2017年03月14日

【映画評】たかが世界の終わり

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神のゆらぎ [DVD]
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機能不全家族を描いたグザヴィエ・ドラン監督ケベック州映画。
原題:JUSTE LA FIN DU MONDE→IT'S ONLY THE END OF THE WORLD→たかが世界の終わりという素晴らしきタイトル。他方、今上映中の映画でタイトル見ただけでまともな映画ファンなら漏れなく生理的嫌悪感を掻き立てられる「素晴らしきかな、人生」というキラキラネームみたいな邦題を与えられた可哀想な映画もあるそうで、イジメかよ。

映画『たかが世界の終わり』公式サイト

イントロダクション

自らの死を告げるため、12年ぶりに帰郷した作家ルイ。 豪華キャストが一線を越えた演技贈る原題の愛の物語。

世界のカルチャーシーンに閃光を放ち続ける美しき天才、グザヴィエ・ドラン。2009年の監督デビュー作『マイ・マザー』で未来を変えるアーティストと騒がれたのは19歳の時だった。その後も新作を発表するたびに、色彩と音楽でエモーションを揺さぶる独自の映像世界で観る者を驚喜させ、2014年には『Mommy/マミー』でカンヌ国際映画祭審査員賞という栄冠も手に入れた。

待望の最新作でドランが切り撮るのは、愛しているのに傷つけ合う〈ある家族の1日〉。 うまく想いを伝えられないその姿は、まさにミスコミュニケーションに陥った現代の家族そのものだ。眩いほどの才能に引き寄せられて集まったのは、ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル、マリオン・コティヤール、ナタリー・バイ。演技に人生を捧げた一流俳優たちが、12年ぶりに一堂に会した家族の時間を生きる。彼らが全力でぶつけ合う感情──怒りも憎しみも悲しみも、そのすべてが愛だと気付く時、私たちは絶望の中にこそ希望があると知る。進化を遂げたドランがたどり着いた答え、それはあなたを導く愛の物語。

ストーリー
愛が終わることに比べたら、たかが世界の終わりなんて
「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ。母のマルティーヌは息子の好きだった料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌは慣れないオシャレをして待っていた。浮足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ、彼の妻のカトリーヌはルイとは初対面だ。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れるかのように、ひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃には打ち明けようと決意するルイ。だが、過熱していく兄の激しい言葉が頂点に達した時、それぞれが隠していた思わぬ感情がほとばしる――――。

イントロダクション
書庫に眠っていたマイ・マザーに薦められた戯曲
監督デビュー作『マイ・マザー』を完成して間もない頃、グザヴィエ・ドランは母親役を演じたアンヌ・ドルヴァルから、「絶対読むべきだ」と彼女が10年ほど前に出演した舞台の戯曲を渡される。「実を言うと、興味をそそられなかったんだ。正直なところ反感すら覚えたような気がする。僕はその戯曲をしまいこんだまま忘れていた」とドランは打ち明ける。
それから4年後、『Mommy/マミー』を撮影した直後のことだ。ドランはあることがきっかけで、書棚にしまっていたその戯曲、ジャン=リュック・ラガルスの「Juste la fin du monde(たかが世界の終わり)」を手にする。「読み返すというよりも、初めてきちんと読んだ。6ページ目あたりまできたところで、これこそが僕の次の映画だと決めていた。」
気持ちが変わった理由について、ドランはこう解説する。「大人になって、やっとラガルスが描く登場人物の言葉、感情、沈黙、ためらい、不安、強烈なほどリアルな欠点を理解することができるようになったのさ。時間が必要なものもあるんだ。彼らの不完全性にも惹かれたね。とても真実味があって人間くさい。非常に傷つきやすく、悩みや迷いを抱えて生きている。つまりはいつも通り、アンヌはもちろん正しかったということさ。」
ところが、ドランの周囲の人々は、当のアンヌさえも、ラガルスらしさを残して、映画として成立できるのかという疑問を呈した。だが、ドランは臆することは全くなかったと胸を張る。「わざと文法を間違ったり、繰り返したりするラガルスの台詞を、妥協なしに表現したかった。彼らしさはその言葉使いにあり、だからこそ彼の作品は今日まで朽ちることがないからだ。そこを変えてしまうと、ラガルス作品を陳腐なものにしてしまう。観客が映画に“戯曲を感じる”ことは、僕にとって少しも問題じゃなかった。」

きっかけはマリオン・コティヤールとの出会い
ドランがしまいこんでいた戯曲を取り出した“あるきっかけ”、それはマリオン・コティヤールとの出会いだった。『Mommy/マミー』を出品した、カンヌ国際映画祭でのことだった。「僕はそういうことはとても不器用なんだけれど、彼女と一緒に仕事がしたい、彼女の作品がとても好きだと伝えた」とドランは振り返る。コティヤールも、「素晴らしい夜だったわ。彼との出会いにとても感激したわ」と、初対面の瞬間を懐かしく思い出す。
カンヌから戻ったドランは、ギャスパー・ウリエルとレア・セドゥに偶然出会い、彼らと映画を撮りたいと考える。さらにナタリー・バイと、もう一度一緒に仕事をしたいと思っていた。その時、ドランはラガルスの戯曲を思い出し、「もしかするとあの戯曲は、マリオンと組み、ナタリーとも再タッグを組むための“媒体と手段”なのかもしれない」と閃いたのだ。

