2019年06月19日

【映画評】アナと世界の終わり

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「ショーン・オブ・ザ・デッド」×「ラ・ラ・ランド」という触れ込みに惹かれ鑑賞しましたが、キャスティングのフレッシュさを割り引いても圧倒的に盛り過ぎ。

映画『アナと世界の終わり』オフィシャルサイト

イントロダクション
『アナと世界の終わり』は、アメリカ「ファンタスティック・フェスト」で行われたワールドプレミア上映をきっかけに世界各国のファンタスティック映画祭で上映された。批評家からも評価が高く、劇場公開前から話題沸騰となる。また、スペイン「シッチェス・カタロニア国際映画祭」ミッドナイト・エクストリーム部門で最優秀作品賞を受賞するほか、イギリス「エディンバラ国際映画祭」、オランダ「アムステルダムド映画祭」、韓国「富川国際ファンタスティック映画祭」などで上映され世界中の映画ファンたちを熱狂に震わせた。

本作は2010年英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)で受賞した短編映画“Zombie Musical”をベースにしている。この短編は、ライアン・ゴズリングの出演シーンにシリアルを食べさせようとする動画(Ryan Gosling Won’t Eat His Cereal)を作った故ライアン・マクヘンリーが監督をしている。そして、彼の遺志を引き継いだジョン・マクフェール監督らによって、長編映画として完成された。海外の批評家からは、“『ショーン・オブ・ザ・デッド』と『ラ・ラ・ランド』の出会い!”と評され、「ゾンビ」×「ミュージカル」という二大ジャンルの奇跡の融合に成功した本作は、新たな映画史の1ページとなること間違いなし!

ストーリー
イギリスの田舎町リトル・ヘブン。高校生のアナは、幼い頃に母を亡くし父トニーと二人暮らし。学校では、ダサい幼馴染のジョン、暑苦しいほどラブラブなカップルのクリス&リサ、嫌がらせが止まらないオラオラ系の元カレ・ニック、SNSでソウルメイトを探し続けるステフなど、くだらない連中ばかり。このパッとしない生活から抜け出したいアナは、大学に進学せずに世界を旅することを計画していた。そのチケット代を稼ぐため、トニーに内緒でジョンと一緒にバイトに励んでいた。ジョンは、アナの願いを応援しながら密かに想いを寄せているのだった。 あるクリスマスの日、旅行の計画がバレてしまい、アナとトニーは大ゲンカをする。夢も希望もないこの町にウンザリしていたアナは、バイトの帰り道にジョンに励まされ、少しだけ元気を取り戻すのだった。 翌朝、気持ちを切り替えたアナはジョンと一緒にいつも通り学校へ向かう。その途中、スノーマンの着ぐるみを着た血だらけの男が突如現れ、ジョンに襲いかかる。その瞬間、アナは公園にあったシーソーを使って男の頭を吹き飛ばす!なんと、男の正体はゾンビだったのだ!幸運にも危機を回避できたが、ゾンビを信じようとしないアナに、ジョンはすぐにこの町から脱出しようと説得する。 しかしアナは、昨夜のケンカの事をトニーに謝りたかったのだ。父を探すことを決意したアナと、アナの願いを応援し続けるジョン。二人は、クリスマス学芸会のため学校に取り残された父とクラスメイトを救出するべく、この町のゾンビたちと戦う覚悟を決めるのだった。 果たして、アナはみんなを助け出し、この町を脱出することはできるのか―!?そして、腐ったように生きてきたこの人生にケリをつけることができるのか―!?

