2018年10月19日

【映画評】アンダー・ザ・シルバーレイク

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【映画評】イット・フォローズ」デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督、話題の最新作。政治評論家の町山智浩先生がしたり顔でダークサイド版「ラ・ラ・ランド」云々と評されている模様ですが、個人的にこれは陽気な「マルホランド・ドライブ」で腑に落ちる。

映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』公式サイト

イントロダクション
全世界に未体験の恐怖を突き付け、大ヒットを記録した『イット・フォローズ』のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督が放つネオノワール・サスペンス!
映画の常識を破壊してきたクエンティン・タランティーノに、「こんなホラーは観たことがない」と言わしめた『イット・フォローズ』に、日本でも中毒者が続出したデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督。今度は、セレブやアーティストたちが暮らすL.A.の<シルバーレイク>を舞台に、消えた美女を探すうちに、街の裏側に潜む陰謀を解明することになるオタク青年の暴走と迷走を描く。
主人公のサムには、『ハクソー・リッジ』でアカデミー賞Rにノミネートされた、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのアンドリュー・ガーフィールド。彼が行方を追うサラには、『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』のライリー・キーオ。
デヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』を頂点とする、妖しいL.A.奇譚の系譜を引き継ぎながら、幻想的な映像と天才的に斬新なアイディアで、“私たちは誰かに操られているのではないか”という現代人の恐れと好奇心に迫る、ネオノワール・サスペンスが誕生した。

ストーリー
恋におちた美女が突然の失踪。彼女の捜索を始めたオタク青年サムは、夢と光が溢れる街L.A.<シルバーレイク>の闇に近づいていくのだが――
“大物”になる夢を抱いて、L.A.の<シルバーレイク>へ出てきたはずが、気がつけば職もなく、家賃まで滞納しているサム。ある日、向かいに越してきた美女サラにひと目惚れし、何とかデートの約束を取り付けるが、彼女は忽然と消えてしまう。もぬけの殻になった部屋を訪ねたサムは、壁に書かれた奇妙な記号を見つけ、陰謀の匂いをかぎ取る。折しも、大富豪や映画プロデューサーらの失踪や謎の死が続き、真夜中になると犬殺しが出没し、街を操る謎の裏組織の存在が噂されていた。暗号にサブリミナルメッセージ、都市伝説や陰謀論をこよなく愛するサムは、無敵のオタク知識を総動員して、シルバーレイクの下にうごめく闇へと迫るのだが――。

プロダクションノート
監督のある豪邸への疑問から生まれた物語
本作の企画は、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督と、彼の妻の頭から離れなかったある疑問によって始まった。彼らが永住地として選んだ南カリフォルニアの地形をじっと眺めながら、「あのロサンゼルスの丘に建っている屋敷の中では、一体何が起きているのだろうか?」という疑問だ。ハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーやロス・マクドナルドから、映画界の巨匠であるビリー・ワイルダーやロマン・ポランスキー、デヴィッド・リンチまで、様々な人物がその問いに対する答えを提示してきたが、そのほとんどが謎めいた億万長者や年老いた銀幕女優、売込み中の若手女優、うねるヤシの木や豪邸を守る不吉なゲートの裏側で絡み合うモヤモヤとした陰謀などだった。「これは、私独自のロサンゼルス物語だ。この物語を最も的確に表現するには、探偵ものがベストだと判断した」とミッチェルは語る。隣に住む美女が失踪したことから、“探偵”となる主人公のサムは、セカンド・ストリート・トンネルから星の見えるグリフィス天文台、さらにハリウッド・フォエバー墓地まで、ロサンゼルスのアイコンである数々のロケーションに潜む謎に迫る。『三つ数えろ』のフィリップ・マーロウ、『チャイナタウン』のジェイク・ギテス、『マルホランド・ドライブ』のベティ・エルムスのように、サムは南カリフォルニアの光と影を旅する探偵になりきり、巧妙に作り上げられたハリウッドの正体を暴き、深く根付いた堕落を、都市の核の部分から掘り起こそうとする。

オスカープロデューサーが心を奪われた脚本
ミッチェルは書き上げた脚本を、『ムーンライト』のプロデューサーで、フロリダ州立大学の同級生のアデル・ロマンスキーに送った。「度肝を抜かれた。今まで読んだ台本の中で、最もワイルドかつクレイジーで面白かった。同時に、我々が住む世の中を鋭く描いていた」とロマンスキーは絶賛する。さらに、『イット・フォローズ』のプロデューサーのクリス・ベンダーもこの脚本を気に入り、プロジェクトはスタートした。ベンダーは、「デヴィッドはまるで掃除機のような存在で、ポップ・カルチャーで起きていることすべてを吸い取ってしまう。彼の脚本には、80〜90年代のポップ・カルチャーが反映されていることが多いが、今回はさらにその愛情と理解が深く反映されている。デヴィッドの脚本は、何度読み返しても足りない。深く潜るたびに、新しい魅力が見つかって、そこからさらに大きな可能性を発見する」と称える。そしてベンダーは、『ソーシャル・ネットワーク』などで3度のアカデミー賞ノミネート歴のあるプロデューサーのマイケル・デ・ルカに脚本を渡した。デ・ルカは、「非常に野心に富んだ作品だと思った。いくつもの層によって成り立っている物語で、サブ・テキストの壮大な芸術作品と言える」と語る。さらに彼は、何が本当で何が嘘なのか、信じる対象を一方的に押し付けられる中で、集団として真実を突き止めようとする現代の傾向も捉えていると感じたという。

