2016年11月25日

【映画評】オマールの壁

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オマールの壁 [DVD]
オマールの壁 [DVD]

オールパレスチナ映画。前評判通りの良作でした。

映画『オマールの壁』公式サイト

イントロダクション
一生囚われの身になるか、裏切者として生きるか ──1人の青年のぎりぎりの選択。パレスチナの今を生き抜く若者たちの青春を鮮烈に描いた衝撃作。

2005年の『パラダイス・ナウ』で自爆攻撃へ向かう若者たちを描き、ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたパレスチナ人監督ハニ・アブ・アサドによる本作は、分離壁で囲まれたパレスチナの今を生き抜く若者たちの日々を、切実に、サスペンスフルに描く。カンヌ国際映画祭をはじめ、多数の映画祭で絶賛され、2度目のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート(パレスチナ代表)となった。スタッフは全てパレスチナ人、撮影も全てパレスチナで行われ、100%パレスチナの資本によって製作された。

ストーリー
思慮深く真面目なパン職人のオマールは、監視塔からの銃弾を避けながら分離壁をよじのぼっては、壁の向こう側に住む恋人ナディアのもとに通っていた。長く占領状態が続くパレスチナでは、人権も自由もない。オマールはこんな毎日を変えようと仲間と共に立ち上がったが、イスラエル兵殺害容疑で捕えられてしまう。イスラエルの秘密警察より拷問を受け、一生囚われの身になるか仲間を裏切ってスパイになるかの選択を迫られるが…。




謎の「壁」に関する説明があったのでご紹介。途中までは許可を得て登り、頂上付近はセットだそうで。

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パレスチナ人映画監督が語る、占領され“壁”で分断されることが人間に及ぼす影響|分離壁はイスラエルとの境界だけにあるのではない―映画『オマールの壁』 - 骰子の眼 - webDICE

分離壁
分離壁は(イスラエルとパレスチナの境界であるグリーンラインに沿って建っているのではなく)、パレスチナ自治区内を分断するように建っている。パレスチナの町や難民キャンプや村を分断する壁によって、パレスチナ人は友人や家族から切り離された。イスラエルは、パレスチナ人居住区を壁で囲い込んでゲットーを生み出している。それゆえ、私はこの映画で、登場人物たちが壁のどちら側にいるかを明確にしなかった。しても意味がないからだ。私の狙いは、無作為に壁が横断する仮想のパレスチナの町を描くことだった。

壁を越えること
壁を越えることは、パレスチナにおいては生活の一部だ。その手伝いを仕事にしている人間すらいる。分離壁は、イスラエルと西岸地区を隔てるためにではなく、実際にはパレスチナ人を分断するために建てられている事実を理解する必要がある。場所によっては、パレスチナ人の町を二分しているところもある。だから壁越えは日常茶飯事に行われ、その目的も多岐にわたる。仕事のため、家族に会うため、生きるため、そして愛のための場合もある。

パレスチナでの撮影
『パラダイス・ナウ』以降、パレスチナで映画を撮らなかった理由はいくつかある。まず、私は常日頃、パレスチナ問題について語っているわけではなく、創造の源はパレスチナ以外にもたくさんあるからだ。しばらくの間、他のさまざまなプロジェクトに関わっていて、エネルギーを取られていたことも大きい。『オマールの壁』の撮影は、ナーブルスで1週間、ナザレで6週間、ビサンで1週間行なった。スムーズに進むよう、壁を含めすべての場所で撮影許可をなんとか取りつけた。壁に関しては、ある程度の高さまで登る許可を得て、それより上での撮影には、ナザレに作ったセットを使った。パレスチナ警察当局の後ろ盾を得た西岸地区では比較的、撮影が楽だった。とは言え、問題は山積みだったが、映画の撮影とは総じてそういうものだ。当初からこの作品を、パレスチナ人のクルーだけで作りたいと考えていた。そのため、いくつかの部門のトップは初めて経験する仕事に取り組まねばならず、組織面や進行面で問題が生じることもあった。それでも、皆で障害を乗り越え完成に至り、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でプレミア上映されたことに感激している。

プロットが練りに練られているので、エンディング等なんかモヤモヤした感も残りましたが、下記コラムを読んだらすっきりしました。「壁」の件も含め、きっつい妊娠エピソード等もローカル背景の知識がないと、せっかく監督が巧妙に配置した点と線が繋がらないので勿体無い。
しかし「パレスチナ版ロミオとジュリエット」は言い得て妙。
映画『オマールの壁』が映すもの(1)パレスチナのラブストーリーは日本人の物語でもある | 川上泰徳 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
映画『オマールの壁』が映すもの(2)不毛な政治ではなく人間的な主題としてのパレスチナ問題 | 川上泰徳 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
パレスチナ映画『オマールの壁』の謎解き ※ねたばれ注意 : 中東ウオッチ by 川上泰徳

エンディングのその先に、愛するオンナと全財産を盗られたオマールはどう行動するんだろう?監督の前作「パラダイス・ナウ」(自爆テロに選ばれた若者の特攻前日譚)も凄まじいらしいので、近日中に鑑賞予定です。なんか繋がったのが見えるかも。

他方、なにかと話題の「この世界の片隅に」を筆頭に紛争人道系映画作品は良心的地球市民が大挙し押し寄せ人の米びつに手を突っ込むので辟易しますが、あれだけキャッキャウフフしていたパレスチナ紛争系はもう飽きたのでしょうか?当時より一ミリも改善されていないのに。

満足度(5点満点)
☆☆☆☆

尚本作は、最近立ち上がった「UPLINK Cloud」でオンデマンド配信されています。通常700円が12/2まで30%引で鑑賞出来るそうなので、映画館で観られない人は是非。尺も97分なのでダレないし安いし超お勧め。(要Vimeoアカウント)
Vimeo『オマールの壁』 をオンラインで鑑賞 | Vimeo オンデマンド

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(1)映画 | 中東
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コメント
リンク先のコラムが印象的でした。
才能のなさを政治的テーマで誤魔化さんとばかりに
無理やり首を突っ込んでくる人々の作品とは対照的なのですね。。
Posted by すしさしみんはデマに苦しんでいます at 2016年11月25日 14:20
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