2014年03月01日

「ビットコインは転譲手形」〜通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄〜

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ビットコイン解説本
ビットコイン解説本

ソース元は激しく長文。ビットコインがいい悪い以前の話として、これは何なのか?が明快に書かれています。
但し、財務の基礎が分からん人が理解するにはちょっとハードル高いか?

【新連載】ビットコインは社会革命である――どう評価するにせよ、まず正確に理解しよう|通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄|ダイヤモンド・オンライン

第1章 ビットコインを理解しよう

ビットコインは「きわもの」ではない

「ビットコイン」に対する関心が、急速に高まっている。これは、インターネット上で使われている仮想通貨だ。

 日本のマスメディアは、これをどう評価するかについて態度を決めかねているが、概して言えば、ネガティブなスタンスだ。

 よくても「まったく斬新なものだが、今後の成り行きが注目される」とか、「規制・監視が必要」などという類の、腰の引けた扱いだ。悪ければ「きわもの」「詐欺」「犯罪の道具」「投機の手段」であるとされる。「したがって取り締まるべきだ」という結論になる。

 こうした評価の根底にあるのは、「責任ある主体が発行・管理しない通貨など、広まるはずはない」「どこかに技術的または経済的な欠陥があるに違いない。だから、ビットコインを所有したり使用したりしていれば、いつか大損害を被る」という考えだ。

 しかし、実は、深刻な攻撃を受けているのは、既存の社会制度なのである。ビットコインの意義をそうした視点から取り上げたものは、私の知るかぎりでは、日本のマスメディアにまだ登場していない。また、ビットコインの潜在的可能性に注目し、それが社会をいかに改革しうるかを論じたものもない。

 この連載では、「ビットコインが何をもたらすにしても、それは通貨史上の大きな革命であるばかりでなく、まったく新しい形の社会を形成する可能性を示した」との認識に立ち、ビットコインの仕組みを解説し、それがもたらしうるものについて論じることとする。

(中略)

第2章 電子コインとは電子裏書の連鎖である

ビットコインは手形の裏書譲渡と同じ

 ビットコインの仕組みを理解するには、その基礎になった「中本論文」Satoshi Nakamoto,Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash Systemに立ち戻るのがよい。

 著者は、「1つの電子コインは、連続するデジタル署名のチェーンと定義される」としている。

 この簡潔な言葉で、電子コインの本質が見事に説明されている。日本人であれば、「これは約束手形の裏書譲渡と同じだ!」と、ただちに理解できるだろう。

 約束手形に裏書して譲渡すれば、その見返りに商品などを受け取ることができる。そして、原理的には、裏書を繰り返すことによって、その手形はどこまでも流通していく。これは、日銀券や硬貨という「法貨」(法定通貨)で支払いをしているのと同じことだ。

 ビットコインの理解には、このように手形裏書譲渡とのアナロジーから出発するのが最もわかりやすいと思う。ビットコインに関する説明はあまたあるが、こうした説明法が見られないのは、不思議なことだ。

 ビットコインに関わっているのはコンピュータ・サイエンスの専門家が多く、現実の商取引にはあまり関心がないからだろう。あるいは、ビットコインが最も多く使われているアメリカにおいて、手形があまり使われていないからかもしれない(なお、手形の仕組みについての基礎的な事項は、全国銀行協会「お金に代わる働きをする手形・小切手」を参照)。

 誤解のないように付け加えるが、私は、「現実の世界で、約束手形が裏書の連続で法貨のように流通している」と言っているのではない。

 実際には、約束手形は裏書譲渡されるのでなく、銀行で割り引かれて現金化される場合がほとんどである。何度も割り引かれて流通している手形は、「銀行が手を出せないような危険な手形」「スジ悪手形」と見なされることが多い。