プロダクションノート
物語の始まり
ジョン・マクフェール監督は『アナと世界の終わり』の脚本を読むとすぐに気に入った。その奇想天外な設定だけでない。「この作品にはハートがあった。私はいいキャラクターと、ハートと、いい物語が詰まった映画が好きなんだ。脚本を読んだとき、ジョークにもハマった。私が書いていたかもしれない脚本だと思い、すぐにこの映画製作にかかわりたいと思った。」
 マクフェールは2人のプロデューサー、ネイスン・アレ=キャルーとニコラス・クラムに歓迎され、監督をすることになった。「彼らは私のことをまったく知らなかったのに私を受け入れてくれた。初日から私を立ててくれて、撮影の間は口出しせず、私の好きにさせてくれた。この映画に関わることができ、これほどのサポートを受けて本当に楽しかった。」

過酷な撮影条件を乗り越える結束力
優秀な撮影チームのもと、ポート・グラスゴー、イースト・ロージアン、ファルカークで撮影をした。ほとんどのアクションシーンは、冬の間だけ休校となる実際の学校で撮影された。マクフェールが言う。「最初の3週間はほぼ学校での撮影だった。俳優たちは撮影現場に来て、高校生に戻ったように感じたようだ。学校の廊下を生徒たちがジョークを言いながら歩いたり走ったりしていた。」建物の外は近くにクライド川がある、殺風景だが美しい田舎町だ。「それが魅力のひとつだった。さみしい街だが、ゆるやかな丘陵が美しかった。」
 撮影期間は5週間しかなく、全員が集中する必要があった。「撮影チームのすべてのチーフはすばらしかった。」マクフェールは言う。「彼らのサポートはありがたく、スタッフはみんなテキパキして、気になることは何一つなかった。問題が起きた時はみんなで悔しがり、何とか打開しようとした。大変だったけどみんな楽しんで撮影した。それは作品に表れていると思う。」

 キャストたちはスコットランドの冬に苦しんだが笑顔を絶やさなかった。「凍るような寒さだったが外での撮影でも俳優陣はすばらしかった。特にエラはいつも寒そうだったが3枚ジャケットを重ね着して、お湯のボトルを2つ手に持っていた。テイクとテイクの間にはいつも『寒すぎる!』と言っていたがカメラが回るとそんな素振りは見せず、集中してくれた。すばらしいプロ精神だった。」
 『アナと世界の終わり』に関わった誰もが、現場の結束の強さを話す。「毎日、その日の終わりに全員と握手かハグをした。本当に全員すばらしかったから。」とマクフェールは言う。「この映画に関わる人全員がポテンシャルを最大限に発揮するという目的に向かい、ひとつになったのがわかった。この機械は何百もの歯車からできており、その歯車の大きさにかかわらず、すべての歯車がきちんと動かなければ最高の働きはできない。全員が同じ方向で動かなければいけない。それがこのチームにはあった。」
 撮影期間が短かったのでキャストへの負担は大きかった。「ダンスの振り付けを覚えるのに1時間しかなかったこともあった。」ハントは言う。「戦いの振り付けは撮影の前、10分ほどで覚えなければいけなかった。常に最高のパフォーマンスができなければ、時間が許さなかったの。最高の仕事環境だったわ。」
 『アナと世界の終わり』はアクションがキーとなっている。エラにとって特別なチャレンジだった。「私はとても不器用なの。ある時、アナが怒って、機嫌が悪く、泣いてとっても感情的になる日があった。キャンディーケーンを手に持って、ゾンビをひとりひとり倒しながら歩いていくスローモーションのシーンよ。一度リハーサルをして、さあ本番っていう時にこう言われたの。『撮影が始まったら君に両側から血をかけるから前が見えなくなるかもしれないよ。』4回目にかけられたとき、私はちょうどキャンディーケーンを頭の上で振り回してて、血が私の目の中にちょうど入ってしまったの。そしたら私はゾンビではなくカメラを叩いちゃって、撮影監督はカメラを落としちゃった。私は手で顔を覆ってF**k!って言っちゃって、NGになった。」

