2014年09月30日

【映画評】ジャージー・ボーイズ

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Jersey boys [Blu-ray]
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初日の初回に馳せ参じましたが、ぎっしり満員。
まさかのタモリ倶楽部!全然知りませんでした。

映画『ジャージー・ボーイズ』オフィシャルサイト


http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/pdf/production_notes.pdf
「人の記憶は都合がいい」

みんな、その歌は知っている。サウンドも知っている。だが、その背景にあるストーリーを知っている者はほとんどいない。『ジャージー・ボーイズ』は、伝説的なグループ“ザ・フォー・シーズンズ”の栄光と挫折を描いている。発表から半世紀以上たっている曲もあるのに、彼らの歌はなぜ人々の心に残り続けているのかを観客に思い出させる本作では、一見、アメリカのさわやかな人気グループに思える彼らの意外な経歴も、明らかにされる。

本作が基づくトニー賞受賞ミュージカルは、世界中の観客の心をつかんで大ヒット。ブロードウェイ史上最長のロングラン作品のひとつとなり、米国内外を問わず、上演されたどの都市でも熱狂的な反響を呼んできた。そして今、クリント・イーストウッド監督がストーリーのカンバスを広げ、喜びと傷心、音楽と思い出の数々を、世界中の映画ファンのために大スクリーンで描く。

グレアム・キング、ロバート・ロレンツとともに本作では製作も務めるイーストウッドは、粋なスーツを身に着け、見事な4パートのハーモニーを奏でる彼らの背景にあるドラマにいちばん惹かれたと言う。「ザ・フォー・シーズンズの音楽は昔からとても好きだったので、改めて聴き直すのはきっと楽しいと思っていた。だが、私が主に興味をもったのは、最高の環境で育ったとは決して言えない、半分不良みたいな若者たちがどうやって成功したのか、という点だった。彼らはギャングのそばで育ち、ケチな犯罪などにも手を染めていた。刑務所に入った者さえいた。だが、その後、音楽が彼らをそこから引っ張り出したんだ。彼らは必死に努力する目標を手に入れた」製作のキングは、舞台版を 30〜40 回観たそうだが、その映画での可能性に気づくのにはそんなに長くかからなかったそうだ。「私は初めて観たときに、この作品にすっかり惚れ込んだ」と彼は言う。「ザ・フォー・シーズンズの歌を知っていたのに、その背景にあった彼ら自身のストーリーを何も知らなかったなんて、我ながら信じられなかったよ。『ディパーテッド』や『ザ・タウン』、あのジャンルの映画を作るのが大好きな私のような者にとって、まさに理想的な作品だった。というのも、マフィアがいて、都会でうまく生き抜こうとするキャラクターたちがいて、しかも、あの時代の歌が盛り込まれるんだからね。すばらしい映画ができる要素が全部詰まっていた」

ザ・フォー・シーズンズのサウンドでもっとも際立つ要素といえば、間違いなくフランキー・ヴァリのファルセット・ボイスだ。本作でヴァリを演じるのは、舞台版でこの名シンガーを演じてトニー賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングで、彼はこう語る。「このグループの楽曲は、あの時代のさまざまな側面の一部だが、歌詞は現代の誰にでも通じるものがあり、メロディーはつい口ずさみたくなる。でも、それにも増して彼らの成功への過程の背後にあるストーリーこそが、とても興味深いんだと思うよ。彼らは向こうっ気が強くて、荒っぽい生活を送っていながらも夢を抱いたニュージャージーの若者で、その街で培ったエネルギーを録音スタジオで爆発させ、大成功を収めた。貧乏から大金持ちへ、典型的なセクセスストーリーだよ」

イーストウッドはこう語る。「フランキー・ヴァリから聞いたんだが、あの時代にあの界隈でシンガーとして活動するのは大変だったそうだ。街灯の下で歌ったりしながら、彼らはバカにされることも多かった。もちろん、大ヒットを飛ばすまでだが。でも、彼らはそこに至るまでにとても多くの困難を耐え抜かなければならなかったんだ」そして、困難は続いた。製作のロバート・ロレンツはこう語る。「やっと成功をつかんでも、彼らの苦労は終わらなかった。富と名声は、個人的にもキャリア的にも思いがけない新たな問題をもたらしたんだ。彼らは、あのニュージャージーの街から抜け出そうとしたんだが、今も昔も、あの街の影響からは決して完全に逃げられないことを思い知ったんだよ」

