をあぶり出した本作の懐の深さに、誰もが感嘆せずにいられないだろう。

 ルース役に抜擢されたのは、終末スリラー『イット・カムズ・アット・ナイト』における迫真の演技で注目されたケルヴィン・ハリソン・Jr.。同作品のトレイ・エドワード・シュルツ監督と再び組んだA24配給の青春映画『WAVES/ウェイブス』でも主演を務め、今まさしくブレイク中の新星が、まだアイデンティティが確立されていない17歳の少年の葛藤を生々しく体現する。

ケルヴィン・ハリソンJr.を囲む主要キャストには、輝かしい受賞歴を誇る実力派が配された。プライベートに問題を抱えながら、ルースと激しく敵対する教師ウィルソンを演じるのは、『ドリーム』『シェイプ・オブ・ウォーター』のオクタヴィア・スペンサー。また、ナオミ・ワッツとティム・ロスが愛する息子への思いがけない疑念に動揺するリベラルな夫婦に扮し、観客の視点を担う役どころに説得力を与えている。

オバマ大統領の時代に上演されたJ・C・リーの戯曲に感銘を受け、監督・製作・共同脚本を務めたのは『クローバーフィールド・パラドックス』のジュリアス・オナーである。自らもナイジェリア出身のアフリカ系移民であり、物語の舞台となったバージニア州アーリントンで育った新鋭監督が、洗練されたシャープな語り口、繊細にして多面的な心理描写を披露。その絶え間なくスリリングで心揺さぶる映像世界は、観る者を白熱のクライマックス、深い余韻を残すエンディングへと誘い、私たちそれぞれの想像力によって変わる“真実”を浮かび上がらせるのだ。

ストーリー
 バージニア州アーリントンの高校に通うアフリカ系アメリカ人のルース・エドガー(ケルヴィン・ハリソン・Jr.)は、文武両道の模範的な優等生だ。陸上部で活躍し、討論部の代表として全米大会に出場したこともあるルースは、さまざまなルーツの生徒が通う学校で誰からも慕われている。戦火の国エリトリアで生まれ、7歳の時にアメリカへ渡ってきた彼は、養父母となったエイミー(ナオミ・ワッツ)、ピーター(ティム・ロス)のエドガー夫妻から現在の名前を授かり、幼少期に戦場へ駆り出された悲惨なトラウマを克服した。今や若きバラク・オバマを彷彿とさせる聡明な若者に成長し、将来を嘱望されるルースは、人種のるつぼであるコミュニティの希望の星となっていた。

 そんなある日、エイミーはベテランの歴史教師ハリエット・ウィルソン(オクタヴィア・スペンサー)から学校へ呼び出される。息子のルースが歴史上の人物をテーマにした課題のレポートで、アルジェリア独立運動の革命家フランツ・ファノンを取り上げ、彼の過激な思想について記したというのだ。そして、その内容を問題視したウィルソンはルースのロッカーを捜索し、危険な違法の花火を発見したという。息子のプライバシーを無視して調査を行ったウィルソンに反発するエイミーだったが、不安に駆られて夫のピーターに相談することに。「たかが花火だ。心配するな。息子がテロリストだとでも?」と事もなげに答えるピーター。

 帰宅したルースと夕食を囲んでその話題を向けると、ルースもウィルソンへの微妙なわだかまりを抱いていることが判明する。ウィルソンは教育熱心な反面、生徒たちにレッテルを貼る傾向があり、彼らを従わせて自分の政治的な主張に利用しているというのだ。「僕に与えられた役は“悲劇を乗り越えた黒人”で“アメリカの良心の象徴”なんだ。責任を感じて重荷だよ」。

 その後もルースとウィルソンの緊張関係はじわじわと高まっていった。エイミーは愛する息子を信じ、彼を守り抜きたいと思っているが、嫌な胸のざわめきを抑えられない。「なぜ違法の花火をロッカーに?」とルースを問い詰め、彼が以前交際していた同級生ステファニー(アンドレア・バング)から事情を聞き出そうと試みる。それでもルースへの疑念を払拭できないエイミーは、息子が自分のまったく知らない別の顔を隠し持っているのではないかと苦悩を深めていく。




感想ですが、オクタヴィア・スペンサー目ン玉でかい。ナオミ・ワッツのセックスシーンが拝見できて眼福。主演のケルヴィン・ハリソンはまぁまぁいい演技。全体丸めると普通以上でも以下でもない感じ。演出が全般的にちょっと抑制気味だったのが個人的趣味と合いませんでした。とはいえこの辺のさじ加減は難しいですよね。やりすぎるとヒューマンドラマ逸脱してホラーになってしまうし。中盤からの画面からほとばしる緊張感は凄くよかったですよ。

満足度(5点満点)
☆☆☆



Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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