2017年07月31日

【映画評】君の膵臓をたべたい

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君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

原作は「なろう」で斜め読み。まさかの実写版「けいおん」。お城の横アングルは彦根市立西中学校だそうです。



映画『君の膵臓をたべたい』オフィシャルサイト

イントロダクション
刺激的なタイトルからは想像も出来ない物語の美しさと展開に、若い女性層を中心に“泣ける小説”として口コミが広がり、2016年本屋大賞第2位、Yahoo!検索大賞2016小説部門賞受賞など、瞬く間にベストセラー小説となった「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」がこの夏、遂に実写映画化します。重い膵臓の病を患うヒロイン・山内桜良に浜辺美波。桜良の病気を唯一知ることになるクラスメイトの【僕】には北村匠海。これからの活動に目が離せないフレッシュな2人が、儚くも美しい高校時代を瑞々しく演じます。
さらに映画では、原作には無い12年後の≪現在≫が描かれ、≪過去≫と≪現在≫の2つの時間軸が交錯しながら物語が進んでいきます。そんな≪現在≫パートで教師となった【僕】に小栗旬、桜良の親友【恭子】を北川景子が演じ、物語を大きく揺り動かします。
主題歌はMr.Childrenの新作「himawari」。心を揺さぶる情感溢れるメロディが感動のラストを彩ります。

誰もが想像出来ない結末と、タイトルに隠された本当の意味を知った時、あなたはきっと涙します—。

ストーリー
高校時代のクラスメイト・山内桜良(浜辺美波)の 言葉をきっかけに母校の教師となった【僕】(小栗旬)。 彼は、教え子と話すうちに、彼女と過ごした数ヶ月を 思い出していく―。
膵臓の病を患う彼女が書いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然見つけたことから、 【僕】(北村匠海)と桜良は次第に一緒に過ごすことに。 だが、眩いまでに懸命に生きる彼女の日々はやがて、 終わりを告げる。
桜良の死から12年。
結婚を目前に控えた彼女の親友・恭子(北川景子)もまた、【僕】と同様に、桜良と過ごした日々を思い出していた―。
そして、ある事をきっかけに、桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いを知る2人―。

プロダクションノート
 ティーン向けの青春映画は数多く作られているが、観客はそろそろ新しいものを求めているのではないか? 模索していた臼井央プロデューサーの目に止まったのは、住野よるのデビュー小説「君の膵臓をたべたい」だった。「一見ホラー小説のようなタイトルだが、実際はヒューマンドラマ、青春ドラマ、そのギャップとインパクトに企画性を感じた。自分よりも若い世代がこの原作を映画化してみたい! と特別な熱さを持っていたことも興味深かった」と印象を語る。ヒロインが重い膵臓の病気を患っていること、青春ものであること、恋か愛か見分けのつかない十代の気持ちが描かれていること─そこには2004年に社会現象になった映画『世界の中心で、愛をさけぶ』、通称セカチューに通じるものがあるのではないかと、そのプロデューサーである春名慶に声をかけ、キミスイの企画は動き出した。臼井&春名のタッグとしては、『クローズド・ノート』『僕等がいた 前篇/後篇』『アオハライド』『ストロボ・エッジ』『青空エール』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』に続く7度目となる。

 映画では、原作にはない12年後を取り入れ、回想録にすることでオリジナリティを出している。12年後の【僕】は教師の設定だ。そのヒントは原作の一節─「教えるの上手いなぁ、教師になりなよ」と、桜良が【僕】に言った何気ないひと言だった。春名Pは「桜良を失った喪失感を持ったまま彼女の言葉をよすがに生きてきた【僕】は、一体どんな大人になっているのか……を考えたとき、原作のその一節から“教師”になっているのではないかと想像できた」。

 そして、12年後の【僕】が再び過去と向きあう場所として用意されたのは図書館だ。セカチューではカセットテープでの交換日記が“あの頃と今”をつなぐ端子であったのに対し、今回はアイテムではなく“場所”とした。図書館を移設する、本の整理をする、そこで過去の宝探しをするという道筋だ。映画化において大切にしたのは、ラブストーリーではないという原作者の意図、【僕】と桜良の関係は決して恋愛関係ではないことだった。恋とも愛とも友情とも違う、えもいわれぬ感情を表現したのが「君の膵臓をたべたい」というフレーズであり、その感情を丁寧に描くことが、そのままタイトルのアンサーになっている。キミスイは決してキラキラ映画には括られない、いま求められている青春映画なのだ。