 しかし、これは、手形が法貨のように流通しえないことを意味するものではない。現在存在している手形がいくつかの点で不完全なために、流通しないのである。

手形も個人が振り出し、資産の裏付けはない

 しばしば、ビットコインの特徴としてつぎの2点が挙げられる。

(1)政府・中央銀行や特定の発行会社などの「信頼性のある主体」が発行・管理しているのではない。

(2)金などの実物資産の裏付けがない。

 ビットコインがこうした性質を持っているのは事実である。しかし、これらの点では約束手形も同じだ。

 まず、発行・管理主体について。ビットコインに信頼性のある発行・管理主体が存在しないのは事実である。「信頼性がある・ない」どころではない。そもそも発行・管理主体が存在しないのだ。しかし、約束手形も、「信頼性のある主体」が発行しているわけでは、必ずしもない。手形の振出人は、普通の個人または法人だからだ。

 実際の取引では、銀行で交付される「統一手形用紙」が用いられており、それを得るためには、銀行に当座預金を持っている必要がある。したがって、「銀行の存在が手形の信用性を担保している」と言われるかもしれない。しかし、原理的に言えば、手形は統一手形用紙のものである必要はない。実際、統一手形用紙が導入されたのは1965年のことであり、それ以前は、文房具店などで売っている手形用紙を用いるのが普通だった。

 つぎに、資産の裏付けについて。ビットコインに資産の裏付けがないことは事実である。しかし、手形の場合も資産の裏付けはない。当座預金の残高が不足していても、手形を振り出すことができる(そもそも、残高が不足しているからこそ、小切手ではなく、約束手形を振り出すのである)。なお、政府が発行する硬貨や日本銀行券の場合も、資産の裏付けはない。

 そして、手形が不渡りになったとしても、刑罰を加えられるわけではない。信用を失う(そしてたぶん倒産する)だけのことだ。だから、手形制度の維持に国家権力は必要ない。国家権力のないコミュニティでも、手形を用いることはできるだろう。

 以上で述べたことをまとめれば、つぎのようになる。

 信頼性のある発行・管理主体が存在せず、資産の裏付けがないような支払手段は、約束手形という形で、これまでも存在した。単に存在しただけではない。少なくとも日本では、商取引の支払手段として(小切手と並んで)これまで重要な位置を占めてきた。今後も、少なくとも当分の間は、そうあり続けるだろう。つまり、手形は、支払手段の主流であったし、いまでもそうであるわけだ。

 ビットコインは、そうした「主流的支払手段」の新種であるにすぎない。したがって、この点に関するかぎり、ビットコインはなんら新しいものではない。

(以下略、リンク先参照)

ということでぼんやりしていた概念がご理解頂けたかと思います。
問題は担保でして、リアルの支手の場合、振り出し銘柄が脆弱なら敢えて「回し手形で貰う」という商習慣の知恵がある。債務者にもリスクはありません。貨幣価値も変動しない。

翻り、立ち位置によっては無記名債券に等しいビットコインの場合、「振出人が飛ぶ」という概念は「交換所が飛ぶ」で正しい?
貨幣価値の昇降要因(予測)というのがほぼブラックボックス?
簡便で高セキュリティな「ポスト・ビットコイン」が誕生した場合、「旧ビットコイン」価値暴落も必定?更に仕込み?
取引市場責任者が保険掛けしているならOKですが匿名市場なので馴染まず、市場がいつ物理的に閉鎖されるかも誰も分からず?
胴元はだれ?

希少ドメインの売買ならNICが存在を担保するし、絵画やトレーディングカードの売買なら現物を保全できる。そいういう辺りの安心理論がよく分からん。

野口理論で言うところの「ビットコイン・ベネフィット」が低廉な送金費であるならば「ペイパル」でいいやん。と私は思います。そうではなく「ヤバいブツ決済」に足がつかない云々。であれば、やはり素人が手を出す代物ではなく、アングラマネーのデファクト・スタンダードにて用途固定でいいと思われます(債務不履行となれば相手を殺せばいい理論でお互いの信用を担保)。粗く申し上げるとワールドワイドなデジタル円天。というのが何も調べず感情だけに立脚した雑感。