偉大な音楽家と楽しみながら作った音楽
ドランは『トム・アット・ザ・ファーム』の音楽を作曲したガブリエル・ヤレドと再びタッグを組んだ。前作では直接会うことがなかったが、ドランは本作では「お互いにもっと物理的に会って関わっていくべきだと感じていた」と語る。
撮影が始まる数ヶ月前、ヤレドが送ってきたワルツを聞いた瞬間、ドランはすぐにその曲を最後のシーンで使いたいと思ったという。「すべての描きたい感情が見えたんだ。他人の言葉に耳を傾けることができない人や、将来に起こることが予期できない人の無力さ、そして本来当たり前のようにある足元の地盤が思いも寄らず崩れ落ちた時の気持ちだ。」 
そして撮影後、ロサンゼルスで編集作業をしていたドランのもとにヤレドがやって来た。ヤレドの滞在はたった6日間だったが、ドランは編集したばかりの新しいシーンを音楽で彩るヤレドを見守った。「たくさん話をしたし、エキサイティングな時間を過ごし、あらゆることに感動した。はしゃいだし、もちろん停滞することもあった。パラマウントの近くにある可愛いレストランでいつも同じタリアテーレ・ボロネーゼを食べて、長い散歩をして、ボードゲームで遊んだ」とドランは回想する。

独自の演出を楽しんだ個性派俳優たち
ルイの兄の妻カトリーヌを演じたコティヤールは、その場でどんどん変えていくドランの演出を、一緒に“ライブ・アート”を作っているようだったと語る。数多くの現場を経験している彼女が、「他にはないユニークな手法よ。私にとって初めての経験だったわ」と称賛する。
ルイの妹のシュザンヌ役を演じ、「全世界共通のテーマである家族について考えるこの映画は、とても身近でリアル」と称えるレア・セドゥは、ドランの演出についてはこう説明する。「とても熱心。一緒に泣いて、笑ってくれる。彼自身がとてもワクワクしていて、エネルギーを分けてくれるの。とてもハッピーで、決して退屈することはないわ。」
母を演じたナタリー・バイも「ドランは私たちと一緒に演技をするの」と指摘する。「私はたくさんの映画に参加してきたけれど、グザヴィエは別格よ。」
 ルイの兄アントワーヌに扮したヴァンサン・カッセルは、「愛している人に愛しているということは、とても難しい。だから、アントワーヌのことは理解できる。僕とは全く違う人物だけれどね」と説明する。また、ドランについてはこう語る。「自分に嘘をつかない男だ。そこには彼独特のスタイルがあって、僕らには理解不能な何かがある。彼ならではのカメラの動かし方、ストーリーの語り方、感情の引き出し方があるんだ。ロジックは存在しない。次第に形になり、周囲にはその仕上がり像が曖昧だったのに、完成した瞬間、打ちのめされるんだ。」

セリフがほとんどない主人公
主役の作家ルイ役を演じたギャスパー・ウリエルは、「この上なく幸せな経験だった」と語る一方で、会話は家族に任せ、自身はほとんど語らないルイ役は難しかったとも振り返る。ドランはウリエルに送った脚本に、小さな手書きメモを添えた。そこには“この役をオファーするのに少々気まずさを感じている。ほとんどセリフのない役に、驚くと共にがっかりするのではないかと恐れている”と書かれていた。「確かに、ほとんど話さない役というのはとても手強い。でもそこにやりがいがあった」と打ち明けるウリエルは、否応なく迫る死に直面しているルイを、歩く死人、幽霊のような存在として表現しようとしたという。
セリフが少ないために、ウリエルにとって微妙な演技をキャプチャーしてもらえるかどうかがすべてだった。「今回のような至近距離での撮影では、呼吸、まばたきのひとつひとつをカメラが捉えてくれるという感覚が素晴らしかった。」
ウリエルは、ルイはラガルス自身とリンクする部分があり、若くして成功したアーティストが家族の元に帰るという点で、もしかするとドラン自身の経験も投影されているのかもしれないと指摘する。








ドラン先生は昨年「【映画評】神のゆらぎ」、一昨年「【映画評】「Mommy/マミー」」「【映画評】エレファント・ソング」、その前の「【映画評】トム・アット・ザ・ファーム」と、毎年欠かさず観ている勘定。当方ノンケですが、観るたびに魅了されますね。

さてさて。ここまで憎しみと怨情に満ち満ちた戦慄の「のまネコ」見たのは初めてです。











マリオン・コティヤールは先月観た「【映画評】マリアンヌ」とは打って変わって清楚系主婦。本当カメレオン女優ですねぇ。
レア・セドゥは安藤サクラ、江口のりこと、かしまし娘入っていました。
ラジカルなヴァンサン・カッセルと対をなす抑制した演技のギャスパー・ウリエル非常によかったけど、なんでドラン先生は自分で演じないんだろう?

ということで美しいカメラワークと、心がささくれ立つ会話劇が印象的な作品でした。徹底して家族や母に拘っているね。体力がない時に観たら神経消耗して倒れそう。

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満足度(5点満点)
☆☆☆☆

尚、本作はカンヌグランプリ作品ですが、ハリウッド(オスカー)が徹底してグザヴィエ・ドラン無視しているのが面白いよね。個人的にはカンヌとサンダンス作品は念入りにチェックしています。相性的にほぼハズレがない。もうすぐ公開されるパルムドール「わたしは、ダニエル・ブレイク」も楽しみですね。個人的には「【映画評】ディーパンの闘い」「【映画評】雪の轍」もイマイチだったので期待しています。

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(1)映画 
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コメント
MobyのNatural Blues久しぶりに聞いたけど名曲だわ。
久しぶりに泣いた。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月16日 10:45
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