 月川翔監督は、『黒崎くんの言いなりになんてならない』『君と100回目の恋』で注目されている若手監督だが、月川監督と臼井&春名Pとの出会いは、『クローズド・ノート』まで溯る。『クローズド・ノート』の監督は行定勲氏であるが、そのメイキングを担当していたのが三木孝浩。さらに三木のアシスタントだったのが月川だった。臼井&春名は三木監督と過去4作でタッグを組んでいるが、新しい才能を探していたこともあり、今回は“ポスト三木”と言われている月川監督に『君の膵臓をたべたい』の映画化について「どう思うか?」と投げかけた。そして、自分なりのアイデアを出してきたモチベーションの高さに驚き、その情熱も決め手になった。そのときのアイデアのひとつが、12年後のラストシーン、恭子の結婚式だ。春名Pは「長編を任せられる監督であることも重要だったが、月川監督はオファーの段階で『黒崎くん〜』を撮っていたし、ルイ・ヴィトンのショートフィルム「The time walker」はどこかウォン・カーウァイ的で、その世界観や質感を『君の膵臓をたべたい』に活かせるのではないかと思った」と言う。

 三木監督と月川監督の共通点は「性善説」であると言う。それはどういうことか─物語と向きあうときも、実人生においても、2人はとにかく周りから愛される監督であり、監督に向けられたその愛はそのまま現場の雰囲気に現れ、そして映画に投影される。愛される監督だからこそスタッフ全員がプロフェッショナルな仕事をしたいと思えるのだと。三木監督が得意とする“光のマジック”もそこから生まれ、月川監督もそれを受け継いでいる。この映画で、桜良がキラキラと輝いている美しいシーンの数々は、もちろん見どころのひとつだ。

 浜辺美波は2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディション・ニュージェネレーション賞に輝き、芸能界入りした(当時10才)。その後、芝居の経験を積み『君の膵臓をたべたい』のヒロインに抜擢されるわけだが、彼女の“声”が桜良役にとって重要な要素となったと春名Pは説明する。「彼女は格別ナレーション力のある役者で、共病文庫を読むシーンをはじめ、声の持つ力、声の質感がこの物語の雰囲気を支配するといっても過言ではない。もうこの世にいないけれど、朗々と共病文庫を語る、遺書を語る、彼女の持っているナレーション力が作品を持ち上げている」。浜辺本人はとても大人しく静かな性格のため、桜良のように明るいキャラクターを演じることはかなり大変だったが、月川監督と二人三脚で普遍的なヒロインを作り上げていった。なかでも時間をかけたのは、浜辺と北村の最初の共演シーン、デザートパラダイス(撮影はスイーツパラダイス四条河原町店)に行った翌日に、桜良が【僕】に「なっかよしくん」と声をかけるシーンだ。これが桜良だ! と思える「なっかよしくん」が演じられるまで、何度もテイクを重ねた。また、桜良が「嫌な子」「ぶりっ子」に見えないこと、同性から愛されるキャラクターにすることも重要だった。

 一方、北村匠海はダンスロックバンド「DISH//」のメンバーとして活躍するだけでなく、ドラマ「ゆとりですがなにか」「仰げば尊し」など役によってがらりと座標軸を変えることのできる役者だ。【僕】役に選ばれた理由のひとつは、北村自身と【僕】がとても似ていることだった。月川監督は北村を「憂いのあるイノセントな魅力のある俳優」だと言い、桜良の遺した共病文庫を読んで「泣いても、いいですか」と涙を流すシーンで、北村が【僕】をどれだけ理解しているのかを目の当たりにした。それは「……もう、泣いても、いいですか」というセリフの前にすでに泣いていたこと。「嘘のない芝居だった」と語っている。この映画はいい意味で低体温であることが特徴だ。セカチューで森山未來は「助けてください」と大声で泣き叫ぶが、キミスイの北村匠海は「泣いても、いいですか」と静かに泣き、それまで抑えていた感情を吐き出す。その低体温さが今の若い世代に響くポイントでもあるのだ。

 桜良が亡くなってから12年後、教師になった【僕】を演じるのは小栗旬だ。臼井Pは「小栗さんがこの原作に興味を持っていると耳にしていた」という。『岳-ガク-』『宇宙兄弟』でともに仕事をしてきた臼井Pは「役者として人間として信頼をしているが、彼の作品選びへのこだわりは十分理解していたので、迷いながらも声をかけた」と振り返る。原作にはないオリジナルのキャラクターをオファーするにあたって、春名Pは「最近の彼は、活劇で八面六臂の活躍をするヒーローというイメージが強いけれども、個人的には抑制的でイノセントなお芝居を見たかった」と語る。事実、小栗の芝居は、静かでありながらも強く胸を打ち、浜辺と北村、この映画の若い主役をしっかりと支える物語の軸となっている。そして【僕】という役を通して、これまで見たことのない、いい意味で小栗旬っぽくないキャラクターを目にするだろう。また、月川監督いわく「小栗さんは匠海くんの演じる10代の【僕】に寄り添っていた」そうで、たとえば小栗自身は左利きだが、北村は右利き。右手で板書を書けるように練習をして撮影に臨んでいる。