「彼らの音楽と人生を並べてみると、じつに興味深かった」と語るリック・エリスは、マーシャル・ブリックマンとともに本作の脚本を執筆。舞台のミュージカル版台本ではトニー賞にノミネートされた。エリスはこう続ける。「彼らの歌は、アップビートなすばらしいポップスの名曲ばかりだが、歌っている彼らはみな、生きていくのが過酷な環境で生まれ育ち、そこで築かれた絆は鉄のように固い。彼らには血縁関係はないが、家族同然の関係の濃密さがあり、だからこそときには、本物の家族にありがちな“機能不全状態”に陥ることもあるんだ。僕たちとしては、ザ・フォー・シーズンズの楽曲に彼らの人生の節目ごとのランドマークのような役割を果たさせながら、そのストーリーをできるだけしっかり伝える脚本にしたかった」

製作のキングが、イーストウッドに本作の監督を打診した主な理由のひとつが音楽だった。「クリントはすばらしいフィルムメーカーで、彼が音楽、とくにジャズの愛好家だということを私は知っていた」とキングは語る。「ザ・フォー・シーズンズのサウンドは、ジャズとビッグバンド時代に生まれているので、これはクリントの“操縦範囲”だと私は思ったんだよ。そしてふと思いついて、彼に脚本を送ったところ、2日もたたないうちに彼から電話があり、やりたいと言ってくれた」その当時、イーストウッドはまだ舞台版を観ていなかったのだが、たて続けにラスベガス、サンフランシスコ、そしてブロードウェイ公演を観た。それは結果的に、彼にとっての最初のオーディション・セッションになったのだ。

ミュージカルの映画化にあたり、フィルムメーカーたちはキャスト数名を含め、舞台版から数多くの人材を起用した。フランキー・ヴァリ役のジョン・ロイド・ヤングに加え、エリック・バーゲンとマイケル・ロメンダが、舞台版の全米ツアーで演じたグループのオリジナル・メンバーであるボブ・ゴーディオ、ニック・マッシ役を映画版でもそれぞれ演じた。そして、グループのオリジナル・メンバーの最後のひとり、トミー・デヴィート役には、舞台版は未経験のビンセント・ピアッツァが選ばれた。また、ニュージャージーのギャングのボス、ジップ・デカルロ役にイーストウッドが起用したのは数々の賞に輝く名優クリストファー・ウォーケンである。

スタッフとしては、オリジナル舞台版の音楽監督ロン・メルローズが音楽顧問として本作に参加し、振り付けのセルジオ・トゥルジーロも加わった。フランキー・ヴァリとボブ・ゴーディオ本人は製作総指揮を担当し、ゴーディオは作詞家のボブ・クルーとともに、ザ・フォー・シーズンズの忘れがたい名曲の数々の作り手としてクレジットされている。
そして舞台版からは、意外なある要素がそのまま採用された。俳優たちがいわゆる“第4の壁”を破っているのだ。舞台で観客に問いかける演出をするように、映画でも、カメラに向かって、つまり、観客に話しかけている。「ザ・フォー・シーズンズの各メンバーが、それぞれの視点からストーリーを語る」と脚本のエリスは説明する。「この構成がスクリーン上でうまくいくかどうか確信がなかったんだが、幸運にも、クリントは天才だからね。これは興味深い構成であり、キャラクターたちが時々、直接語りかけると、観客はぐいっと惹きつけられるものだ。この映画が直接的な、相互作用的な体験となり、観客は心情的にストーリーに引き込まれる」

同じく脚本のマーシャル・ブリックマンはこう付け加える。「ストーリー展開のうえでも、その設定や場所の点でも、映画は演劇より遥かに融通が利くので、僕たちはキャラクターたちの世界をより深く掘り下げ、もっと見せることができた。そして彼らの名曲の数々がストーリーをつねに前に進めてくれたんだ」製作のキングは、この 40 年間を通して数多くの映画のサントラで使われてきたり、現代的なリミックスをされたりして、今の人々も彼らの歌を“知っている”のだと指摘する。「彼らの音楽がこれほどまでに時代を超越していることには驚かされるよ。ほんの数年前、私の子供が(ノルウェー出身のヒップホップ・デュオ)マッドコンの『ベギン(Beggin’)』を聴いていた。それがもともとザ・フォー・シーズンズのヒット曲だとはまったく知らずにね」

