2013年03月18日

「今どき事業戦略を立てる時「自社の強みは何か」みたいなところから考え始める会社って、もうそれだけで終わってる」とちきりん女史

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自分のアタマで考えよう
自分のアタマで考えよう

読んでいるとイライラするというか、次第に磁場が狂い始めたような不安感を覚える人が多い「怪文書」と聞き及びましたので拝見しました。

言っていることの断片に整合性はあり全体構成上の矛盾もないけど、着地点を間違えているので5W1Hが破綻。
資金繰りに苦しむ中小企業のオヤジ相手に「IBM」がどうとか「リッツカールトン」がどうしたと力説する経営コンサルと同じですね。
(二昔前のニックス(Newly Industrializing Countries)、ニーズ(Newly Industrializing Economies)ブームの時にこういう事言っている人がいたなぁ)

自分の強みを活かすというアホらしい発想 - Chikirinの日記

まさかと思いますけど、「自分の強みを活かして勝負する」ってのが「いい作戦だ!」と思ってる人はもういませんよね?
この「自分の持っている価値あるものを活かして○○する」という発想法のリスクというか、限界については、しっかり意識しておいたほうがいいです。
これって、あきらかに「供給者視点」であって「消費者視点」じゃないでしょ。そこが致命的なんです。

↓こう書けばわかるかな。

供給者視点:自社の持つ圧倒的に優れた技術を活かして、商品開発!

消費者視点:消費者が熱狂するほど欲しがるものを、世界中から他者の技術を集めてでも開発!

前者と後者の典型的な会社名も思い浮かぶでしょ?
前者は「差別化が大事」とか思ってるのかもしれないけど、後者は差別化なんて気にもしてない。「差別化」ってのは対競合の視点であって、対顧客の視点の言葉じゃないんだよね。競合と顧客、まずはどっちを見るべきなのか、よくよく考えたほうがいい。

てか、まずは顧客を満足させ熱狂させるのが最初でしょ。競合のことはその後でいい。
そこを間違えてるから、前者に対して顧客は「あんたの技術がどんだけスゴかろうとオレには関係ない。要らんもん作ってくれても買うわけない」ってことになる。

今どき事業戦略を立てる時、「自社の強みは何か」みたいなところから考え始める会社って、もうそれだけで終わってる。
そういうのって、技術を企業が囲い込んでいた時代の発想なんだよね。今や、技術は世界中の企業(や大学や研究機関や個人)が持ち寄って組み合わせて使うものになってるんだから。

わかってる?

折角なのでちょっとだけ突っ込んでみましょう。

ちきりん社「お問い合わせ頂きありがとうございます。是非、我が社のサービス(商品)を導入して下さい」
A社「○○がボトルネックで困っている。複数相見積もり出している。さっそく提案してもらおうか?あなたの会社の特徴は何?」
ちきりん社「自社の強みはありません。お客様が熱狂し欲しがるものを他者の技術を集めてでも開発し納品するだけです」
A社「だから提案しろって。」
ちきりん社「それって供給者視点じゃん。アホらしい。熱狂する商品を開発するから四の五の言わず早く注文書と仕様書出せよ」
A社「帰れ」

営業ってのは男女関係と一緒なので、こういう風に置き換えても同じです。

A男「ボクと付き合って下さい」
B子「趣味は?仕事は?収入は?将来の展望は?性格は?身長は?私を幸せにしてくれるの?」
A男「私には地位も名誉もお金もありません。そんなことよりB子さんが熱狂するものを世界中から掻き集めることが出来ます」
B子「帰れ」

つまり、ちきりん女史の脳内にある「企業間取引」とは営業行為が不要な「御用聞き商売」またの名を「サザエさんの三河屋さん」あるいは「企業内取引」なんですね。
(男女関係であれば親子や夫婦)

