2019年03月13日

【映画評】シンプル・フェイバー

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劇伴が「ひそねとまそたん」とダダ被りなフレンチ・ポップス・ミステリー

映画『シンプル・フェイバー』公式サイト

イントロダクション
 ニューヨーク郊外に住むシングルマザーのステファニーは、息子を同じ学校に通わせているファッション業界で働くエミリーと親しくなる。しかしある日、エミリーはステファニーに息子を預けたまま失踪。ステファニーは彼女の行方を追いはじめるが……。

 親しみやすい笑顔で朗らかなステファニーに扮するのは『ピッチ・パーフェクト』シリーズでおなじみのアナ・ケンドリック。パンツスーツを妖艶に着こなすミステリアスなママ友のエミリーを演じているのは、「ゴシップガール」でブレイク以降、チャレンジングな役柄を演じ続けているブレイク・ライブリー。『クレイジー・リッチ!』で一躍脚光を浴びたヘンリー・ゴールディングがエミリーの夫を演じている。

 全米で話題を呼んだミステリー小説「ささやかな頼み」(東野さやか訳/ハヤカワ文庫)を映画化したのは、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』、『SPY/スパイ』、『ゴーストバスターズ』など女性が主人公のコメディで知られるポール・フェイグ監督。フレンチ・ポップスのリズムに乗せ、ひねりと風刺が効いた喜劇的なサスペンスに挑んだフェイグ監督のもとに、このうえなく華やかなキャストが集った。

 気立てがよすぎて“普通”ではない雰囲気を醸し出すステファニー。一見してセクシーでエキセントリックなエミリー、そしてどこか正体のつかめないショーン。あやしい登場人物たちの思惑が交錯する先に描かれる、驚愕のエンディングとは!? うごめく嫉妬や羨望、孤独と承認欲求、女の友情と利害、そして秘密と過去……、ブラックでスパイシーなユーモアをまぶしたストーリーは二転三転、思わず笑ってしまうような女のしたたかさがポップに浮かび上がるサスペンスが誕生した。

ストーリー
 ニューヨーク郊外に住むステファニー(アナ・ケンドリック)は育児や料理についてのブログを運営しているシングルマザー。ある日、同じクラスに息子を通わせるエミリー(ブレイク・ライブリー)に誘われて、豪華な邸宅を訪ねることになる。事故で夫を失い、保険金を切り崩しながら子供を育てている朗らかで気立てのいいステファニーと、スランプに陥っている作家の夫、ショーン(ヘンリー・ゴールディング)と愛し合い、華やかなファッション業界で働くどこか気怠くミステリアスなエミリー。対照的なふたりだったが、お互いの秘密を打ち明けあうほど親密な仲になっていった。

 そんな中、ステファニーは息子を学校に迎えに行ってほしいとエミリーから依頼される。その後、エミリーは息子を引き取りには現れず、失踪。親友を助けたいと思ったステファニーは、残されたエミリーの息子とショーンの身の回りの世話も買って出て、自身のブログでも情報を募る。手がかりを求めてエミリーが働いていたオフィスを訪ねたりもしたものの、彼女の行方はなかなかつかめなかった。やがてミシガン州でエミリーを目撃したという情報が入るが……。

プロダクションノート
出版前に映画化が決まった稀有な原作
 原作小説はダーシー・ベルの2017年のデビュー作『ささやかな頼み』。全米では『ゴーン・ガール』と比較する評論家も多かったミステリー小説だ。映画化権は出版前に販売され、映画脚本家ジェシカ・シャーザーがすぐに脚色の作業に取り掛かった。彼女は「専業主婦(ステファニー)と野心的なキャリア女性(エミリー)という息子がいなければ決して友人になることはなかったふたりの違いと、女性がいまだにどちらか一方を選ぶことを強いられているように感じている様子が、とても興味深かった」と語る。

 視覚的な楽しみを増やすために、シャーザーはステファニーを普通のブロガーからビデオブロガーに変更した。小説では視点が切り替わるが、ステファニーがあらゆる場面で動きの中心に据えられ、観客は彼女が疑いや破局、息もつけない嵐のような心理戦を乗り越えていくのを見ることになった。脚本に惚れ込んだというポール・フェイグ監督は怖さとおかしさのコントラストをさらに強調するため、薄汚く薄暗い舞台で巻き起こる生々しいドラマではなく、あたかもコメディ映画のように、陽光が降り注ぐ郊外の町を舞台として撮影することに決めた。

アナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーという才能
 ステファニーという複雑な役に挑戦するようアナ・ケンドリックを説得したのはフェイグ監督だった。監督は「優しくて親切でストレートな人を演じる時のアナは最高なんだ。だけどアナには本当に辛辣な面もあって、そこが可笑しくもある。だから彼女がステファニーを単に騙されやすい人間として演じることはないとわかっていたよ」と語り、アナは企画を聞いてすぐにこう思ったという。「この映画は、ジャンルをまたぐ作品になるだろう、って。女には一筋縄ではいかないとても複雑でややこしい人間関係があるものよ。だからこのドキドキするようなスリラーで、その部分を深掘りできる機会が持てて嬉しかったわ」。

