2016年06月06日

【映画評】ヴィクトリア

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Victoria [Blu-ray]
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こんな映画観たことない。
バードマン」なんちゃってワンカットでなくガチナマ撮り。エンドロール筆頭も主要キャストでなくカメラマンでした。

【公式サイト】映画『ヴィクトリア』

イントロダクション

ベルリンの街を疾走する全編140分ワンカットの衝撃
 2015年のドイツ映画界において最大のセンセーションを巻き起こした『ヴィクトリア』は、クライム・サスペンスというジャンルの形式を突き破り、あらゆる観客に未知なるレベルのスリルと臨場感を体感させる衝撃作である。ドイツのベルリンを舞台に、夜明け前のストリートでめぐり合ったスペイン人の女の子ヴィクトリアと地元の若者4人組が、予測不可能な極限状況へと突き進んでいく2時間余りの出来事を、全編ワンカットという驚異的な手法で描出。視覚効果などによる“見せかけ”のトリックに一切頼ることなく、スタッフ&キャストがベルリンの街を駆けずり回り、完全リアルタイムの撮影を成し遂げた映像世界は、まさに奇跡と言うほかはない。

 ベルリン国際映画祭では撮影監督ストゥルラ・ブラント・グロヴレンの仕事を讃える銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)など3賞を受賞し、ドイツ映画賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、主演男優賞、撮影賞、作曲賞の6部門を独占。東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門での上映時にも大反響を呼んだ“破格”の話題作の公開がついに決定した。

孤独な女の子のささやかな冒険が悪夢に変わるとき
 世界中のどこでも起こりうる若者たちの偶然の出会いから始まる青春映画のような物語は、後戻りできない“事件”が勃発する中盤以降、映画のムードやリズムを一変させ、怒濤の急展開を見せていく。登場人物が自転車や盗難車、エレベーター、階段、タクシーなどを利用しながらベルリン各地を慌ただしく移動する姿を、カメラはそっと寄り添うように、時に猛然と食らいつくようにして生々しく捉え続ける。

  5分、10分とカットせずにカメラを回し続ける長回し撮影は、時間的な持続性を保ちながら、その場に生じる緊張感や空間的な広がりを強調するうえで絶大な効果を発揮する。とりわけこの技法を大胆に導入したアルフレッド・ヒッチコックの『ロープ』やオーソン・ウェルズの『黒い罠』は有名で、アレハンドロ・G・イニャリトゥの『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』における擬似的な全編ワンカット手法が脚光を浴びたことも記憶に新しい。

 しかしアクロバティックな演出をあえて排除した『ヴィクトリア』には、ワンカットの撮影テクニックをひけらかす意図はない。異国の地で思いもよらない犯罪に巻き込まれたヴィクトリアが経験する冒険と過ち、歓喜と不安、愛と喪失。大混乱の逃避行のさなかにわき起こる切迫した感情を、ダイナミックかつ繊細に刻み込んだ映像は、観る者の心を激しく揺さぶってやまない。登場人物の愚かさも愛おしさも分け隔てなく見すえたワンカット演出の成果は、クライマックスにあふれ出す並外れたエモーションに結実している。

ドイツ人監督とスペインの新進女優の驚くべき挑戦
 この無謀とも思える企画に挑戦し、画期的な成功を収めた作り手は、長らく俳優としても活躍しているゼバスチャン・シッパー監督である。いわゆる完成台本は存在せず、シーンとロケーション、登場人物たちの大まかな動きを記したわずか12ページの覚え書きをベースに、140分ぶっ通しのベルリン・ロケを実施。ドイツ語とブロークン・イングリッシュが混在するセリフは俳優たちが即興的に発したもので、撮影中に起こった想定外のハプニングもカメラに収めていったという。また、全編出ずっぱりで主演を務めたライア・コスタは、1985年生まれのスペインの新進女優。親しみやすいチャーミングなルックスに加え、ヴィクトリアの壮絶な運命をノンストップで体現した渾身のパフォーマンスは、それが演技であることすら忘れさせ、あらゆる観客の目を釘付けにするに違いない。