営業する必要がなければ(競合不在)、相手に自社の強みを伝えたり差別化する必要などありません。論ずるまでもなく当たり前。
夫婦であれば「女房口説いてどうすんの?」という色っぽいCMになります。

いずれにせよ、「プッシュ戦略」や「マーケット・イン」を間違えて使っているような気が。
間違えていないのであれば、自分が用意した結論に無理やり合わせるため、営業フェーズをミスリードしているんだよ。↓
前者は「差別化が大事」とか思ってるのかもしれないけど、後者は差別化なんて気にもしてない。「差別化」ってのは対競合の視点であって、対顧客の視点の言葉じゃないんだよね。競合と顧客、まずはどっちを見るべきなのか、よくよく考えたほうがいい。

てか、まずは顧客を満足させ熱狂させるのが最初でしょ。競合のことはその後でいい。

そこを間違えてるから、前者に対して顧客は「あんたの技術がどんだけスゴかろうとオレには関係ない。要らんもん作ってくれても買うわけない」ってことになる。
一見、尤もらしい文章ですが、よくよく読むとバロウズ文学の如きカットアップ文章。
「差別化」「自社の強み」が必要な局面は会社や営業マンを売り込む「アプローチ」時期。
「顧客を満足させ熱狂させる」云々は営業締結後、実際に商品を落としこむ「ヒヤリング」時期。

>てか、まずは顧客を満足させ熱狂させるのが最初でしょ。競合のことはその後でいい。
違う。逆。そんなやり方で飯が食えるのは超天才が起業する10年に1つの企業程度で、机上の空論。世の大半の企業はまず競合他社との闘いを制しないと、クライアントから名刺も貰えないし、交渉のテーブルにもつけない。何よりNDAも締結していないのにどうやって熱狂させるんかと。それじゃストーカー営業。

就活の時も、学生さんはよく「私の強みは!」みたいなアピールをしてるけど、あんなの真面目に聞いてる人事なんかいるの? 面接する方が見てるのは「こいつは役に立つか?」ということであって、その人が自分で考えた強みとか、超どーでもいい。
面接官が見ているのはリアクションや頭の機転、伝える能力などです。言わせんな恥ずかしい。

一部のブロゴス界隈ではコメント欄で信者が絶賛しているそうで、こういう人が日本を代表するトップブロガーであれば、夏の玉砕戦を控えた我が民主党にもワンチャンスあるかもしれませんね。取り込み詐欺の被害者は二度騙されるといいますし。
たまには自分のアタマで考えよう。(というか、この人何者?情報商材屋さん?)

※暇だったので調子に乗って書き足し続けていたら長文になりムチャクチャ読みにくくなりました。すみません。

【追記】
結論書くの忘れてた。
端折ってまとめますと、今の世の中、どの商品もサービスも総論、どこで買っても同じです。なので「自社の強み」を明示的に打ち出さないと埋没します=ちきりんメソッドでは会社が潰れます。
自社の強みって別になんでもいいんですよ。地域特化でも、アフターサービスでも、価格帯でも、ジャンル特化でも、接客力でも。
近年の事例で分り易いのが「100均」とか「ダイソンの掃除機」「ロボット掃除機 ルンバ」「トクホコーラ」など。
ちきりんメソッドで100均売ると、「顧客を熱狂させるためもっと安く、もっと機能を、もっとカラー違いやサイズ違いを!」で潰れます。
ちきりんメソッドでダイソンの掃除機売ると「消費者熱狂させるため、もっと静音対策し大型化・重量化」で売れません。だから商品の強み=「吸引力が落ちない、ゴミを吸う、軽い(だけどかなりうるさい)」を棚卸し、全面フィーチャーするんです。
ルンバとかトクホコーラとか、開発段階では熱狂どころか「消費者ドン引き」だったはず。

