2018年01月10日

【映画評】立ち去った女

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外務省の愚―フィリピン・無実の死刑囚 中島忠弘の慟哭
外務省の愚―フィリピン・無実の死刑囚 中島忠弘の慟哭

トルストイ短編にインスパイアされたと称されるクライム・サスペンス。2016年ベネチア金獅子賞受賞作。フィリピン映画。意識高い系というよりも映画マニア向け。

映画『立ち去った女』 公式サイト

イントロダクション
ラヴ・ディアス!彼の映画は、私の身体を分子構造からすっかり変えてしまうほどの衝撃だったー メリル・ストリープ(女優)

我々が感じた熱狂を、ぜひ観客に、映画館で味わってほしいー サム・メンデス(映画監督『アメリカン・ビューティー』『007スペクター』)

世界が絶賛する “怪物的映画作家"が、ついに全貌を現すー!
“怪物的映画作家"と称され、ベネチア、ベルリン、カンヌをはじめ世界の映画賞を席巻してきたフィリピンの鬼才ラヴ・ディアス。最新作にして最高傑作『立ち去った女』で、ついに待望の日本劇場初公開を果たす。
『ラ・ラ・ランド』『メッセージ』ら華やかな話題作がひしめくなか、ベネチア国際映画祭最高の栄誉に輝いた『立ち去った女』。前々作『昔のはじまり』でロカルノ国際映画祭金豹賞、2016年2月には『痛ましき謎への子守唄』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、ベネチアでついに頂点に登りつめたラヴ・ディアスに、サム・メンデス監督率いる審査員団や批評家、観客たちから満場の拍手が贈られた。

ワンシーン、ワンカットの魔術的映像美。
光と闇、善と悪、罪と赦し。人間の本質を炙り出す、美しき復讐のドラマ
本作は、映画『ショーシャンクの空に』の原点ともなったロシアの文豪レフ・トルストイの短編小説に着想を得た人間ドラマ「God Sees the Truth, But Waits(神は真実を見給ふ、されで待ち給ふ)」。フィリピン現代史を背景に、哲学、宗教、寓話、そして豊かな詩情を織り込み、光と闇、善と悪、罪と赦しの間を彷徨う人間の本質をゆっくりと炙り出す。ラヴ・ディアス作品の特徴である、美しくも徹底的な長回しと、蠱惑的なロングショット。圧倒的な映画体験に身をゆだねる、至福の映画体験が待っている。

観る者をとりこにする「長尺」の快感。映画的興奮に溺れる3時間48分!
ラヴ・ディアスの作品は、平均で5~6時間、時に10時間を超えるなど、観客の度肝を抜く「長尺」をトレードマークとする。その長さにも関わらず、観客はディアス独特のリズムがもたらす“魔術的魅力"に引き込まれ、メリル・ストリープ、サム・メンデスなどハリウッドの映画人らも巻き込んだ《ラヴ・ディアス中毒》を世界中に増やしてきた。しかし本作は、ラヴ・ディアス作品の中では“異例の短さ"となる3時間48分!ベネチア金獅子賞受賞作にして最高傑作の『立ち去った女』は、ラヴ・ディアス入門編として、映画好きであれば必見の一本!!この愉しみを知ったら、もう普通の長さでは物足りないかもしれない。

ストーリー
かつて小学校の教師だったホラシアは、身に覚えのない罪で投獄され、30年の歳月を刑務所で過ごしてきた。ある日、同じ受刑者でホラシアの親友・ペトラが思いがけない告白をする。ホラシアが犯人とされた殺人事件の真犯人はペトラ、そして彼女に殺人を指示し、ホラシアに罪を着せた黒幕は、ホラシアのかつての恋人・ロドリゴだというのだ。ペトラは罪を告白後、自殺した。

釈放されたホラシアは家に戻るが、一家は離散し息子は行方不明、夫はすでに亡くなっていた。家族を失い、人生を壊されたホラシアは、自分を陥れた男ロドリゴを追って復讐の旅に出る。そして彼女の前に現れる、バロット(アヒルの卵)売りの貧しい男、物乞いの女、心と身体に傷を抱える謎の「女」―。

