2017年10月16日
【映画評】ポルト
mixiチェックオンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ [Blu-ray]
港町ポルトで邂逅した30代バツイチ子持ちフランス女性と20代米国男性、一夜限りの愛を描いたポルトガル映画。アントン・イェルチン遺作。ジム・ジャームッシュ総指揮。
イントロダクション
男は異国の地になじめず、放蕩を続けるアメリカ人。女はフランスからポルトガルにやってきた、考古学を研究する学生。視線が触れた瞬間、言葉を交わす間もなく惹かれ合ったふたりは情熱的な一夜を共にする。シーツの陰で、夜の街灯の下で、カフェの喧騒の中で、愛を語り合い、孤独に怯え、幸せの意味を噛みしめるふたり。しかし女には恋人がいた。あの夜を信じたい男と未来を忘れたい女の心は、互いに求め合いながらも、ひとつになることを拒む。やがてふたりのすれ違いが決定的に思えたそのとき、ある奇跡が起こる……。恋より儚く、愛より情熱的。そんな説明しがたい感情をスクリーンに焼き付けた、ロマンティックでほろ苦いラブストーリーが誕生した。
男=ジェイク役には『スター・トレック』(09)シリーズや『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)などで将来を嘱望されながら、2016 年に27 歳で惜しくも逝去したアントン・イェルチン。女=マティ役に本作が初主演のルシー・ルーカス。また『ママと娼婦』(73)のフランソワーズ・ルブランが重要な役どころで貫録を見せる。監督・脚本は、大学で映画学を教え批評家としても活躍するブラジル出身の新鋭、ゲイブ・クリンガー。処女作でヴェネチア国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を受賞、本作は長編劇映画初挑戦ながら、ジム・ジャームッシュがその稀有な才能に惚れこみ、製作総指揮を名乗り出たほど。共同脚本はクリント・イーストウッドの『トゥルー・クライム』(99)などを手掛けたラリー・グロス。スーパー8、16ミリ、35ミリとあらゆるフィルムを駆使して描かれるのは、過去と現在、そして未来の記憶。まるで寄木細工のように精巧に組み立てられた映画『ポルト』は、ある一夜に囚われた男と女のふれあいを通して、人生の一瞬の出来事を、まるで永遠であるかのように鮮やかに紡ぎだしていく。
ストーリー
ジェイク(アントン・イェルチン)は、ポルトガル北部の港湾都市ポルトで暮らす26 歳のアメリカ人。父が外交官のため幼い頃からリスボンに住んでいたが、家族と折り合いが悪く、今はこの地で臨時雇いの仕事を転々としている。友人もなく、心を通わせるのは愛犬のみ。
マティ(ルシー・ルーカス)は、考古学を学ぶ32 歳のフランス人留学生。ソルボンヌの大学で知り合ったポルトガル人の教授に求婚され、彼とポルトへ来たものの、彼女にとって一番大切なのは自由であること。
そんなふたりが夜のカフェで出会った。仕事先の発掘現場でマティを見かけたジェイクは、ひとり店にいた彼女に思い切って話しかける。「私とよそへ行かない?」そう誘ったのはマティだった。引っ越しの手伝いを頼まれ、ヘトヘトになりながらドウロ河沿いのマティの新居に荷物を運び込むジェイク。まだ家具もベッドもない部屋で、ふたりは一夜の関係を結ぶ。
翌朝。まどろむジェイクを残してマティは先に家を出た。昼過ぎに起きたジェイクが荷物を何気なく広げていると、マティが恋人のジョアン(パウロ・カラトレ)と一緒に帰ってくる。ジョアンがつとめて穏やかに振舞おうとするほど、気まずさと虚しさに満ちていくジェイク。その後もあの夜を忘れられないジェイクはマティにしつこくつきまとうが、彼女には今の生活を壊すつもりはない。そのあまりの執拗さに悩んだマティによって留置所に入れられたジェイクは、絶望に打ちひしがれる。
数年後。ジェイクは、ポルトで相変わらずその日暮らしの生活を送っている。マティはジョアンとの間に娘をもうけるが、夫との関係はすでに壊れ、ポルトで子育てに追われていた。思い出したようにパリにひとり残した母親(フランソワーズ・ルブラン)を訪ねるものの、酒に依存し、事あるごとにパリに戻るよう迫る母と接するのは気が重い。「私はポルトで幸せなの」。そう自分に言い聞かせるように告げるマティに母は応える。「そうは見えないわ」。 全く別の人生を歩むジェイクとマティだったが、ふたりの記憶は必ずあの夜へ辿りつく。お互いのことは何も知らず、何も求めず、何の躊躇なく、ただ「愛してる」と言えた、あの奇跡のような夜に……。
ヒロインが持つ日の丸みたいな傘のデザインがユニーク。劇伴もジョン・リー・フッカーとか。
粗筋によると主人公は26歳との事でして、一夜で何回セックス?確か5〜6回はやっていたような。いきなり挿入〜すぐ果てるってのも演出として面白い。
粗々のところで同じような経験重ねた人も多いと存じます。所謂初対面の人と忘れられぬ一夜。幸せな日々を過ごしていたならさらっと忘れてしまうのに、互いに今も後ろ髪を引かれ、想い出のレストランの窓を眺める切なさ。という二人の視点を時系列シャッフルし、3幕、3種類のフィルムで表現した凝縮の76分作品。あとからじわじわ感否めず、尺も短いのでもう一回見てみたい気にさせます。
私も20代に戻ってアラサーのエロくて美人なお姐さんと遊びたい。
主役のアントン・イェルチンは自宅の門扉と愛車に挟まれ誰にも看取られず圧死。
出演作について、劇場では「【映画評】オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」「【映画評】ゾンビ・ガール」等を鑑賞しました。ご冥福をお祈りします。
満足度(5点満点)
☆☆☆
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