登場人物とキャスト
 『アナと世界の終わり』の登場人物は映画の成功の大きなカギを握っていた。そこで、キャラクターを構築するのに脚本に時間をかけた。マクフェールはこう言う。「登場人物のキャラクターはとても奥が深い。私は章の進め方に注意を払った。最初の章は青春コメディー。それぞれの登場人物のキャラクターと住んでいる環境を描いた。第2の章はホラーコメディー。そこには少しだけ危険が入ってくる。登場人物が何名か命を落とす。そして中間地点。そこで映画はガラッと変わり、登場人物にこれから起こることが見えてくる。そして3番目の章では登場人物それぞれがどんなキャラクターか明らかになっているようにしたかった。私は観客を笑わせることができれば泣かせることもできると信じている。」
 この作品はいくつもの感動的なシーンがある。それはあるテーマが根底にあるからだ。「子供たちが成長して、死と向き合うというのが大きなテーマだ。」マクフェールは言う。「ゾンビ映画はすべて社会的な疑問を投げかけている。『我々は子供たちに何を残すべきか?次の世代はどこへ向かうのか?』これは子供たちが成長し、高校を卒業して人生に責任を持つようになることと、同時に、親の世代が残した社会にどう向き合うかということを問う映画だ。」
 よく考えられた複雑なキャラクターを演じるにあたり、マクフェールは俳優たちに1つの大切な能力を求めた。「彼らはみんなよく考えるタイプだった。エラの好きなところはオーディションの最中、彼女に演技を求めたら、逆に私に質問してきたところだ。『なぜなのか知りたい』と。そこが気に入った。俳優たちとはいつも、キャラクターについて、セリフについて、言いたいことを言い合った。私は彼らにできるだけ関わって欲しかった。彼らの考えを取り入れたかった。もちろん、私が反対することもあったが、いつも私たちは自由に意見を述べ合った。彼らは彼らなりの考えがあった。」

音楽が映画を作る
 『アナと世界の終わり』では音楽が映画を作っている。作曲はロディー・ハートとトミー・ライリー。「この製作に最初に携わったとき、すでに6曲ができていて、私は音楽担当の2人と一緒にそれを確認した。」とマクフェールは言う。「私は彼らに命を託してもいいくらい信頼しているから全く問題はなかった。彼らはお互い意見をぶつけ合う、とてもいいチームだ。ロディーはよく考えるタイプでトミーはちょこまか動き回るタイプ。2人はいいコンビだった。私たちはフライデー・ミュージック・クラブというのを始めた。金曜日に会って脚本について、シーンについて、歌について、そして方向性を話し合う会だ。彼らはそこでできたての歌を演奏し、それについて話し合った。みんなで力を合わせて作り上げた。」
 マクフェールはこの作品づくりのため、昔のミュージカルを見て勉強した。「この映画を撮るまで『ハイスクール・ミュージカル』を見たことがなかった。それまでの私のお気に入りミュージカルは『サウスパーク/無修正映画版』だった。そして「ウィキッド」を見に行き、ありとあらゆるミュージカルのDVDを見た。今は「ウェスト・サイド物語」が好きだ。この映画の中に少し、その影響も入っている。」
 マクフェールは『アナと世界の終わり』が新たな季節もののミュージカルとして受け入れられることを願っている。「今から5年後には、小さな映画館でこの作品を一緒に唄うのがクリスマスのお気に入りの恒例行事になってくれていたらうれしいよ。それが私の夢だ。」




クリスマスソングのミュージカルシーンはよかったけど総じて出落ち。企画倒れ。こういう展開なら「マイケル・ジャクソンのスリラー」よろしく、ミュージカルシーンで人間とゾンビが一緒にダンスすべきだよ。折角のゾンビ+ミュージカルなのに相乗効果が皆無。さっきまでの友達がゾンビになって踊ったりすれば凄くブリティッシュジョークで笑えるはずなのに実に勿体無い。

主演の姉ちゃんが可愛いのと、ストーリーの締め方はよかったよ。全体の構成力が眠い。ミュージカルシーンでそれまでのテンポがガタガタになるのは致命傷。

満足度(5点満点)
☆☆



Posted by kingcurtis 固定リンクComments(1)映画 
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コメント
映画秘宝読者が手放しで喜びそうな映画だね

俺はスルーだわ
Posted by 名無しのぱよぱよちーん at 2019年06月21日 01:27
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