広告、映画、ヒット曲に隠された秘密の暗号とメッセージの探求
本作の核にあるのは、広告や歌や映画の中に刻まれた秘密の暗号を通して発見する複雑な陰謀だ。これはビートルズの全盛期以来、ポップ・カルチャー愛好家がとりつかれている、実際に存在する現象だ。プロデューサーのジェイク・ワイナーは、「この物語は、私たちが毎日目にする物や商品の中に隠されているメッセージを探求する。あちこちにヒントや暗号が散りばめられている。想像できるものすべてを繋げ合わせていくことで、さらに新たな層が生まれる。一度見ただけではすべてを理解することはできないかもしれないが、再度見直すことで、ミッチェルが伝えようとしている、より大きな物語が理解できるようになると思う」と説明する。この点についてミッチェルは、「本作には、沢山の要素が隠れていて、人が見つけてくれるのを待っている。言語的なものもあれば、テーマに関するものもある。これは、明確な答えを打ち出すような映画ではない。見た人たちが自分で考え、議論し、そしてできればもう一度見てもらえるように、意図的に作っている」と解説する。

ロサンゼルスを描いた巨匠たちへのオマージュ
『イット・フォローズ』に続いて撮影監督を務めたマイケル・ジオラキスは本作の映像について、「映画の巨匠へのオマージュを加えた、エネルギーに満ちた悪夢のような映像だ。観客はサムの視点から映画を体験することになるので、サムの感情を画像に取り入れることで、馴染みがあると同時にどこかユニークで謎めいたロサンゼルスを映し出そうとした。また、全体的に影やコントラストを用いた独自のスタイルを確立させた。さらに、『第三の男』、『愛よりもはやく撃て』、『三つ数えろ』、『アフター・アワーズ』、『タクシードライバー』などの映画から引用しながら、型にはめつつも、明確な意図を以て、当時の感覚とはまた違うものを作り上げようとした」と説明する。映画愛好家たちは、ヒッチコック、キューカー、デ・パルマ、ボーゼージなどの巨匠たちの作品の引用をすぐに感知するだろう。ミッチェルは、「私はとにかく映画が大好きだ。彼らの作品を引用したり、インスパイアされたりするのは、よいことだと思う。本作のほとんどの部分は、私の映画に対する執着心から生まれている。『裏窓』や『めまい』への私の愛は、間違いなくこの映画の中に反映されている。その他、『欲望』や『ボディ・ダブル』、『キッスで殺せ!』や『マルホランド・ドライブ』などのロサンゼルスを舞台にしたフィルム・ノワールへの愛も含まれている」と解説する。デ・ルカは、「本作を見ると、ロバート・アルトマンやポール・トーマス・アンダーソンなど、ロサンゼルスを舞台に映画を作ったあらゆる監督が思い浮かぶ。ロサンゼルスがいかに奇妙で美しくて恐ろしい街かを描きたいという昔からの伝統があり、ミッチェルもその伝統に加わったわけだ」と付け加える。

謎の多い二人のキャラクターのキャスティング
好奇心旺盛で、行動や目的が不可解なサムというキャラクターを上手く表現するには、ハリウッドで奮闘する典型的な人物に深みを与えられるような役者が必要だと判断され、アンドリュー・ガーフィールドにオファーされた。ミッチェルはサムのキャスティングについて、「サムはいくつもの複雑な層でできていて、すぐに理解できるような人物ではない。観客を奇妙で暗くて謎に満ちた場所へ案内しつつ、サムとして存在してもらう必要があった。アンドリューはこの役にピッタリだった。彼の人を惹きつける力が、キャラクターの暗い側面と絶妙なバランスを保っていた」と語る。ガーフィールドはサムのことを、「彼は生きる目的、この世に存在する意味を見出そうとしている。多くの現代人のように、ゾンビのようには生きたくないと感じている。群を成す羊のようには生きたくないってね。同時に、常に自分の無力さに失望もしている。これは、人生の意味を探す旅に繰り出し、表面的な世の中に抵抗しようとする、ある男の物語だ」と解説する。行方不明になるサラを演じるのは、エルヴィス・プレスリーの孫で、ロサンゼルスで生まれ育ったライリー・キーオだ。ショービジネス一家に生まれた彼女の血筋によって、サラというミステリアスで魅力的なキャラクターに新たな次元が加わった。ミッチェルは彼女を、「他の映画で見る彼女とは違った。脆さと愛情に満ちた強さのようなものが入り交ざって見応えがあった」と称える。

