2017年03月06日

一流ジャズ・ミュージシャン菊地成孔先生「ラ・ラ・ランドは一種の変形ヤオイ。本作程度で喜ぶのは恋愛経験乏しく、ミュージカル無知、音楽無知、ジャズについては更に無知な人」

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


 

La La Land [Blu-ray + DVD + Digital HD]
La La Land [Blu-ray + DVD + Digital HD]

こちらの続き。
【映画評】ラ・ラ・ランド

ごめん。菊池先生が仰る「ヤオイ」の意味が全然分かりません。ユーリやおそ松さん好き=ヤオイ=BLの死語と思い込んでいましたが、最近は違う使い方しているの?

菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評:世界中を敵に回す覚悟で平然と言うが、こんなもん全然大したことないね | Real Sound|リアルサウンド 映画部

菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評

(前略)『ラ・ラ・ランド』程度で喜んでいる人々は、余程の恋愛飢餓で、ミュージカルについて無知で、音楽について無知で、ジャズについては更に無知という4カードが揃っている筈、というかデイミアン・チャゼルの世界観がフィットする人々である。とするのが最も適切だろう。

(中略) 本作は一種の変形ヤオイであり、うっすーいオタク仕様である。

 後者から説明する。特別ミュージカルに詳しいわけでもない筆者にですら『雨に唄えば』『巴里のアメリカ人』『バンド・ワゴン』というクラシックスから『女は女である』『シェルブールの雨傘(ネタバレになるが、エンディングはまるっきり『シェルブール』と同じ)』といったフレンチ・ミュージカルから『オール・ザット・ジャズ』『世界中がアイ・ラヴ・ユー』といった、ポストモダンからミュージカル・リスペクトの金字塔『glee/グリー』まで、有名どころから臆面もない引用がちりばめられているのがわかり、まあなんというか、間違って成功した若者の無邪気で無知な万能感に満ちているのだが、まあ、誰も指摘しないであろう、一瞬の『オール・ザット・ジャズ』ぐらいかな、気が利いてるのは。という感じで、温さがハンパねえすもの。

 「ヤオイ」に関しては難しい。ヤオイは特殊な人々の特殊なプロダクツではなく、人類全体、特に20世紀人の属性の中でも最大のものだ。

 オペラを全幕見るのがかったるい。なのでアリアだけレコードで聞く。映画全部みるのがかったるい、名シーンだけ編集する。ポルノ映画は面倒臭い。AVになる。フルコースは胃がもたれる。スープとシメだけで良い。こうした一連の、カムショット集は皆ヤオイであると言える。

 筆者の私見はこうだ。飯とポルノだけはヤオイで良い。でも、長編劇映画はダメでしょヤオイじゃ。っていうか、物語というのは、そもそも反ヤオイなのだ(「逆だろ! ヤオイが反物語だ」といわれるだろうが、今やこっちでしょ。あらゆるカルチャーの足場は)。

 さらに指摘が来る。「MGMミュージカルなんてヤオイコイコイですよね?」その通りだ。アステアとロジャースが出会うまでのシーンなんてかったるい、ダンスシーンだけを編集しよう。下手したら、映画におけるヤオイ、という視点の設定が許されるならば、それはポルノ映画とミュージカルに他ならない。

 だが、この映画は、ヤオイとして、取ってつけたようなストーリーが存在し、名人によるダンスシーンだけを見せようとする、ザッツ・エンターテインメントではない。一流の演技力を持つ名優に、唄わせ、踊らせること、この事の価値は今、ハンパじゃない。面倒だから書かないが、完全にそういう時代なのだ。そうでしょ実際。じゃないと『逃げ恥』の説明がつかない。アイドルのスキルが高値安定している限り、この傾向は続く。チャゼルマナーは、なんとミュージカルに適合しており、『セッション』は、潜在的な恐怖ミュージカルコメデイで、『ラ・ラ・ランド』はその顕在化なのである。