つまみ食い的知識しかないので、引き続き色々勉強したい所存であります。

【関連エントリー】
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コメント
今回紹介された記事が
今までの解説で一番わかりやすい例えだと思いました。
とはいえ、非合法じゃない取引で一般人が敢えてこんなもので決済する必要に迫られる日が来るとは到底思えないんですよね。 
マスコミが持ち上げ過ぎた印象が否めず。
Posted by 名無しのクネクネ at 2014年03月01日 17:52
財務はわかりませんがテレビが話題にした時点でアカンと思いました。
Posted by 通りすがり at 2014年03月01日 17:55
記事掲載ありがとうございました。
Posted by 通りすがり at 2014年03月01日 18:02
手形の裏書自体が素人が手を出すようなものじゃない、
危険度高いものだから。
それに例えられる時点で遠慮します。
Posted by aikobros at 2014年03月01日 19:01
小額の電子決済用仮想通貨としては、確かに便利かもしれないけど、
日本なら、Suicaとかの方が便利ですしおすし
Posted by 名無しのクネクネ at 2014年03月02日 02:18
 良くない知り合い・・・血縁関係は無いが、祖母に義理の弟として可愛がられた方が、某暴力団で結構な出世をされておられまして・・・「おい、金が要ったら言ってこい。いくらでも手形回したる」と言って出してきた手形はどれもこれも上場企業の手形なんですけれど、こんな堅い手形なのに、なんでヤクザが持ってんの?
Posted by 手形の現金化って手形担保の借金だね at 2014年03月02日 04:56
少し手を出して、当事者の一人になってみたかった…。
祭りに乗り遅れた気分。
Posted by んんー at 2014年03月02日 11:14
>手形の場合も資産の裏付けはない
約束手形の発行人、裏書人、受取人などの関係者の多くは取引上での所謂運命共同体でもありましょう
関係者が共同で仕事をしてその成果として現金になるまで手形を発行し支払いの約束をするわけです
詐欺師どもの常套句に惑わせられてはなりません
Posted by 名無しのクネクネ at 2014年03月02日 12:00
この「ビットコイン=手形」説に立てば、
ビットコインは…
1.信用性不明の者が振出した、
2.裏書人の支払い能力がわからず、
3.いつ不渡りになるかわからない手形
を使ったロシアンルーレット。
ってことになるんじゃないかなぁ?
Posted by 名無しのクネクネ at 2014年03月03日 11:31
> この「ビットコイン=手形」説に立てば、
> ビットコインは…
> 1.信用性不明の者が振出した、
> 2.裏書人の支払い能力がわからず、
> 3.いつ不渡りになるかわからない手形
> を使ったロシアンルーレット。
> ってことになるんじゃないかなぁ?

手形飛ばしても銀行取引停止処分という社会的制裁もなく、2号不渡りというオフィシャルな支払拒絶も不可。
Posted by bob at 2014年03月03日 12:03
>手形飛ばしても銀行取引停止処分という社会的制裁もなく、
>2号不渡りというオフィシャルな支払拒絶も不可。

これ仕掛けてる連中の狙いは新たな世界通貨の創造じゃなく、新たなサブプライムローンの創出ですね。
と言ってみるテストw
Posted by 名無しのクネクネ at 2014年03月03日 12:20
いまだに擁護してるやつらは
みんながビットコインを信じれば成立するシステムだよ!とか
宗教にはしっちゃっててこわい・・・
Posted by う〜ん at 2014年03月03日 17:46
> サブプライムローンの創出ですね。 
 CDS自体はスゲー良いシステムなんだけれど、ネタが悪かったよな。と言うか、最初から「だまし」が入っていたのは事実なんだが・・・アメリカの有期大統領制のツケもあるかもね。自分の任期中にバブル発生させて、やめた後は「しらねー」。あのブッシュJrだって、経済状況だけは良かったんだよね。サブプラバブルのおかげで(笑
Posted by 漁師 at 2014年03月03日 20:18
> この「ビットコイン=手形」説に立てば、
> ビットコインは…
> 1.信用性不明の者が振出した、
> 2.裏書人の支払い能力がわからず、
> 3.いつ不渡りになるかわからない手形
> を使ったロシアンルーレット。
> ってことになるんじゃないかなぁ?

つまり猪瀬の借用書並のシロモノに過ぎないって事。
そんなものを熱中して売り買いとかアホ。
Posted by aikobros at 2014年03月04日 07:23
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