クレイジーなまでにこだわった美術と装飾
ミッチェルの作品は、アート・ディレクションやプロダクション・デザインが印象的だが、本作では革新的な作り物として、同人誌が登場する。アーティストでありイラストレーターのマイロ・ニューマンが、サムがロサンゼルス中を旅するシーンのイラストを提供した。締め切りまで2週間しかなかったため、ニューマンはミッチェルの「ラフだが、真実味のあるもの」という指示に従った。ニューマンは、「イラストの細部がプロットに非常に影響するようになっていった。いくつかのサンプルをデヴィッドに見せた後は、私の好きなようにさせてくれた。デヴィッドが作り上げる世界は、パラノイア、暴力、皮肉といったものだ。たまに、辛うじて病的なユーモアで明るくなる場面もある。私はできるだけこの同人誌の中に飛び込もうと試みた。もし、ヴィジュアルのギャグによって誰かが嫌悪感を抱いたり、笑ったりしたとしたら、私は正しかったと言えるだろう」と説明する。「私はいつだって限界までこだわるが、今回は本当にクレイジーだったね」とミッチェルも認める。例えばそのこだわりの一つとして、サラの『百万長者と結婚する方法』のフィギュアがある。脚本にサラがその映画に夢中だと書かれているのを読んだプロダクション・デザイナーのマイケル・ペリーは、関連グッズを探し回り、遂にパリで見つけたのだ。本作の最も重要なロケーションであるサムのアパートは、サン・フェルナンド・バレーのベンチュラ・ブルバードの丘の上にあった建物を借りて、ペリーが内部を改装して撮影した。

名作曲家からビデオゲームまで取り入れた独自の音楽
人気バンドの“イエスとドラキュラの花嫁たち”の音楽はオリジナルで、Disasterpeaceの名で知られるリッチ・ヴリーランドが作曲を担当し、ミッチェルも作詞で参加した。なかでも非常にキャッチーで一回聞けば耳から離れない「回る歯」という曲は、劇中で何度も流れる。歌詞の中には秘密が隠されていて、サムがターンテーブルで逆再生するたびに、陰謀の奥深い部分が露わになっていく。映画音楽もヴリーランドが手掛けているが、『市民ケーン』のバーナード・ハーマンの楽曲にインスピレーションを受けたという。ハーマンの作曲のセンスは、ノワール映画というジャンルのトーンを決定づけた。しかし、複雑に入り組んだ物語を語るには、それ以上の要素が必要だった。ヴリーランドは、尺八や蒸気オルガン向けに作曲された楽曲や、ビデオゲームの「ゼルダの伝説」のサントラなどを参考にした。さらに、バスルームの中で録音したホイッスルなども使用して、今回の独特なスコアが完成した。




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ベタな言い方すると「アメリカン・スリープオーバー」+「イット・フォローズ」な作品。プロダクションノートには過去の名監督やクラシックムービータイトルがひしめき合っていますが、そんな遠い過去の話ではなく2年前の「99 Homes」繰り返しやんアンドリュー・ガーフィールド。

ヒロインのライリー・キーオは誰?って感じでして、バイオグラフィ拝見したら幾つか出演作品は鑑賞している模様ですが全然分からん。サラ・ドガンみたいに黙って演技していたら結構いいかも。

音楽オタク的知識がないと(ピアノのシーンなど)色々楽しめない箇所があるのがある意味残念。ギターでタコ殴りはジミヘンのレフティストラトが定番だった筈ですが、いつの間にかその役はカート・コバーンのレフティムスタングが担っていたんだ。個人的にはエイミー・ワインハウスにちょっと触れていたので嬉しかったです。いずれにせよハリウッド目線ではニルヴァーナとスーパーマリオブラザーズの位置関係はフラットということで、陰毛ボウボウのフクロウ女と併せて非常に意味分からん系の面白い映画でした。

満足度(5点満点)
☆☆☆☆


Posted by kingcurtis 固定リンクComments(3)映画 
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コメント
更新が無かったので心配してました。
お元気そうで何より。
Posted by 名無しのぱよぱよちーん at 2018年10月19日 18:27
意味わからんようでも、あ、これ知ってるってエッセンスたっぷり。
どっかで見た、どっかで読んだというオタク要素満載。
悪く言うと先人の真似はいいから、オリジナルなもの見せてよ、だった。
戸棚(?)から脚を出して部屋に侵入するフクロウ女に悶絶したり、ニルヴァーナの曲は自分が書いたと言う作曲家に震えが来たり、オジーの『Crazy Train 』も自分が書いたと言い出した時には、この監督若いからランディ・ローズを知らないんだなとガッカリしたわ。
若い女はみんな売春婦って考え方も何だか…
LAは病んだ街だと思ったわ。
この手の監督に共通してる"警察は間抜け"という描写方法。実体験で何かあったのかね。
Posted by ななし at 2018年10月21日 08:03
最近は映画を見に行く都合がつけにくいです。

デス・ウィッシュ
クレイジー・リッチ!
ヴェノム
アリー スター誕生
ファースト・マンは見たいです。
Posted by worldwalker's weblog(・∀・)! at 2018年10月22日 07:15
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