ちきりんメソッドでおかしくなった企業も列挙に暇なく、例えばマクドナルド。「自社の強み」を蔑ろにした結果、競合先がコンビニからファミレスにまで広がり集客大幅減。他方、本来の競合先モスバーガーはぶれず日和らず「自社の強み」を愚直に貫徹し遂にのろまな亀が逆転。ちきりんメソッドで調子に乗ったマクドナルドの一人負けという、ウサギとカメ。
(出典:マクドナルド一人負けの理由〜敵は外ではなく内だというのが相場(大西宏) - BLOGOS(ブロゴス)

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だからといって全ての「ちきりんメソッド」がダメなのか?ではなく、世の中「絶対」ということはありませんし対応可能な案件も数多くあるでしょう。自社の強み原理主義者は、市場が求めていない「世界の亀山モデル」という自慰行為に耽り破綻したシャープが代表格。

↓こう書けばわかるかな。

ちきりん客「もしもし?チラシ見たんだけど、どんな娘がいるの?」
デリヘルA「当店は超テクニシャンな清楚系の女の子を多数揃えています。どんな遅漏な殿方も5分で昇天完全保証です」
ちきりん客「あんたの店の女の子の技術がどんだけスゴかろうとオレには関係ない。要らんもん作ってくれても買うわけない」
デリヘルA「イタズラ電話はやめてください」

中国の賄賂官僚「蒼井そらを一ヶ月後に届けるアル。場所はペニンシュラ香港ペントハウスアル。一週間借りたいアル。お金は1億円しかないアル」
デリヘルちきりん「当店はお客様が熱狂し欲しがる女性を万難を排し日本中、世界中から集めてお届けします。お任下さいませ」
賄賂官僚「謝謝デリヘルちきりん、小日本でナンバーワンあるネ!薄熙来にも紹介するアル!」

という、潤沢な資金と人海戦術可能な陣容を擁するユニクロや楽天のような超勝ち組企業は積極的にちきりんメソッドを導入すべきであるという結論。
(これが冒頭のIBMやリッツ・カールトン事例、こういう耳障りはいいけど普通の企業は役に立たない洗脳系コンサル実際多いよ)

いずれにせよ、世の99%の負け組み企業は自社の強み=「コンピタンス」「業界内での存在価値」を知ることは極めて大事ですよ。自社の強みが本当に分かれば、誰に何を提供すれば飯が食えるか?(近年流行りの売る仕組み)の基本設計が完成します。ここからマーケティングが始まる。
逆説的にほとんどの企業経営者は「自社の強み」を知らないと思います。だから売れない。だから頭打ち。

翻って日本企業に必要なのは「顧客を熱狂させる」ことではなく、「自社の強み」の探求では?
陳腐スピードが高く、技術の蓄積もし難い「顧客の熱狂」領域は中国や韓国など知財窃盗新興国(まさに、世界中から他者の技術を集めてでも開発)に任せたらいいんですよ。
我々は1年限定ヒット商品(顧客の熱狂)より、競合先が少ない10年定番商品(顧客の安らぎ)を目指しましょう。
特に日本の農業なんか、絶対「ちきりんメソッド」導入したらだめだよ。破滅するよ。
再掲。
供給者視点:自社の持つ圧倒的に優れた技術を活かして、商品開発!

消費者視点:消費者が熱狂するほど欲しがるものを、世界中から他者の技術を集めてでも開発!

ちきりんみたいな覇道は一過性で終わります。儲かるのはちきりん唯ひとり。
思考停止し寝食を忘れ甘美な「ちきりんワールド」を浮遊するのは楽でしょうけど、我々は自分のアタマで考え、愚直に商売の王道を進みましょう。
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コメント
地場が狂い→磁場が狂い
の積もりで書いたのでは?
このコメントは公表無用。
Posted by Wpfdchme_spkLmtlyz8AJl4WtzLLY8pXR6v#d0368 at 2013年03月18日 11:52
ご指摘さんきゅ。
Posted by kingcurtis at 2013年03月18日 12:00
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