 大人になった恭子を演じる北川景子に関しては「恭子は勝ち気で可憐なイメージ、それと同じイメージを持った北川さんにどうしても演じてほしかった」と臼井P。本編終盤、結婚式のシーンは、入念な段取りをした後に、テストなしの一発本番で撮影された。小栗の演じる【僕】が届けた手紙を読み、恭子が泣き崩れるクライマックスシーンだ。北川は本番で初めて手紙の内容を知り、流れてくる桜良の声を聞き、その一連の芝居をカメラは追い続けた。月川監督は「ずっと見ていたくて、台本のセリフが終わってもしばらくカットをかけずにいたら、北川さんはアドリブで芝居を続けてくれた。“なんでこんなタイミングなのよ、バカ……”は台本にはなかったひと言。でも、恭子なら言うだろうなというひと言だった」と、深い役づくりをしているからこそ出てきた北川のアドリブにいたく感動したと言う。そのシーンは、月川監督をはじめその場にいたスタッフ&キャストの目を涙で濡らした。

 あの頃と今をつなぐシンボリックな場所、図書館にもこだわりがある。月川監督は前作『君と100回目の恋』でも図書館を大切な場所として描いているが、今回こだわったのは、窓の外に桜が見えるロケーションであること、天井まで窓があること、その窓から光が注いでいる空間であることだった。希望に沿った図書館の舞台となったのは、滋賀県犬上郡豊郷町にある旧豊郷小学校(外観は滋賀大学で撮影)。スタッフだけでなくボランティアの人の協力を経て大量の本が用意され、運び込まれ、懐かしさと温もりのある図書館が完成した。ただ、図書館が空っぽになるシーンのセッティングは想像以上に大変な作業となり、そのシーンのセットチェンジが「この映画で一番大変だった」と月川監督。また、図書館という空間が持つ不思議な力を春名Pはこう語る。「図書館は他の教室と違って、時間の流れが緩やかで、静かで、ノスタルジーがある。岩井俊二監督の『Love Letter』でも図書館でマジカルなことが起きたように、ファンタジーであっても違和感がない場所」。この『君の膵臓をたべたい』で登場する図書館もきっと記憶に残る図書館になるはずだ。

 主題歌を担当するのはMr.Children。臼井Pは「小栗さんの演じる【僕】が、いま何を想っているのか、どう過去をふり返るのか、それを歌で表現するとしたら、どの世代も共感できるアーティスト、ミスチルしかいないと思った」と、迷うことなく彼らに依頼。そして生まれたのは「himawari」。【僕】から桜良へのアンサーソングのように物語の最後を彩っていく。




ツレは「まさかこんなに泣くとは」という状態でして、女性観客は漏れなく泣くというパターン。
未来エピソードは映画オリジナル。原作は仲良くなった高校生の僕と恭子さんで終わり。原作エンドの方が好み。

しかし様々なシチュエーションがありましたが、エッチしないってホモかよ。いずれにせよ浜辺美波ちゃんが可愛すぎて卑怯。容姿が十人並みだったら映画の印象全然違うでしょうね。

満足度(5点満点)
☆☆☆

最後に旅行代理店も開始した「映画版」聖地巡礼について。様々なサイトで詳報あると思われますが、地元民より簡単アドバイス。

・新幹線
桜良ちゃんは新幹線の終着駅で降りたかったそうなので「のぞみ」に乗りましょう。「さくら」とか「みずほ」は鹿児島が終点。

・天神
博多駅より地下に潜ったら地下鉄空港線博多駅があります。天神方面行きに乗り地下鉄天神駅で下車。そこから地下街を10分程度歩き、地下鉄七隈線天神南駅まで移動。改札付近に着いたらエスカレーター探して地上に登り、頭上の三越を見つけたらゴール。映画はそこから移動が始まります。

・ラーメン屋「花山」
地下鉄空港線天神駅に戻り、貝塚線(貝塚方面行)に乗り換えます。箱崎宮前駅下車ですぐラーメン屋。

・太宰府天満宮
箱崎宮前駅から天神駅に戻り、西鉄大牟田線天神駅へ移動。徒歩5分程度。可能であれば特急に乗って(30分に一本)、二日市駅で太宰府線に乗り換え、終点太宰府駅下車。スムーズに移動すれば片道30分程度。駅は参道の中。

・ヒルトン福岡シーホーク
旅気分を満喫したいなら地下鉄天神駅から乗って空港線唐人町駅下車。海の方向へ歩いて15分でホテル着(ヤフオクドームが目印)。歩くのがダルいなら、西鉄大牟田線天神駅の前のバス停より都市高速経由福岡ドーム方面行きのバスに乗って「ヒルトン福岡シーホーク前」バス停下車。目の前がホテル。

・福博であい橋
地下鉄中洲川端駅下車、であい橋は中洲方面出口より徒歩2分。

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(2)映画 
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コメント

豊郷小学校って、何かで有名だったよね。

何の話でしたか?
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年07月31日 14:20
本日見ました。
何度も心が揺さぶられるこの感じは映画『君の名は。』を見たときのあの感じに似ていると思いました。
主演の2人は今後も大いに活躍するだろうと思いました。
Posted by worldwalker's weblog(・∀・)! at 2017年08月06日 14:41
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