2018年03月07日
【映画評】ハッピーエンド
mixiチェックイントロダクション
「なぜ、やった?」「何を」85歳の祖父と、13歳の孫娘。ふたりを惹きつける大きな“秘密”。ハネケ監督がわたしたちに問いかける問題作。
『白いリボン』と『愛、アムール』で二度にわたって、カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールに輝いた名匠ミヒャエル・ハネケ。『愛、アムール』では老境の夫婦ジョルジュとアンヌの愛と死に透明な視線を投げかけ、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。
それから5年、昨年のカンヌ映画祭を衝撃の渦に巻き込んだ『ハッピーエンド』では、フランスの移民問題を象徴する街カレーの瀟洒な邸宅に住まうロラン家を背景に、『愛、アムール』の続きともとれる、新たな愛と死を衝撃的に描く。
ハネケは祖父ジョルジュと疎遠だった孫娘エヴの再会に光を当てる。幼い頃父に捨てられ、愛に飢え、死とSNSの闇に取り憑かれたエヴの閉ざされた扉を、ジョルジュの衝撃の告白がこじ開ける。『ハッピーエンド』は、現代のヨーロッパに“教養あるブルジョワジーはもはや存在しない”ことを炙り出しながら、ディスコミュニケーションの闇が広がる今、孤独な魂の会合が断絶した絆に血が通う瞬間に観客を立ち会わせる。
ジャン=ルイ・トランティニャン、イザベル・ユペール屈指の実力を持つ名優たち
祖父ジョルジュを演じるのは『愛、アムール』の名優ジャン=ルイ・トランティニャン。ジョルジュの娘役には、『ピアニスト』はじめ、ハネケ作品では常連のイザベル・ユペール。昨年『エル ELLL』でオスカー主演女優賞にもノミネートされ、乗りに乗るユペールがビジネスマンとして辣腕を振るう一方で、エゴイスティックな現代ブルジョワの姿を体現してみせる。トランティニャンとユペールが前作に続いて父と娘を演じるのも見逃せない。ほか、マチュー・カソヴィッツ、トビー・ジョーンズら、ヨーロッパ屈指の実力俳優の饗宴に、ハネケによって抜擢されたファンティーヌ・アルドゥアンがヒロインとして加わった。
ストーリー
カレーに住むブルジョワジーのロラン家は、瀟洒な邸宅に3世帯が暮らす。その家⻑は、建築業を営んでいたジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)だが、⾼齢の彼はすでに引退している。娘アンヌ(イザベル・ユペール)が家業を継ぎ、取引先銀⾏の顧問弁護⼠を恋⼈に、ビジネスで辣腕を振るっている。専務職を任されたアンヌの息⼦ピエール(フランツ・ロゴフスキ)はビジネスマンに徹しきれない。使⽤⼈や移⺠労働者の扱いに関しても、祖⽗や⺟の世代への反撥があるものの、⼦供染みた反抗しかできないナイーヴな⻘年だ。またアンヌの弟トマ(マチュー・カソヴィッツ)は家業を継がず、医師として働き、再婚した若い妻アナイス(ローラ・ファーリンデン)との間に幼い息子ポールがいる。その他、幼い娘のいるモロッコ⼈のラシッドと妻ジャミラが住み込みで⼀家に仕えている。
一家は、同じテーブルを囲み、⾷事をしても、それぞれの思いには無関⼼。SNSやメールに個々の秘密や鬱憤を打ち込むだけ。ましてや使⽤⼈や移⺠のことなど眼中にない。そんな家族の中、ハネケは祖⽗ジョルジュと疎遠だった孫娘エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)の再会に光を当てる。⽼いた祖⽗は、意に添わぬ場⾯ではボケたふりをして周囲を煙に巻きながら、死の影を纏うエヴのことも実はちゃんとお⾒通し。⼀⽅、幼い頃に⽗に捨てられ、愛に飢え、死に取り憑かれたエヴもまた醒めた⽬で世界を⾒つめている。秘密を抱えた⼆⼈の緊張感漲る対峙。ジョルジュの衝撃の告⽩は、エヴの閉ざされた扉をこじ開ける―――
冒頭、人間関係を把握するのに少々時間が掛かりました。その間、注意散漫になっていたので最低限の粗筋は事前に読んでいた方がよかったかも。
前作に続きユーペルさんと「男と女」爺さんが同じ配役ですが話は繋がっていません。とはいえ形式美的には姉妹作であります。設定も被りまくり。参考:【映画評】愛、アムール
チェロ奏者の性奴隷志願変態テキストメールがエロかったですねぇ。
日本映画に是非出演したいとリップ・サービスするユーペルさん動画の再生回数が36って、プロモート大丈夫?
「I☆JAPAN」が印象的だった主演の少女に既視感ありましたが「【映画評】少女ファニーと運命の旅」だったのか。御年13歳。将来が楽しみ。映画は彼女のスマホ動画より始まりスマホ動画で終わります。動画にショートメッセージをラップ出来るSNS。どこのサービスなんだろう?
『#ハッピーエンド』でエヴが着ているI★JAPANのTシャツ。#ハネケ 監督がインスパイアされた日本で起こったタリウム母親毒殺未遂事件。 監督は「劇中の重要なシーンでエヴァが“I★JAPAN”というTシャツを着ているだろう?あれは偶然だよ。フフフ」とコメント。記事はこちら👇https://t.co/ZFs7TMLrso pic.twitter.com/C64FZHS86J
— 映画配給会社 ロングライド (@longride_movie) 2018年3月6日
ということで表層的なグロ描写こそありませんでしたが、パルムドール常連のゲージュツ作品監督様でなく、キレキレ状態の気違いハネケ師匠がまた戻ってきた!って感じ。ハネケ全作品を鑑賞しているコアマニア的は大満足の怪作でした。
師匠は御年75だそうで新作があと何本鑑賞できるのか誰も分かりませんが、末永くご健康でお願いしますよ。
満足度(5点満点)
☆☆☆☆
尚、邦画「タリウム少女の毒殺日記」は未だDVD化の目処は立っていないそうです。
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