イーストウッドはこう語る。「ザ・フォー・シーズンズにはすばらしい曲がたくさんある。『シェリー(Sherry)』『悲しきラグ・ドール(Rag Doll)』『瞳の面影(My Eyes Adored You)』『恋はヤセがまん(Big Girls Don’t Cry)』『恋のハリキリ・ボーイ(Walk Like A Man)』『君の瞳に恋してる(Can’t Take My Eyes Off You)』……。そして、ちょっと聴けばすぐにザ・フォー・シーズンズの曲だと分かるんだが、それでもそれぞれに明らかな違いがあった。毎日撮影していると、そのたびに新しいお気に入りの曲ができるんだ。彼らが『悲しき朝やけ(Dawn)』を歌うと、みんな、ずっとそれをハミングし続けたものだよ。そして、別のシーンで『悲しきラグ・ドール』を歌うと、今度はそれをずっとハミングしてしまう。じつに楽しかった」




監督のインタビュー動画ありました。
C・イーストウッド監督が新作を語る10分超のインタビュー映像が公開!|ニュース@ぴあ映画生活

まさかあの、バイ・バイ・ベイビーもフォーシーズンズだったとは。恥ずかしい話、フォーシーズンズは「シェリー」と「君の瞳に恋してる」しか知りませんでした。



役者さんはクリストファー・ウォーケン以外は無名ですが、ほぼ全員がミュージカル版の役者だそうです。だから吹き替えもなし。エンディングのミュージカルシーンも(イーストウッド作品としては)ベタな気がしましたが、いま考えるとあれこそがこの作品の「肝」だったのかなぁ。

とまれ、クリストファー・ウォーケン然り、イーストウッド然り、あと何本の作品に名を残すのか、指折り数えて状態となっていますが、くれぐれも体調管理には留意してくださいますようお願い申し上げます。
それと半月前(2014.09.12)に本作ホモ役で登場された音楽プロデューサーボブ・クリューさんが亡くなったそうです。r.i.p.

満足度(5点満点)
☆☆☆☆

育ちの悪さがフィーチャリングされていたので、唐突に往年の「リッチー・バレンス」映画思い出しました。
ルー・ダイアモンド・フィリップスも最近見ませんね。

追記。エンディングが公開されていました。



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Posted by kingcurtis 固定リンクComments(5)映画 | 音楽
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コメント
本日、鑑賞しました。平日の午後12時半の回ですが、座席は半数以上が埋まっておりました。満足しました。クリント・イーストウッド作品にハズレなしです。 
Posted by worldwalker's weblog(・∀・)! at 2014年09月30日 18:09
> 本日、鑑賞しました。平日の午後12時半の回ですが、座席は半数以上が埋まっておりました。満足しました。クリント・イーストウッド作品にハズレなしです。 

あらご無沙汰。
映画評はあと、リスボンに誘われて、クイーンオブベルサイユ、柘榴坂の仇討ちを溜め込んでいます。
Posted by bob at 2014年09月30日 18:16
本日は「ファーナス 訣別の朝」を鑑賞しました。佳作かと思います。妻はこういう映画は嫌いと言っていましたが。次の日曜日には「アバウト・タイム」を鑑賞する予定です。
Posted by worldwalker's weblog(・∀・)! at 2014年10月01日 14:31
登場人物が観客に向かって話しかける映画は「アルフィー」とか「フェリスはある朝突然に」とか、面白い映画が多いと思う。
Posted by 6号 at 2014年10月04日 10:34
話はそれますが。

最近イーストウッドが「戦争を美しく語るものを信用するな、彼らは決まって戦場にいなかったものなのだから」と語っているかのような画像をネット(いわゆる反集団自衛権周り)で見かけるようになり、違和感があったのですが、調べてみると2006年11月6日朝日新聞夕刊に掲載された沢木耕太郎の時評「銀の森へ」の「父親たちの星条旗」の批評文の一節でした。これってイーストウッドにも沢木耕太郎にも失礼だと思うんだけど。もしよかったら取り上げてください(小声)
Posted by 名無しのキンペーちゃん☆ at 2014年10月12日 11:32
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