監督・脚本・編集・撮影:ラヴ・ディアス
人間として、何が我々を形づくるのか?
本作は、私自身が遠い昔に読んだトルストイの短編「God Sees the Truth But Waits(神は真実を見給ふ、されど待ち給ふ)」から着想を得ました。今や記憶があるのは物語の前提のみで、詳細や登場人物の名前は忘れてしまっています。しかし読んだ時に、“人生を本当の意味で理解している者はいない"と書かれていたことに衝撃を受けたことは忘れられません。我々が何も分かっていない、ということは、我々の存在についての極めて重要な真実の1つでしょう。言い換えると、我々の中には少なくとも連続性を感じられる人々が存在し、我々が為すことは派生的になり得るということです。さらに多くの場合、我々は人生の虚構に従いそして屈服してしまいます。




物語は冤罪を被り昭和42年から平成9年辺りまで女囚刑務所に収監された主人公の復讐劇。構図としては秋ドラマ「監獄のお姫さま」とほぼ同じ。

ドラマ、小説、漫画、映画、アニメ、その全てに共通するのが可能な限り物語の時間を切り刻み、時間軸を彷徨い、登場人物の一日を5ページ、または5分。登場人物の半生を120分に圧縮し鑑賞しているのが普通でしかもそれを疑問に思うこともないのですが、可能な限り時間軸もリアルに近づけようぜというのが本監督の意図するところなのでしょう。固定カメラで固定ピント。ズームなどギミックなし。通常なら5秒程度のカットに1分程度費やしていましてそりゃ4時間擁するわ。(分かり易く噛み砕くと「第三の男」ラストシーン的撮影手法が延々続く感じ)とはいえ静止画でなく動きはありますしカット毎の構図は練ってあるので絵画的な美しさはあります。3Dや4DXの様なアトラクションムービーとして臨めば愉しめます。但し体調が万全なら。(監督の意向によりインターミッションもありません)

アプローチが同じくベネチア金獅子賞作品=ロイ・アンダーソンの【映画評】さよなら、人類 そっくりという話を聞きましたが、あちらよりまだ理解できます。オカマちゃんパートがよかったです。

『立ち去った女』:ラヴ・ディアス監督 独占インタビュー - i-D

——ジョン・ロイド・クルズ演じるホランダは、日本語の歌を披露します。

日本とフィリピンは、地政学的な理由から文化的にきわめて深い関係があります。ただしそれは、実に複雑な関係です。私たちは互いにとても近いにも関わらず、同時に自己修練のあり方や、物事の見方、振る舞いのレベルにおいて、とても違っています。ホランダのキャラクターは、この両国の現代的な関係性を象徴しています。80年代以降、何千ものフィリピン人が「文化労働者」として、いやもっと卑俗な蔑称を使えば「ジャパゆきさん」として日本に行きました。「ジャパゆきさん」とは、貧しい彼ら/彼女らが日本人に提供することのできる娯楽のすべてを婉曲に指す用語であって、そこには歌や踊り、コメディ、マッサージ、そして売春のすべてが含まれています。これはひとつの文化現象となり、様々な歌や言葉、言い回しなどがその一部を構成しています。ホランダの歌や踊りもそこに含まれているのです。

ということで尿意は我慢できましたが、夜観たら睡魔が堪んないです。最後の最後まで絵的には美しいですが、個人的には「ラヴ・ディアス中毒」には至らず。お腹いっぱい。
【映画評】ローサは密告された」も肌に合わなかったし、個人的にフィリピン映画と相性よくないみたい。

満足度(5点満点)
☆☆☆

という金獅子賞作品でしたが、2017年受賞作ギレルモ・デル・トロ「シェイプ・オブ・ウォーター」は海外での評価高く日本公開が楽しみ。



他方、2015年受賞作ベネズエラ映画「彼方から」日本公開は完全見送りみたいですね。ハネケ風粘着手法の初老ガチホモ(ノンケ買春)変態ムービーは流石に無理。三度の飯よりジンケン大好きな町山先生や金髪豚野郎が私的に自主上映したらいいのにね。



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岩政 光則

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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