ストーリー

眩い光がフラッシュする地下のクラブで、ひとりの若い女性が激しいダンスに身を委ねていた。3ヵ月前に母国スペインのマドリードを後にして、単身ベルリンでの生活を始めたヴィクトリア(ライア・コスタ)である。踊り疲れて帰路につこうとしたヴィクトリアは、夜明け前の路上で地元の若者4人組に声をかけられる。スキンヘッドのボクサー、ひげ面のブリンカー、童顔のフース、そしておしゃべり好きなリーダー格のゾンネ(フレデリック・ラウ)は、一見するとチンピラ風だが悪人ではないようだ。ヴィクトリアがドイツ語をしゃべれないため、ぎこちなく英語で会話を交わして意気投合した彼女たちは、コンビニでビールを調達してビルの屋上へ。そこでの他愛なくも愉快なひとときは、異国の都会で孤独を感じていたヴィクトリアにとって、久しぶりの温もりに満ちた時間だった。

 やがてヴィクトリアはアルバイト先のカフェで仮眠をとるため、ゾンネに店まで送ってもらうことにする。ゾンネにせがまれ、店内に置かれたピアノでリストの「メフィスト・ワルツ」を弾き始めるヴィクトリア。ゾンネはその見事な演奏に感嘆するが、つらい記憶が脳裏をよぎったヴィクトリアは浮かない顔だ。16年以上も毎日厳しいレッスンに明け暮れたのに、壁にぶち当たってピアニストになる夢を捨てたことを告白するヴィクトリアを、優しく励ますゾンネ。いつしかふたりの間には親密な感情が流れ出していた。

 カフェにやってきた仲間たちと合流したゾンネは、ヴィクトリアと再会を約束して車で立ち去る。しかし彼らは、まもなくカフェへ戻ってきた。何か重大なトラブルが発生したらしく、ゾンネとボクサーは気が高ぶり、フースは足取りがおぼつかなくなっている。ゾンネの説明によれば、ボクサーが刑務所に入っていたときに世話になった人物に借りを返すため、これからある“仕事”をしなくてはならないという。酔いつぶれたフースの代わりの運転手役を頼まれたヴィクトリアは「仕事が終わったら、ここに送り届ける」というゾンネの言葉を信用し、その依頼を受け入れるのだが、行く手にはヴィクトリアらの人生を一変させる悪夢のような事態が待ち受けていた……。




流れ的にはベルリン版「アメリカン・グラフィティ」
あれだけのセリフにも拘らず台本はたったの12頁の由。つまりほぼ全編アドリブということで本作の肝は136分ワンカット。登場人物が揃いも揃ってDQNなので感情移入も出来ず、日本人みたいなブロークン・イングリッシュを喋り現地ドイツ語が解せぬ主役のオランダ娘と同化しつつ、観客は彼らに寄り添うようまさに神の目線で冒頭からエンディングまで堪能出来ます。まさに本当のVR映画。そういう奇抜な手法に甘えることなく話の展開も先が予想出来ないので冒頭のグダグダシーン以降は観ている側の緊張も切れず、キャストも迫真の演技でして(そりゃそうでしょう。噛んだら壮大に最初から撮り直し)、ラストシーンにむせび泣く主人公の鼻水とかヨダレとか、あれは演技を超えています。ほっとして心の底から本当に泣いているのでしょうか。

そういう穿った考えに立ちますと、盗難車が動かなくなったシーンとか、直後の道を間違えバックを繰り返すシーンとか、そういうシナリオなのかアクシデントなのかよく分からない感じ。
出演者の方、カメラマンの方、本当にお疲れ様でした。前評判に違わず超面白かったです。

満足度(5点満点)
☆☆☆☆

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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(0)映画 
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