2018年04月11日

【映画評】ラブレス

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裁かれるは善人のみ [DVD]
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おそロシアを具現化。三度の飯より好きなズビャギンツェフ作品。

映画「ラブレス」公式サイト 2018年4 7公開

イントロダクション
カンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ各国の映画祭で数々の賞を受賞&ノミネートされている『ラブレス』がついに日本に上陸する。監督は、デビュー作『父、帰る』(03)がヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝き、『ヴェラの祈り』(07)『エレナの惑い』(11)がカンヌ国際映画祭で賞を受賞、続く『裁かれるは善人のみ』(14)がカンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞の外国語映画賞などを受賞した、日本でも多くのファンを持つロシアの鬼才、アンドレイ・ズビャギンツェフ。ロシアの格差社会を背景に家族の崩壊を描き、神話のように重厚な作品を生み出してきた監督にとって、ひとつの集大成であり最高傑作ともいえる映画が誕生した。
一流企業で働くボリスと美容サロンを経営するジェーニャの夫婦。離婚協議中のふたりにはそれぞれすでに別のパートナーがいて、早く新しい生活に入りたいと苛立ちを募らせていた。12歳になる息子のアレクセイをどちらが引き取るかについて言い争い、罵り合うふたり。耳をふさぎながら両親の口論を聞いていたアレクセイはある朝、学校に出かけたまま行方不明になってしまう。ふたりはボランティアの人々の手も借りながら、自分たちの未来のために必死で息子を探し始める。息子は無事に見つかるのだろうか、それとも――。

ズビャギンツェフ監督は暗く冷たい映像で現代ロシアの富裕層が過ごす冬の季節を切り取りながら、彼らと地続きの場所に生きる私たちに多くの問いを投げかける。常にスマートフォンを手にしてSNSに気を取られている姿から浮き彫りになるのは、現代人の病ともいえる自分だけが幸せになりたいという願い、そして周りの人たちに幸せに生きていると思われたいという、満たされることのない承認欲求かもしれない。
自分を愛してくれる人との幸福を渇望し、自分が愛せなかった息子の行方を追う身勝手な両親。あまりにも大切な存在を失って初めて見つけたものは、本当の愛か、それとも空虚な幸せの正体か。愛なき世界を反転させられるものとは一体何なのか、まだやり直すことはできるのか。そして息子の安否は――。最後まで緊張感がゆるむことなく進んでいくこの不穏なサスペンスは、『ピアニスト』や『灼熱の魂』などに並ぶ、映画史に残る圧倒的かつ慟哭のクライマックスへ向かっていく。足もとの幸せを見出すことを忘れ、人間性を喪失しかかっている現代人に贈る、本当の幸せを手に入れるために今観るべき物語。

ストーリー
一流企業で働くボリスと美容サロンを経営するジェーニャの夫婦。ふたりは離婚協議中で、家族で住んでいるマンションも売りに出そうとしている。言い争いのたえないふたりは、12歳の息子、アレクセイをどちらが引き取るのかで、激しい口論をしていた。アレクセイは耳をふさぎながら、両親が喧嘩する声を聞いている。
ボリスにはすでに妊娠中の若い恋人がいるが、上司は原理主義的な厳格なキリスト教徒で、離婚をすることはクビを意味していた。美容サロンのオーナーでもあるジェーニャにも、成人して留学中の娘を持つ、年上で裕福な恋人がいる。ジェーニャは恋人と体を重ね、母に愛されなかった子供時代のこと、そして自分も子供を愛せないのだと語る。「幸せになりたい。私はモンスター?」と尋ねる彼女に、恋人は「世界一素敵なモンスター」だと答える。ボリスもジェーニャも、一刻も早く新しい暮らしを始めたいと、そればかりを考えていた。

両親がデートで家を留守にするなか、息子が通う学校からアレクセイが2日間も登校していないという連絡が入る。自宅にやって来た警察は、反抗期だから数日後に戻るだろうと取り合ってくれず、ボリスとジェーニャは市民ボランティアに捜索を依頼する。夫婦とスタッフは、心当たりのある場所のひとつとしてジェーニャの母の家を訪ねるが、そこにはアレクセイの姿がないばかりか、彼女は別れて中絶しろと言った忠告を聞き入れなかった娘に自業自得だと、激高しながら告げるのだった。
帰りの車中で「結婚したのは母から逃げたかったから。あなたを利用したつもりが、家族を求めるあなたに利用された」と言い、中絶をすればよかったと後悔の念を口にするジェーニャ。捜索を続けるなか、アレクセイがチャットで話していた“基地”が、森の中の廃墟ビルの地下にあることが、クラスメイトの証言から判明する。夫婦と捜索隊は、その廃墟へと足を踏み入れるが……。




劇中で繰り返し「ウクライナ紛争」ニュースが流れますが、ロシア×ウクライナと、両親×子を掛けているの?

スタイル抜群の自撮りうっとりインスタママが凄い。悪夢に出るレベル。僅か1〜2秒程度の描写ながら隠れて少年が泣いているシーンも強烈な印象。「【映画評】リリア 4-ever」思い出しました。

安請け合いな結末などなく、最後のシークエンスも後味悪くて最高。父、母、祖母、そして子。それぞれに胸クソ悪い。ボランティアチームは秀逸だね。「水死体は捜索しない」云々が実にシステマチック。朝から晩まで子供が誘拐されているような国だから仕組みが色々出来ているんだ。という事で、映像も演技も音楽も凄い凄いを連発出来る作品。期待通り心底胸クソ悪くなります。

今年のアカデミー外国語映画賞はチリ映画「【映画評】ナチュラルウーマン」が受賞したけど、個人的には「ラブレス」に軍配。

「悪意」「不快」映像化ならハネケ(参考最新作:【映画評】ハッピーエンド)とズビャギンツェフが、今のツートップでは?

満足度(5点満点)
☆☆☆☆

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