 しかしこの映画の、目もくらむような多幸感と恋の気分にうっとりするミュージカル・シーンは、しつこいようだが、還元すれば、良く出来たTVCMが5本ぐらい束ねられた動画コンテンツのポーションとクオリティに過ぎず、代わりに、「人間ドラマ」の部が結構がっつり入っている。恋愛映画としてもしっかり見せたいのである。

 だが、人間の心の動きが全く書けず、ショックと萌えだけで映画の時間を進めるしかないチャゼルマナーで、男女の恋の機微を描けるわけがない。勢い、ラブストーリーの部は、何が言いたいのか、なんでこうなっちゃうのか、線的な流れが全くわからない。「男に才能を見出され、成功する女」というヤオイに再還元されるだけだ。(後略)

「飯とポルノだけはヤオイでよい」「物語は反ヤオイ」「ヤオイとは特殊なプロダクツでなく、20世紀の人的属性では最大のもの」だそうです。全然分からん。なんなのヤオイって?

La La Land [Blu-ray + DVD + Digital HD]La La Land [Blu-ray + DVD + Digital HD]

Lionsgate
Sales Rank : 25

See details at Amazon
by G-Tools
Moonlight [Blu-ray]Moonlight [Blu-ray]

Lionsgate 2017-02-28
Sales Rank : 16

See details at Amazon
by G-Tools

Posted by kingcurtis 固定リンクComments(14)映画 
Edit








コメント
「ヤマなし・オチなし・イミなし」という本来の意味合いで使ってるのかな?
いや、それでもよく分からんですが
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月06日 16:49
インスタントって意味に置き換えたら少し通じるのですが
本来の意味、初めて知りました。ありがとう
Posted by bob at 2017年03月06日 16:54
カムショット集なんていってるくらいだから、原稿書くよりマスかいてばかりの人なんじゃなかろうか。
しかし、こういう馬鹿でも文筆業できちゃうの?温い業界だねw
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月06日 18:53
"素人"やスマホを抜いたら映画見る人もこれら記事を見る人も居なくなって遂には自らやその分野が駆逐されてしまうのだから、全人類職業的炎上商法時代も考えものですね。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月06日 20:06
やまなし、いみなし、おちなし の創作物を作る=同人作品という意味でしょうか。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月06日 21:18
BLものの同人誌で、初めの頃はストーリー重視の本格的な作りのものが
ありがたがれた時期もあったのかもしれませんが
だんだんと腐女子の皆さんも刹那的になっていき
「かっこいい男同士がヤってればいい」と見の蓋もない同人誌が売れるようになり
それを「ヤマなし・オチなし・イミなし」と卑下した話。
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月06日 21:50
むしろ日本の映画監督w連中が売れたアニメを叩いているのと同じに見えるw
ミュージカルオタクが自分が好みじゃないコンテンツにライトな
消費者が飛びついてるの見てヒステリー起こしてる感じ?
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月07日 05:50
※1で書かれてるように「ヤマなし・オチなし・イミなし」の意だと思う
ただし、オタ界隈でのそれはBLを意味する隠語であると知らないんだろう
文字通りの意味だと思い込んでる
確かに使われだした頃はまさにそんな下らない話の事を指していた
しかし、間もなくそこから転じて「終始ヤッてるだけ、またはストーリーらしきものがあってもヤルまでの前フリに過ぎないBL」を指すようになった
今じゃほぼ後者の意味しかない
使い方から察するに、恐らくは80年代に覚えたんだろう。その時点で知識が止まっている