 そしてブレイク・ライブリーは「エミリー役は、初めて悪役を演じるチャンスだった。とても楽しくて、面白かったわ」と語る。「これは『ローラ殺人事件』、『ガス燈』、『何がジェーンに起ったか?』、『イヴの総て』といった私のお気に入りの古い映画を思い起こさせる作品なの。そして“本当の自分VS外に見せる自分”についての面白い検証にもなっていると思う。女性は内面も外面もある種の完璧さを維持するために努力するよう教育されるの。でも私たちはみんな不完全で、それは完璧であるよりずっと素敵なことだと私は思うわ」。ライブリーは「嵐のような人生を乗り越えてきたスリーピースのスーツを着たネコのよう」だというエミリーを演じ切り、フェイグ監督も賛辞を惜しまない。「彼女はいつもみんなに好かれるようなキャラクターを演じている女優で、一般的にもそのイメージがついている。この作品ではこれまでに見たことがないようなダークなブレイクが見られるよ」。

あえて鮮やかな色調で挑んだノワール
 フェイグ監督は当初からこの作品を、21世紀の「サバーバン・ノワール(郊外が舞台のノワール)」にしようと思っていたという。明るく美しい視覚デザインを用い、ステファニーとエミリーの波乱に満ちた物語とのコントラストを出そうと考えた。チームを率いるのはアカデミー賞候補の経験を持つ撮影監督のジョン・シュワルツマンで、『シービスケット』、『ザ・ロック』、『ジュラシック・ワールド』、『パール・ハーバー』など多くの秀作を手がけている。シュワルツマンは「キーポイントは、実際には何が起こっているのか、最後の最後まで誰も知らないということを前提として展開させることだった。だから“壁を暗い影が覆う”ような従来のノワールの手法は使いたくなかったんだ。

 デヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』の鮮やかで艶やかな色調に興味を惹かれ、インスピレーションとして使った。この映画のコンセプトは、物事をできるだけ陰に隠さないことなんだ」。シュワルツマンは最新のパナビジョンの中判カメラ「DXL」とパナビジョンの70ミリレンズ「Primo」を使い、エミリーが失踪して混乱するステファニーの視点に観客も入りこめるように、臨場感を出そうとした。また、ふたりの関係を示す視覚要素として、ステファニーのビデオブログも利用している。「観客もステファニーのビデオブログのフォロワーのひとりになったような、そんな体験が出来るようにしたかったんだ。そこでポールに『ステファニーがブログに載せるビデオを撮っているシーンを撮って、そのあと超高解像度の大きなモニターにステファニーが撮ったビデオを映し出して、もう一度撮ってみよう』と提案した。そうすればコンピューターのモニターに映っているような風合いが出せるからね」。

 また、プロダクションデザイン担当のジェファーソン・セイジは、アイスグレーと白を基調としたエミリーの邸宅と、明るい色調で郊外のこぢんまりとしたステファニーの家について、「このふたつの家は、それぞれのキャラクターとバックグラウンドを語る視覚要素のひとつ」だと語っている。

キャラクターを補完する衣装
 衣裳を担当したのはNASAが舞台の『ドリーム』などで知られるレネー・アーリック・カルファスだ。外見からはわからないが、主人公のふたりの内面は共通点が多いとカルファスは感じた。「ふたりともとても頭がいいけれど、まるで鎧のようなものの陰に隠れている。だからその点を考慮した衣装にした。ステファニーというキャラクターはDIYが大好きな活発な郊外のママ。だからファッションスタイルもそういう感じにしたの。でも自分が陰謀に巻き込まれていると気づくにつれ、暗い色調の服装になっていく。一方のエミリーは正反対で、メンズっぽいスーツをトレードマークとしてポール・フェイグ監督のようなファッションにしたわ。パワフルで戦略家みたいな雰囲気を出したかったから。この物語は人は見た目ではわからないということを描いているから、どちらもどこか謎めいた雰囲気を出したかったの」。




ブラザーファッカーvs※※(ネタバレ自粛)等「対比」がテーマの作品でして、互いの愛車=日独の水平対向エンジンも一連のメタファなのかな。相変わらずブレイク・ライブリーはエロいし、アナ・ケンドリックの早口は凄い。起承転結それぞれのパートで作風並びに二人のトーンが全然違うのが面白いね。最後はギャグやん。ゾンビランドサガかと思った。よく例えられる「【映画評】ゴーン・ガール」ですが、面白さのベクトルが違うし共に終盤ギャグ映画ということで、本日の勝敗結果、かぐやの勝利。

満足度(5点満点)
☆☆☆


Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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