2016年10月06日

【映画評】やさしいあなた

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やさしい女・白夜 (講談社文芸文庫)
やさしい女・白夜 (講談社文芸文庫)

サイコ・スリラーなベトナム映画。
昨年、デジタルリマスター版が上映されたロベール・ブレッソン監督作でもあるドストエフスキー原作「やさしい女」のベトナム版。物語の舞台をロシアから現代のベトナム地方都市に住むドメスティック・バイオレンス夫婦へ置き換えた2014年の作品です。

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Gentle (2014) - IMDb

やさしいあなた Gentle
2014年/ベトナム/98分
監督:レ・ヴァン・キエト

愛とは何かを問う文豪作品の映画化
若い女性がビルから飛び降りた。遺体の傍で夫は、妻の死の原因を理解しようとこれまでの出来事を回想する。文豪ドストエフスキーの『やさしい女』を、舞台を現代のベトナムに置き換え映画化。質屋を営む中年男性は、度々店を訪れる若い女性と結婚。しかし、次第にお互いの気持ちが微妙にすれ違い始める…。




こちらは長尺。



プロットは原作と同じく質屋。物語はロベール・ブレッソン版と同じく衝撃的なエンディングより始まります。両親を失い孤児となった主人公が従姉妹を頼りベトナム寒村で豚小屋同然の生活。口減らしから初老の性依存症男性へ売られる寸前、親子ほど歳が離れた相手ながら住み込みメイド完備の中流家庭に嫁ぐも、生活向上とは裏腹に潔癖症な夫の偏執的嫉妬から真綿で首を絞めるような展開が最後の最後まで続きます。

過度な寵愛による窒息から逃げるため外へ向かったのが「ボヴァリー夫人」ならば、内へ向かったのが「やさしい女」。共に思うのが、密室の男女間で澱のように溜まった感情のガス抜きを果たすのは懐妊、不妊であれば養子受け入れか公認不倫しか解決策はないのではと。

我々から見るとステレオタイプなベトナム人らしくない主演男優に対峙する典型的ベトナム美人の主演女優さんはなんと撮影時15歳(ロベール・ブレッソン版ドミニク・サンダは17歳)。本作が女優デビューだったそうです(従姉妹役いずれかが実母の由)。スクリーン越しに見る肢体も圧巻。これを二十歳前後の女優が演じると途端に嘘臭くなるでしょうね。

とはいえ世界的なポリコレブーム、ペドフィリア絶滅ムーブメントの中、純粋芸術としてもローティーン性行為描写はもはや先進国では絶望的で、本作での大胆描写を賞賛したいも、合わせ鏡の様に地下社会でのペド商品大量生産も漏れ聞かれ、なんだかなぁという複雑な気持ちもあり。

ということで、後からじわじわくる系の映画です。何時間でも語れそう。

満足度(5点満点)
☆☆☆

ロベール・ブレッソン版トレーラーを参考貼付。BD未発売。



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ドストエフスキー 井桁 貞義

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 | ベトナム
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