今オタ界隈でどう使われてるかの変遷を知らず迂闊に使うのは、どうも居心地が悪いというか、他人事ながら恥ずかしい
Posted by 名無し at 2017年03月07日 11:02
ウィキペディアを見てみたら「やおい」の歴史が懇切丁寧にまとめられていました。
日本の重要な文化なんですなあ
Posted by 名無しさんはデマに苦しんでいます at 2017年03月07日 21:13
見せ場だけ集めたような映画と言いたいのかな。
Posted by ぬる at 2017年03月08日 05:06
そもそもヤオイ自体もう殆ど使われてない言葉。
まだ腐女子という言葉もなく、彼女らは私達アタマが腐ってるよねーなどと自虐的に言っていた程度だった頃、そうしたものを愛好する「趣味」の存在自体が世間には認識されていなかった。
そうした時代にヤオイの意味が一般にまで伝わりそうな兆しが見られたため、電車や店の中など公共の場で一般人にわからないような形で趣味の話を交わすために、新たな隠語として「BL」が生まれた。
善し悪しは別にして腐女子腐男子の存在もそれなりに知られるようになった今では、ヤオイはBLの昔の呼び方に過ぎなくなった。
Posted by    at 2017年03月08日 09:26
要は「ラ・ラ・ランドは『忙しい人のための○○』『3分でわかる○○』みたいな映画で、しかも名作映画の寄せ集めに過ぎない」と言いたいんだろう。
確かに、名台詞や名場面など、さわりだけを見て全体をわかった気になる今の風潮はどうかと思う。
アーティストが出したアルバムを切り分けて好きな曲だけ聴くのはいいが、その聴き方でアルバム全体のコンセプトや曲の積み重ねで表される厚みまでもを完璧に把握しましたと言ってしまうのは、やはりおかしい。
ただ、ラ・ラ・ランドが実際そういう映画なのかまでは、自分は観ていないのでわからない。
いい映画のいい場面ばかりをツギハギして作ればそれなりには面白かろうが、元ネタを知らないからいいとはならないので、そうでない事を願うばかりだ。
Posted by     at 2017年03月08日 09:42
気になったので、ジャズ界でのラ・ラ・ランド評まで調べてしまった。
どうもパッチワーク的な作り方だけが酷評の理由ではなく、少し複雑な話のようだ。
この監督、作品を発表する度にジャズ界の人達に叩かれ、嫌われている。
数多ある理由からひとつだけざっくり書けば、描かれているジャズ及びジャズ界観が古い、というものだ。
ジャズが新しいものを取り入れず進化しない死にかけの音楽であるかのように描かれていると、ジャズミュージシャンや関係者の多くは激怒していた。
私は「マニアと言えるほどのジャズ好きはこれがジャズだと決めつけて決して譲らない、偏狭で頑固で新しいものは叩くおじさん」というイメージを勝手に抱いていた。
ジャズの要素をR&Bなど他ジャンルが取り入れることはあれども、逆はあまりないと思い込んでいた。
なので、実はジャズ側もヒップホップまで取り入れたりしているとはこれらの声を調べるまで知らず、今更ながら驚いた。
酷評している人達が指摘しているラ・ラ・ランド監督のジャズ観も似たようなものとのことで、だのにジャズをテーマに映画を撮り続けるものだから、まあ嫌われるのも無理はないのかなと。
一方でジャズ界も新しいものが出る度に叩き、やがてそれが吸収され認められた頃に次が出てきたらそれを叩く、という流れも繰り返されてはいるようで、この辺も絡んで少々ややこしい。
一部を見るだけでは、ラ・ラ・ランド評の全体像は見えて来ない。
とりあえず、ジャズは他ジャンル同様に新しい混ぜものを叩きはするものの、ちゃんと吸収し進化してきている生きた音楽であることはわかった。
Posted by 名無しさんですよ at 2017年03月08日 10:41
今更ながら追補があるのに気付いて読んだらものすごく納得できた。
吉田豪のと併せて読むと一層面白い。
Posted by   at 2017年03月26日 17:47
  ※ コメント認証制です。船井総研を誹謗中傷するコメント不可。自演、連投、電波、犯罪、差別、スパム、オカルト、船井幸雄、URL記述も不可。
※ 全角換算400文字超を入力するとコメント飛びます。要分割投稿。